何故WTI原油市況は47ドル台へ下落したのか? ~米国在庫と生産量 [大橋ひろこコラム]
2017/03/29(水) 23:12 大橋ひろこ

WTI原油価格は2016年11月のOPEC総会で減産合意が決定した後50ドル台へと上昇、その後4か月近く50~55ドルでのレンジ相場が継続していましたが、3月に入って50ドル大台を割り込んでレンジを下方にブレイクしました。その背景は?!

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は石油ガスジャーナル顧問 山内弘史氏に原油市況を取り巻く環境と今後について伺いました。


1.超高水準を続ける米国の原油在庫状況

このところ市場が材料視しているのは米国の在庫と生産量。

3月17日の米国原油在庫 5億3300万?にまで拡大しました。
1982年からの統計上、過去最大にまで積みあがっています。

前々年同期比では123.1%となりました。

2016年12月30日からほぼ11週連続で増加しており、5400万?もの増加です。
(統計が減少したのは3月10日の前週比20万?のみでした)

 
米国在庫が高水準にあることは今に始まったネガティブ材料ではないのですが
マーケットが材料視しているのは「クッシングの原油在庫」

クッシングというのは石油の集積地。ハブ地点です。
このクッシング在庫の貯蔵能力は8200万?とされていますが、
セキュリティ面などからオペレーション上は満タンにするわけにはいかず、
上部5%は空けなくてはならず、下部10%部分はゴミなどが堆積するため
計算されません。実際は上下のスペース部分を排除15%割り引かないとなりません。

つまりオペレーション上はクッシング在庫貯蔵能力は
6970万?が最大貯蔵量ということになるのですが、
最新のデータでは6800万?にまで在庫が積みあがっており、
ほぼ満タン状態にあることが嫌気されています。

2.米国の原油生産量がジリジリと増加

在庫の増加には米国の原油生産量の増加が上げられます。

2016年7月の845万?から2017年3月には913万?にまで日量70万?も増産となっており
OPECが1月から日量90万?減産したところで、
OPECの減産分は米国の生産増でほぼ帳消しとなってしまっています。
リビア、ナイジェリアは増産していますしね。


3.米国の原油増産は石油掘削稼働リグ数の増加に並行している

米国シェール生産を占う掘削リグ数は
2016年5月27日には316基まで減少しましたが、それが底となって増加に転じ
2017年3月17日には631基にまで倍増しています。
1月20日の週から10週連続の増加で652基に。

また、山内さんによりますと水平坑井を掘削しても
直ちに生産をしていない坑井が多いとのこと。
つまり、原油価格が上昇してきたことで、設備投資が再開され
いつでも原油が生産できる状態にしてあるが、生産は価格を見ながら
待機中ということです。これが中長期的な増産を見据えているため
原油価格の上値を抑えてしまっています。


4.シェールオイル掘削コストの低下

 
また、この2年間の技術革新で掘削コストが18~33%も低下しています。
選択と集中で増産及び生産効率の高い地域にリグを集めて掘削しています。
シェール鉱床別にみて,特にリグ数を伸ばしているのがパーミアン・シェール。
30~50㌦/?まで採算分岐点が低下していおり
原油価格が50㌦台を維持していると増産できます。
40㌦台後半でも場所によっては増産可能だと山内さん...。


5.米国エネルギー情報局が予測する原油生産量

EIA米国エネルギー情報局によると
米国のシェールオイル生産量は4月も増産の見込みで
3月比で日量11万?増加しそうだとか。
4カ月連続の増産予測となっています。。



世界の需要は伸びており、2017年内には世界需給は均衡すると予想されていますが
足元では米国生産と在庫量が上値を限定的としそうです。

ここからの展望も含め、是非山内さんの解説をお聞きくださいね。

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