2008ドバイワールドカップミーティングを終えて [ドバイWC2008]
2008/03/31(月) 15:12 中野 雷太

実は、昨日夕方すでに帰国。中継を終えて、すぐ空港に向かって、日付変わって深夜2時35分の直行便に乗ったので、関空着は16時30分。そのままバスに乗り込んだら、阪神競馬場で仕事をしていた嫁さんよりも早い帰宅となってしまった。嫁さん曰く、阪神競馬場のスタッフも「もう着いたの?」と驚いていたそうだ。


レース当日は、競馬場で色々写真を撮った。帰宅後に、それをアップしてのブログを、と考えていたのだが、慌ただしく現場を離れた時、東京から持ってきてもらっていたパソコン(の入ったバッグ)の中に、僕のデジカメとコンピューターを繋ぐ機械を忘れてきてしまった。なので、ここでは文章のみで、当日のことを振り返りたい。

まずはゴドルフィンマイル、追い込み勢がゴール前殺到する中、唯一先行勢で残り、なおかつゴール前一伸びしたアメリカのダイヤモンドストライプス。アメリカで重賞を2勝していたこの馬は、昨年のBCクラシックで、カーリンから37馬身遅れた8着だった存在。この勝利を見た時点で、カーリンの恐ろしさは、ある程度予想ができたものだ。

続いてUAEダービー、前評判通りに南アフリカ勢のワンツーだが、オナーデヴィルが今日はロイヤルヴィンテージを突き放しての圧勝。前走アルバスタキヤこそ僅差で落としたが、UAE2000ギニーに続いて2冠達成。おそらく来年のドバイワールドカップで、主役の一頭になっている存在だろうし、もしかしたら、今年これからのダート競馬を牽引していくのかもしれない馬ゆえ、2着馬共々、引き続き頭に入れておきたい。

ゴールデンシャヒーン、ここはBCスプリントで上位に入っていた2頭が、その時とは順番を入れ替えてのワンツー。イディオットプルーフを豪快に差し切ったベニーザブル、この勝利でE・プラード騎手は今日2勝目。相変わらずアメリカ勢の強さが目立つこのレースだが、今年もその高いレベルを見せつけられた。

3戦を終えて、恒例となったセレモニーに突入したナドアルシバ競馬場。2年前、それまでの比較的静かな、民族的なものから、花火を多用した激しいものに変わって驚いたが、今年のそれは、一段と凄かった。世界的に有名なヴァイオリニストであるヴァネッサ・メイさんの演奏、そして彼女を中心に据えたステージ展開は、非常に見ごたえあるものだった。音楽に詳しい大阪支社の営業の先輩から、彼女のことは色々聞いていたが、噂以上に素晴らしかったヴァネッサ・メイさん。あそこにいた誰もが、すっかり魅了されてしまうくらい、演奏も、パフォーマンスも、どれも超一級品。あの日のナドアルシバで、カーリンに次ぐ、いやそれ以上の存在感を誇示していたくらいに思える。それくらい、今年のセレモニーは素晴らしかった。でも、あれだけの規模で、花火まで多様するこのイベント。いつどこで、どれくらいの時間をかけて、リハーサルをやっているのだろうか?

その後に行われたドバイデューティーフリー、出走馬の実績だけ見れば、この日一番の豪華メンバーが集結しての一戦だったと思うが、南アフリカのジェイペグが、一旦は完全に飲み込まれながら、そこからまた脚を使ってレコードタイムでの勝利、あれにはちょっとビックリだった。最後も、アドマイヤオーラを探すのに必死になってしまい、まるで素人のようなひどい実況になってしまい、皆様には本当に申し訳無かった。ただウオッカの好走は、関係者のコメントにもあったように、悔しさもあるけど、嬉しいところではないだろうか。

もう一度検量室へと向かってみると、武騎手が着ていた勝負服を持った村山調教師にバッタリ。調教師試験合格前から、角居厩舎のスタッフとして活躍されていた村山さん。今回の遠征には、24日(月)から来ていたようだ。勝利を掴めなかったことに悔しさは大きいようだが、「いずれは自分も、ここに馬を連れてきたい」とキッパリ。そして「ハットトリックが、確か南アフリカでも種牡馬をやるんですよ。いずれは、ハットトリック参駒と、ここでやれたらね」という思いまで語ってくれた。

ドバイシーマクラシック、直線に入って早々に抜け出した南アフリカのフジキセキ参駒・サンクラシークが、連勝の勢いのままに快勝。そしてタイムはレースレコード、さらにコースレコードに0.05秒差。今年のナドアルシバの芝、角居調教師が昨年とは違う印象を戦前語ってくれていたが、2戦共に速い時計での決着だった。2着〜5着までは、これまでもビッグレースで活躍していた馬たちが占めた。レース後のシェイ騎手のインタビューにもあったが、南アフリカ勢の活躍に、場内が圧倒された瞬間だった。

今年のドバイで、日本が最も存在感を示せたのは、サンデーサイレンスから流れる、その“血”だった。合田さんの話にもあったが、すでに結果を出しながら、世界からより注目されるであろう、サンデーサイレンスの血統。今年のナドアルシバでも、ディープインパクトの名前が世界中のホースマンからやたら聞かれたし、この血統が、世界でどういう広がりを見せるのか、今後の展開を楽しみにしたい。

そしてドバイワールドカップ、まるで大人と子供のような性能の違いをまざまざと見せつけたカーリン。あの残り400m、軽々と前の2頭を抜き去って行く時の脚が、一番印象的だった。4年前、初めて見たドバイワールドカップ、プレザントリーパーフェクトとメダグリアドーロが死闘を演じたゴール前、あの時なんて、まさに前年のBCクラシックの再現だったわけだが、BCクラシックって、いったいどんなレベルなのだろうかと、色々考えさせられてしまう。今回のカーリンは、相手が弱すぎて、おそらくその力の一端しか見せていないのだろうし。まだこの目で、生で見た事のないBCというイベントに対する興味が、今さらながら、より強くなる。

勝てなくとも、“世界”との差をどれだけ詰められるかが焦点だったヴァーミリアン。途中からどんどん後退していく様は、いくらなんでも「なんで、どうなってるの?」だった。前年が15馬身差、あくまで日本でのものだが、2度目の今年は、馬自身の実績も違ったのに、だ。「こういう馬でならと思っていたのに……いったい何が違うんだろう?」武騎手の言葉、そして表情が強く印象に残った。

さて、このドバイを終えて、今僕が最も興味を持っている海外ネタは、カジノドライヴのアメリカ遠征だ。アメリカのダート競馬に、久々に日本から人馬が挑む。結果はどうであれ、アメリカのダート競馬に触れられる、いや触れやすくなる機会を得られること自体が嬉しい。そこが一体どんな世界なのか、戦前から注目して見ていくことで、今までとは違う何かが、少しでも見えればと思っている。

最後に、今回、久々に海外に行かせてもらったが、改めて、一発勝負である海外中継の難しさを痛感させられた。そして自分の実力の無さを、思い知らされた。今週から、またいつもの日本での仕事、明日からは通常の業務に戻る。今回の悔しさを忘れず、また一から出直すべく、努めたいと思う。


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