「FRB議長、長期政権後のアノマリー」 [投資α情報(大橋ひろこ)]
2013/08/02(金) 23:57 大橋ひろこ

アメリカの景気回復は本物なのか?!5月にFRBバーナンキ議長が出口に言及、6月FOMCでその行程を示したことから、米国出口論議がマーケットの最大のテーマとなってきています。QE縮小への思惑はドルを動かし、金市場もこれに神経質に振り回される展開が続いていますが、このところ出てくる米系指標は極端にいいものとそうでないものと玉石混交。出口論議の行方、そして金市場の今後は?!

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は金融・貴金属アナリスト亀井幸一郎さんにお話しを伺いました。
亀井さんが注目しているのは「FRB議長の後任人事」と交代後のマーケット。
FRB議長の長期政権後のアノマリーについて解説くださいました。


「長期政権後の後任の時代に必ず波乱に見舞われている」と亀井さん。

1951年~1970年まで18年もの間FRB議長を務めたウィリアム・マーチンから
アーサー・バーンズに議長交代となった直後の71年にニクソンショックが起こります。
金本位制の廃止は、FRB議長交代の翌年に起こったのです。
(※1971年にニクソン米大統領が電撃的に発表したドルと金との固定比率での交換停止のこと。60年代のベトナム戦争で米国は大幅な財政赤字を抱え国際収支が悪化、米国は金の準備量をはるかに超えた多額のドル紙幣の発行を余儀なくされ、金との交換を保証できなくなりニクソン大統領はドルと金の交換停止を発表。これにより米ドルは信用を失って大暴落となる)

18年もの長期間議長を務めた方がもう一人いますね。そう、市場ではマエストロと呼ばれその手腕が高く称賛されたアラン・グリーンスパン氏です。グリーンスパン氏が18年もの長期任期を終え、ベン・バーナンキ氏に交代したのが2006年。その後2007年にサブプライムショックが起こり、2008年にリーマンショックへと繋がります。FRB長期政権後には何か大きなクラッシュが起こる、とされるのは、こうしたアノマリーからなのです。

ベン・バーナンキ氏の任期は来年1月末までと目されています。本人が継続の意志がないように受け止められており、後任人事が喧しいですね。となるとバーナンキ氏の任期は8年だったことになります。それならあまり心配はないのでは?!
いえいえ、8年任期の議長交代後にも、マーケットには波乱が起こっているのです。


ニクソンショックの洗礼を受けたアーサー・バーンズの任期は8年。引き継いだのはウィリアム・ミラー。バーンズ時代にドルが大暴落したことからインフレを招いてしまっていました。止まらないドル安にアメリカは前例にない「ドル買い介入」を実施します。介入というのは、外貨があるからできること。ですが、外貨を持たないアメリカはどうやって介入したかのでしょう?!


米財務省は、外貨を入手するため78年11月から外貨建て米国債をドイツ、スイスで計65億ドル発行したのです。債券を発行して(借金して)ドル買い市場介入を実施。時の大統領はジミー・カーター。この債券は「カーターボンド」と呼ばれています。このウィリアム・ミラー氏の任期はたった1年5か月間でした。


ミラー氏の後を継いだのがポール・ボルカ―。79年から87年まで8年もの間FRB議長を務めます。この時は前ミラー氏が短期政権に終わっていたので波乱アノマリー発動はありませんでした。


そして、ボルカ―の後を継いだのがマエストロ、グリーンスパン氏。この方が18年もの間議長を務めたことで米国の不動産バブルが起こるのですが、就任当初の87年10月ブラックマンデーという洗礼を浴びてのスタートでした。株価が25%も減価したブラックマンデーは史上最大規模の世界的株価大暴落とされ、暗黒の月曜日と呼ばれています。S&L(貯蓄貸付組合)の破綻問題などもありました。

こうしてみると、8年任期のFRB議長からの交代のタイミングにも波乱は起こっているのですね。亀井さんは、今回は過去に例を見ないQEマネーの縮小、出口論議がトリガーになる可能性を指摘されています。「金はまだ終わっていない」亀井さんの解説はオンデマンド放送でお聞きくださいね。

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