電力小売り自由化、電力スポット市場の現状と先物市場について [大橋ひろこコラム]
2016/04/14(木) 21:54 大橋ひろこ

2016年4月からの電力小売自由化を機に電力取引は飛躍的に発展する可能性を秘めています。新たに電気事業を開始する事業者が急増、小売を行う事業者は4月7日時点で280社に達しています。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はリム情報開発 電力チームリーダー本間昇さんに「電力小売り自由化と電力取引の今後」について伺いました。

◆契約した事業者が破たんしたら電気が止まったりしないの?!

 
電気の小売事業者の中には、限られた自前の発電設備がしかないところが
大半ですが、電気を送電するのは別事業者ですので、小売り事業者の破綻で
電気が止まってしまうことはありません。

ただし、現在の小売事業者の多くは、ベース電源として旧一般電気事業者から
供給を受ける常時バックアップに頼らざるを得ない現状があります。
小売り事業者が突然電力を確保できない事態に陥った場合はどうなるのでしょう。

実は小売事業者などが旧一般電気事業者から一定量の電気の供給を受けられる
という「常時バックアップ」という契約があります。

3月17日に「適正な電力取引についての指針」が発表されていますが、
「常時バックアップ」について、「電気事業の健全な発達を図る観点から、
一定割合の常時バックアップが確保されるような配慮が必要」と明記されています。

ただし、「新規参入した小売電気事業者があまりに過度に相当の長期間に
わたって常時バックアップに依存することは望ましくない」とも。
常時バックアップに依存しなくても安定的に電気事業が行えるよう、
国は卸電力取引所など卸電力市場の活性化を図っていくとしています。

◆小売事業者らの安定した電力供給のためのマーケットは現在どうなってるの?

活性化策の1つとして4月から実施されたのが、卸電力取引所における
スポット(現物)市場(翌日受渡取引)が365日オープンとなりました。
これまでは株式市場などと同様に土日祝日や年末年始は休場していました。
(これまでは金曜日に土曜日分を含めて3日分が取引されており、
GWなどでは10日分まとめての取引が行われていた)
しかし、電力供給は土日祝日関係ありませんね。

電力需要は気温の変化でも想定した需要から大きくブレたりします。
10日後の電力需要を正確に想定するというのはかなり困難ですね。
365日スポッと市場がオープンとなるため、想定した需要と実際の需要の
ギャップが縮小され、常に必要量をとどこおりなく調達できるようになります。


◆当日、突然の障害で電力調達ができないなんてこともあるのでは?

さらに、1時間前の電力の取引も行える「1時間前市場」も4月から開始
されました。当日急に電力不足が明らかとなった場合でも
「1時間前市場」から調達できるようになったのです。
反対に需要が想定より伸びないと判断された場合、1時間前市場で
余剰分を販売することもでき、よりリアルタイムに近い取引が可能となりるため、
新規参入事業者にとっては安定した事業運営がしやすくなるでしょう。

◆足元の電力供給のバックアップ体制が強化されてきたのはわかりました。
では、小売り事業者が事業計画を立てる上で、将来の価格高騰などのリスクには
どのように対応していくのでしょうか。

現物取引が活性化すれば、必然的に先物市場を活用したヘッジニーズも
高まるとみられます。国は、今回の電力小売全面自由化の実施後、
可及的速やかに電力先物を上場すべきとの方針を示しています。

その上場先となるのがマーケット・トレンドの提供社であるTOCOM。
東京商品取引所です。現在、先物市場の開設に向けた準備を進めています。

先物市場のヘッジニーズとは、、、
たとえば6ヵ月先に自社の電源を一定期間整備のため停止する予定となり、
この期間に不足する電気をスポット市場から調達するとします。
ここで先物市場を活用して買い建てしておけば、仮に6ヵ月後に
現物価格が急騰したとしても先物価格でコストを抑えていますので
値上がり分を相殺できますね。先物市場を活用することで
リスクヘッジが可能となるのです。


特に電気は、気温動向によって需要が大きく変動します。
また需要動向で価格も変動しますから、将来の価格に対するリスクヘッジは
ニーズも高まっていくと思われます。コストの固定化は重要ですね。

今年後半から来年中には上場する方向で準備が進められているようです。
また、電力とともに燃料価格のヘッジニーズも高いため、
今後TOCOMでは現在の原油に加えて天然ガスや石炭の先物市場が
上場される可能性もあり、その動向が注目されます!!

詳しくはオンデマンド放送で本間さんの解説をお聞きくださいね。


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