プラチナ パラジウム価格差縮小続く  [大橋ひろこコラム]
2015/06/05(金) 23:29 大橋ひろこ

プラチナとパラジウム、どちらも白金系貴金属で主に自動車触媒として使用される工業品の需要が大きいことで知られていますが、目ためには全く違いがわかりません。しかし、その価格には大きな乖離がある、と思っておりましたが、昨今、その価格差が急激に縮小中です。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はICBCスタンダードバンク東京支店長池水雄一さんにお話を伺いました。

2009年2月27日、パラジウムはプラチナに対して1:5.48と5分の1以下の価格でした。
これが今年3月13日には1:1.41までその差は縮小、現在は1:1.46と
最大の5倍あったプラチナとの値差が2倍を大きく下回るところまで下がってきました。

パラジウムの上昇が目覚ましいのか、プラチナ価格が低迷しているのか...。
池水さんは、そのどちらも価格縮小の要因である、と指摘。
数年前から、池水さんはプラチナとパラジウムの価格は等価になる
可能性があることを指摘してこられましたが、それが現実味を帯び始めています。

池水さんからプラチナとパラジウムの価格チャートを頂戴しました。

現在パラジウムの需要の7割を占めるのは自動車触媒。
リサーチ会社のMetals Focusは、自動車の主要市場の経済危機からの
回復の度合いが、マーケットによって違うことが影響したとしていますが、
パラジウムの触媒はガソリン車。

北米の自動車売上高は2009年11月には1100万台という底をつけた後、
景気回復によって、過去5年半、年率にして平均8.9%自動車販売が増加、
今年3月には1780万台と2006年5月以来最高のレベルにまで達しました。

日本の自動車も基本はガソリン車です。ハイブリッドカーもそうですね。
そして、自動車販売台数では米国を超えた中国もそうです。

足元では景気鈍化が懸念されている中国ですが、
過去5年を見ると自動車販売台数が伸び続け、
2009年は125トンだったパラジウム需要が、
2014年には230トンまで増加しています。

プラチナはディーゼル車触媒ですので、欧州経済に影響を受けるのです。
欧州は自動車の売上の55%がディーゼル車。

景気回復は北米に較べても弱く、経済危機以前の自動車販売は
1400万台を越えていましたが、2013年6 月に1130万台と過去最低を記録、
米国の景気の底からほぼ3年半が立ってからの最低記録更新となりました。
このため、プラチナの自動車触媒需要も回復がゆるやかで
2014年は93トンと2009年の68トンの底からは改善しているものの、
2008年の137 トンにははるか及ばないレベルにあります。

また、プラチナの自動車触媒需要は全需要の40%程度で、
20%を占める宝飾需要部分においても、中国の習近平政権の
贅沢を禁ずる倹約令施行から、パタリと中国からのプラチナ買いが
なくなったと池水さん。この分野での需要低迷もプラチナ価格を
低迷させているようです。

プラチナ生産国である南アフリカの通貨であるランド安も
プラチナ安の原因となっています。ランド安によって
ランド建てのプラチナ価格は高騰するため、生産者はこれを好機と
プラチナ生産を増やし売ろうとするために供給過剰気味に。
需要が弱い上に供給が落ちないのですから、上値圧力が
かかり続ける構造です。

池水さんは今後もパラジウムはプラチナと比較して
よりタイトな需給が続きそうだ、ということで、
長期的にもパラジウムの価格は限りなくプラチナに
近づいていくと思われる、と解説くださいました。
詳しくは、オンデマンド放送で池水さんの解説をお聞きくださいね。

コメント