シェールガス革命がシェール「エタン」革命へ [大橋ひろこコラム]
2015/05/29(金) 23:14 大橋ひろこ

昨年2014年秋口から原油価格が急落、米国のシェールガス革命も、掘削稼働リグが半減するなど余剰生産に歯止めがかかってきたことから、この先はの米国のシェールガス新規投資はないのでは、とその先行きが注目されていますが、実はシェールガス革命はシェール「エタン」革命へと発展し、米国への投資が活発になっていることをご存知ですか?!

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は株式会社セキツウ常務取締役の山内弘文さんに
お話を伺いました。

日本の信越化学工業も米国への投資を決めたことが
伝えられています。何故今から米国への設備投資なのでしょうか。

1.シェール革命の波及と石油化学

シェール革命は2006年から本格化しました。
 まずはシェールガス革命としてスタート、これが技術的継承を経て
シェールオイル革命につながり,
北米,特に米国では天然ガス生産量・石油生産量ともに飛躍的に増加しています。

原油生産・天然ガス生産に付随して併産されるNGL(Natural Gas Liquid:天然ガス液)。
ナフサに近く軽質の石油ですが、現在起こっているエタン革命は
シェールガス、オイル生産に併産されているNGLから分留されて生産されます。

NGLは燃料としてそのまま消費することもできますが、シェールオイルに併産される
ものであることから、単体での生産調整が難しく、
現実には原油やガスの掘削の圧力増加のために地中に再注入されたり、
石油掘削塔の先でフレアされることが多いとのこと。
フレアというのは、要するに燃やしてしまうわけですから、
大量のCO2を発生するため環境には極めて好ましくないことも問題視されています。

バッケン・シェールでは生産されるNGLの35%を燃やしているのが現状です。
何故備蓄しないのか、というと、NGLにはガス種を大量に含みますが
その比重が空気よりも重いため、そのまま蓄えておくことができない
という性質を持つためです。

ではこのNGLを有効活用できないものでしょうか。


NGLは分留装置にかけると各ガス種に分留できます。
エタン,プロパン,ブタン,イソブタン,天然ガソリン(液体)などになり、
「エタン」はエチレン原料になります。
「プロパン」はエチレン・プロピレンなどの原料及び燃料,
「ブタン」や「イソブタン」もエチレン・プロピレンン等の原料となります。

ただし,問題はコストとの兼ね合いです。
販売先があり,分留装置等建設に伴うコスト+マージンが確保されれば,
NGLが有効利用されますが、、、。

サウジアラビアその他の中東産油国は、日本などアジア諸国に
LPガスを大量輸出できたために,1960年代から
原油随伴NGLの分留装置などが普及してきました。
中東などは、原油生産コストが安価であったことに加え
石油モノカルチャー経済からの脱却を目指して、
1990年台から石油化学プラントが次々に建設され、
極めて廉価なエタン原料のエチレンが供給されるようになったことで
米国はコスト面では中東との競争力がなく
この分野はほとんど「死に体」となっていました。

米国は環境規制の強化から天然ガス需要が急拡大したことで
天然ガス価格は高騰、
米国のエタン800㌦/㌧,中東のエタン40~100㌦/㌧,
日本などのナフサ1,200㌦/㌧ということで、中東のエタンが圧倒的に
安かったわけです。しかし、日本のコストの高いこと...。

2.米国の石油化学産業の復権

この米国石油化学を救ったのが「シェールガス革命」。
天然ガスが大増産となるから随伴NGLも大増産となります。

現在大増産となっているシェールガス鉱床は
北東部のマーセラス・シェールやユーティカ・シェール。

ここのシェールガスはとりわけNGLが多いウェットなガスで
メタンは85%前後も含有しているため、
NGL生産量も飛躍的に増加しています。
現在の米国のNGL生産量は310万㌭/日!

しかも,天然ガス価格も8㌦/百万Btuから2~3㌦に急落し
プロパンもブタンもエタンも天然ガソリンも急落しています。

米国でNGLが大増産されているためで原材料である
NGLコストが急落。
おまけに米国はインフラが整っているために
インフラ投資は必要ありません。港も鉄道も道もあります。
NGLを分留する際にかかるエネルギ―コストもシェールガス、
オイル革命で安価となりました。

ここに目を付けた石油化学産業の世界の企業が続々と米国に
新規にプラント建設をしているのです。
日本の信越化学も米国へのプラント新設を発表しましたね。

エタンは塩化ビニールとなります。
信越化学は塩ビは世界シェアトップ。

シェールガス革命はシェールオイル革命へ波及しましたが,
同時にシェールLPガス革命へ発展、現在では
「シェールエタン革命」として世界の石油化学産業をも
変えようとしていると山内さん。

詳しくはオンデマンド放送で山内さんの解説をお聞き下さいね。

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