原油価格、生産調整の動きに下げ止まるも上値が重いワケ [大橋ひろこコラム]
2016/04/07(木) 23:11 大橋ひろこ

原油相場は2月までの下値不安は薄れているものの上伸力には欠ける展開となってきました。WIT原油価格は3月17日に1バレル40ドルを上回り約3カ月半ぶりの高値を付けたものの、4月に入ると35ドル台まで売られています。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は資源・食糧問題研究所 柴田明夫さんに
「サウジアラビア、米シェールオイル企業、中国―それぞれの思惑
シェール関連企業の経営が破綻すれば新たな金融危機の恐れ」
と言うテーマでお話を伺いました。

サウジアラビア、ロシアなど4カ国が3月20日に再度会合を開き
他の産油国を含めた増産凍結協議が進展するとの期待がありましたが
その会議が4月17日に延期されたことで失望売りに。

しかもサウジのジュベイル外相は原油価格の下落阻止を目的とした
生産調整について「減産する用意はない」と発言、
改めて市場シェア維持を重視する姿勢をみせています。

会議不参加を表明したイラン原油生産は1月の日量293万バレルから
2月は313万バレルに増えています。ザンギャネ石油相は3月13日、
「生産量が日量400万バレルに達するまで増産凍結に合意しない」と
発言しており、4月17日のドーハ会合への期待も後退してきたことから
原油価格の上値が重くなってきました。

一方、米国のシェールオイル生産には減産の動きが出てきています。

ノルウェーのエネルギー調査会社Rystard Energy社によると、
米国の代表的なシェール事業の損益分岐点価格(2014年時点)は、
Eagle Ford Oilのバレル当り42ドルからWolfboneの80ドルとまちまちですが、
いずれも現在の40ドルを下回る原油価格では持続が不可能な状態。

現状の30~40ドル台の原油価格が続けば、4,000社を超える
米シェールオイル関連企業の3分の1は破綻しかねないというリスクを
孕んだままです。シェールオイル関連企業の経営が悪化し、
倒産急増に伴うこれら企業が発行している高利回り債券、
いわゆるジャンク債の破綻危機が懸念されています。

これら企業の多くがこうした債権を発行して資金調達をしているのですが
フィナンシャル・タイムズ紙は、3月22日の米シェール業界に関する
特集記事で、約1,500億ドルがデフォルトの危機にあると指摘しています。

仮にシェール企業のデフォルトなどが引き起こされれば、
米国での原油生産は一気に減少、生産調整が進むという思惑で
原油価格は一時的には上昇する可能性はありますが、
しかし、米国原油在庫は豊富であり需給がバランスするのは
かなり先になると見られます。

EIA(米エネルギー情報局)によれば、
米国の原油生産量は2015年の日量943万バレルから2016年は857万バレルまで
減少する見通しなのですが、3月25日現在の米原油商業在庫は
5億3,480万バレルと前週から230万バレル増加し、
1983年以来の水準に積み上がっています。

供給面からは生産調整の動きが見え始めてはいるものの
需要面はどうでしょうか。

中国景気の先行きに対する不安から原油輸入が減少するとの見方が、
これまでの原油安の一因となってきましたが、実は2015年、
中国の原油輸入量は約24億バレルで前年比9%増加し、過去最高です。

年明け1~2月の中国の原油輸入は日量710万バレルと、
2015年12月の同780万バレルから減少したものの、高水準を維持。

背景には、地下備蓄設備の建設により、2020年5億バレルに向けた
国家石油備蓄の積み増し計画が(15年末現在1.9億バレル)。
原油が安いうちに積み増そうとするしたたかな戦略ですが、
こうした旺盛な中国からの買いがあってもなお、原油価格は
下落が続いてきたことを考慮すると、やはり供給面に問題があるのでしょう。

今後のポイントを柴田さんに伺っています。

詳しくはオンデマンド放送で柴田さんの解説をお聞きくださいね。

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