下げ止まらぬ商品市況の現状と今後 [大橋ひろこコラム]
2015/07/24(金) 23:07 大橋ひろこ

商品市況の下落が止まりません。WTI原油価格は再び50ドルの大台を割り込み、NY金価格は生産コストとして意識されてきた1200ドル大台どころか1100ドル台をも割り込んでしまいました。モルガンスタンレーやゴールドマンサックスなどの大手金融機関は金価格1000ドル割れの可能性に言及しています。


皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は三菱東京UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員 
芥田知至さんにご出演いただきお話を伺いました。



ギリシャ支援問題や中国株式市場の急落など様々なリスクが株式市場の
下落を誘発し、コモディティ市場にもその余波が及んだ部分もありましたが、
金市場にはリスク回避の資金流入はなく、リスクが鎮静化した後には
一層の下落となりました。

金が5年5カ月ぶりの安値、原油は5月の高値に比べて21%安。

原油や金が下落している背景と今後について芥田さんに
解説いただきました。


<中国需要の下振れ懸念>

ギリシャ問題や中国の株安を受け、世界の原油需要に対する見方が
やや慎重になっている可能性。
中国の景気動向に敏感な銅やアルミといったベースメタルなどの
価格も下落しており中国需要による価格下支えがなくなっている
と考えられます。


<シェールオイルの生産高止まり>

昨年後半からの原油価格の下落を受け採算割れから
減産の動きが見え始めた米国のシェールオイルですが、
原油価格が40ドル台の底値から60ドル台へと持ち直したことを受け、
減産はそれほど進まないとの見方がでてきています。
油田開発の先行指標となる石油掘削設備(リグ)の稼働数の週次統計は、
6月26日をボトムにやや増加しており、米国の原油生産量も
5月15日に終わる週をボトムにやや持ち直しています。


<イラン産原油の供給増加観測>

イラン核開発協議で合意が成立し、イラン産原油の供給が増える観測。
イラン産原油の供給が開始される具体的時期は不透明ではあるものの、
今のところ、対イラン経済制裁の解除は、来年以降となると報道も。

制裁解除後は数カ月程度で60~80万バレル程度の
増産が可能だという見方が原油の上値を抑えていると考えられます。


<米国の利上げ>

FRBの利上げが視野に入ってきていることで、ドル高基調が継続しています。
原油相場とドル相場の関係が密接な状態が続いており、
FRBの利上げを材料にドル相場が堅調に推移する環境では、
原油や金をはじめとしたコモディティの価格は抑制されやすい
状況が続くとみられます。


<金下落の背景に中国の金保有量公表>

中国人民銀行が17日に突然金準備の保有量を発表しました。
それによると6月末時点の金保有残高が1658トンと、
2009年比で57%増加していたものの
市場の想定を大幅に下回る増加テンポだったため
ネガティブサプライズとなり、手仕舞い売りが加速しました。

ギリシャ問題や中国の株安への懸念が一服する中で、
安全資産としての需要が減退することが意識されたこと、
米国の利上げ観測が強まる中でドル高が進み、金売り圧力が強まったこと、
原油など他のコモディティの下落が進む中でインフレ期待が後退して
インフレヘッジとしての金需要も萎むとの懸念に繋がっています。


コメント