豪鉱山会社の生産コストと金価格 [大橋ひろこコラム]
2015/06/12(金) 23:30 大橋ひろこ

ピークゴールド説を番組でもご紹介したことがありますが、簡単に言うと、金鉱山の生産コストは年々上がってきている一方で、米国の利上げ観測がドル高を招いていることから金価格が下落し安値放置され続け鉱山会社は経営難に陥っている状況にあり、2015年が金生産のピークとなるだろう、という見通しのことです。

鉱山会社の現状とはどんなものなのでしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は金融貴金属アナリスト亀井幸一郎さんにお話を伺いました。

亀井さんは4月末にオーストラリアの露天掘り鉱山
カルグーリ- KCGM(スーパーピット・マイン)を
ご覧になってきたばかり。まずはそのお話から伺いました。

西オーストリア、パース北東150キロに位置するこの鉱山は
露天掘りと言って、南アフリカのような縦穴を掘って地中深く
掘り進める鉱山ではありません。

幅1.51キロメートル、長さ3.5キロメートルもの広大な穴は
らせん状にできた道を270トンもの巨大ダンプが走り、
掘り出した石を運び出しています。

270トンダンプって...?想像できませんね。
タイヤだけで3メートルもあるのだそうです。

縦穴式鉱山ではダンプが地中深く降りることはできません。
人の手によって運び出さねばならないため人件費がかかりますが、
地中深く降りるだけでも相当の時間がかかるほか、
地中温度は50度にも上るため、冷却設備が必要です。
縦穴式鉱山は少し考えただけでもコストがかなりかかることが
わかりますが、露天掘りならそれほどコストがかさまず、
効率がよさそうに思えます。

しかしこの鉱山、現在は深さ1キロメートルまで掘り進んでいるのですが
水が出てくる。この水が塩水で海水の7~8倍ほどの濃度。
つまり、塩害がひどいわけです。これで270トンダンプの耐久年数が
短くなってしまう、という問題もはらんでいるのだそう。

加えて鉱山品位が悪く、低品位とされている南アの鉱山でさえ
トン当たり5グラムの金が採取できるそうですが、
この鉱山はわずか2.6グラムということで、生産効率は高くありません。
ということで、露天掘りとはいえコストがかからないということでも
なく、相応の採掘コストはかかっているのですね。

現在金価格はドル高の影響でかなり下落しているので、
生産コストと価格の関係から、苦しい状況にあるのでは?と
思われるかもしれませんが、亀井さんがご覧になったこの鉱山は
オーストラリア(世界第2位の金生産国)です。

現在は、豪ドルがかなり安いんですね。
オーストラリアは中国の景気減速の影響を受けやすく、
RBAオーストラリア準備銀行は、今年2015年に入ってから
2度の利下げを実施、中銀総裁のスティーブンス氏も
繰り返し豪ドル安誘導発言を行っていることから
豪ドル安のトレンドが継続しています。

金鉱山など、輸出産業はこの通貨安にサポートされて
なんとかなっている、というのが現状。
(通貨安となれば、想定的に価格は上昇します。
豪ドル安のおかげで豪ドル建ての金価格は高いのです)

しかし、通貨水準が変わってしまったら・・?

なかなか聞くことのできないリアルな金鉱山会社の現状を
亀井さんにお話いただきました。
是非オンデマンド放送をお聞きくださいね。

また、番組後半ではここからの金価格を見るポイントとして
米国利上げを巡る議論について。

亀井さんはFRB利上げに関係する4つのリスクとして

①早すぎるリスク
②遅すぎるリスク
③オペレーションリスク
④世界経済へのプレッシャー

が存在すると指摘、そのうちの③オペレーションリスクについて
詳しくお話くださいました。

亀井さんが注視されているのは長期金利。
4月下旬からドイツ10年債利回りが上昇開始しており、
米国の10年物利回りも上昇中。

この動きは米国が利上げを判断する際にかなり意識される
ポイントとなってきます。

詳しくは是非オンデマンド放送で亀井さんの解説を
お聞きください。

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