ギリシャ危機、今後の想定シナリオとゴールド [大橋ひろこコラム]
2015/07/03(金) 23:09 大橋ひろこ

ギリシャは6月30日午後6時(東京時間7月1日午前7時)、先進国で初めて国際通貨基金(IMF)への債務の支払いを期限までに履行できませんでした。ギリシャの債務は17億ドル、日本円にして約2100億円。ギリシャ政府は債務支払いの延期の要請をしており、これは今後IMF理事会で検討されることになっています。また7月5日にはギリシャでは国民投票が実施されEU残留を国民に問うとしています。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回はICBCスタンダードバンク東京支店長 池水雄一さんに
ギリシャ危機とゴールドについてお話を伺いました。

ギリシャが事実上のデフォルトに陥っているというのに
ゴールドの反応は落ち着いたものというか「冷めた」ものです。


株式が大きく下げたのは29日月曜日のみで、
債務返済期限の30日には逆に世界中で株価は若干戻しています。

池水さんは、目だって進展のない交渉が何ヶ月も続いていることで、
ほぼマーケットに織り込まれているとし、
今後、国民投票を受けて考えられるシナリオに沿って
今後の金相場を展望いただきました。

シナリオ1:ギリシャがユーロ圏に残留

国民投票で、緊縮財政にYesとなり、最終的にギリシャ政府と
貸し手との間に最後の大逆転的な新たな合意案が形成された場合。
ユーロは幾分買い戻されて、ゴールドにはこれはプラス。
しかしゴールドに対する影響は軽微と思われ、
マーケットの関心はFRBの今年後半の金融政策へ移ることに。


シナリオ2:ギリシャ、大きな悪影響を与えずにユーロ圏離脱

ギリシャのユーロ圏離脱が現実となればsafe havenとしての
ゴールドの魅力が増すことに。
欧州の株式からゴールドへ資金を移動させる機関投資家も増加、
消費者のゴールド投資にも拍車がかかると思われます。

実は今年第一四半期にはすでにそのような動きがドイツで出ており、
最近の英国王立造幣局(Royal Mint)の発表では、
彼らのソブリン金貨のギリシャでの売上は大幅に増加しているそうです。

ただしこうした材料でのゴールド上昇は一時的。
ここ数年でギリシャの国家負債に対する民間のリスクは大きく減少。
2011年のユーロ危機の時、ECBはESMやQEといった手段を構築、
市場のボラティリティが制御不可能になることを防ぐ手立てを用意しています。
また、ギリシャがユーロ圏を退出していくことによって、
ユーロ圏は中長期的にはより安定したものになる、ということで
まさにテールリスクが消えることで、
ゴールドにとっては、マーケットの興味は再び米国の金利の動きに移り、
短期的には頭の重い展開へとシフトすると考えられます。



シナリオ3:ギリシャが大きな悪影響を与えてユーロ圏を離脱

ギリシャ危機が拡散する可能性を完全には否定できません。
引き金になるのはECBが用意した危機拡散防止のための
ファイヤーウォールの失敗、政治的な事件(たとえばスペインで)、
もしくは単純に投資家の信頼を失うことによってありえるかも?!
クレジットスプレッドが広がり、欧州各国の国債を抱える
欧州系の銀行に対する不安が広がり、投資家はゴールドに
その資金を避難させることになり、米国FRBも金利上げは
延期せざるを得ない状況へと追い込まれ、これもまた
ゴールドにとっては強材料となる、、、と考えられますが、
池水さんはこのシナリオはもっとも可能性が低いと解説くださいました。

詳しくはオンデマンド放送で池水さんの解説をお聞きくださいね。


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