油価急落が誘発するグローバルリスク [大橋ひろこコラム]
2015/02/06(金) 19:24 大橋ひろこ

WTI原油は2月に入って、1バレル=50ドル台を回復する動きを見せていますが、昨年の100ドル台から半年以上かけて半値にまで下落した原油相場、いよいよ底入れしたとみていいのでしょうか?

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は資源・食糧問題研究所の柴田明夫さんに伺いました。

原油は2月に入って反発基調に入ったように見えますが、
依然として需給ギャップは大きなままです。

OPEC(石油輸出国機構)は減産を見送ったまま、
日量3,000万バレルの目標を上回る生産を継続しています。

米シェールオイルの増産も続いており、いずれも原油価格の下落を
生産増でカバーしている格好です。

EIA(米エネルギー情報局)発表の1月末の米国石油在庫は
4億バレルを超え、記録を始めた1982年以降で最高水準。
まだまだ本格底入れとは言えない状況ですが、
市場では油価急落に伴うリスクへの警戒も高まってきています。

今回は柴田さんに油価急落で懸念される3つのグローバルリスクに
ついてお話を伺いました。

①米国のシェール革命への影響

シェール関連企業は油価急落分を増産で補おうとするため
直ちに生産が減退するわけではありまさえんが、
早晩、新規投資は抑制されてきています。
1月にはWBHエナジーが経営破綻。
BHPビリトンは6月までにシェール開発を
40%削減することを決めました。

ロイター通信は、ノースダコタ州バッケンで
現状の日量120万バレルの産油量を維持するためには、
井戸元価格で約55ドルが必要との政府関係者の見方を紹介
していますが、同州におけるすべての新規井の掘削が
中止となる油価は、29~41ドルとしています。
ダン郡29ドル、
マッケンジー郡30ドル、
ウィリアムズ郡36ドル、
モントレイ郡41ドル

シェール層だけではありません、在来型石油開発にも影響が
出始めています。
BPは北海油田事業で300人を解雇すことを発表しています。

②ロシアへの影響(イラン、イラク、ベネズエラへの影響も)

ロシアの5,200億ドルを超える輸出額の6~7割は
原油・石油製品・天然ガスが占めています。
油価が半分になればこれら輸出額も半減することに。

経常収支の悪化を見越した投資筋がルーブルを売却。
1ドル=30ルーブル前後で推移していた通貨は急落しましたが
通貨急落を阻止するためロシアは政策金利を引き上げています。
引き締め政策は景気をさらに悪化させるリスクが伴いますね。

欧州復興銀行(EBRD)は今年のロシアの実質GDPが
前年比▲4.8%と予測しています。
さらに、石油会社ロスネフチの資金繰りが急速に悪化しており、
取引先である欧州企業や金融機関への影響も懸念され始めました。

③中東の不安定化

各産油国は、国内の治安維持のため、貧困層に対して
ガソリンや食料などを手厚く補助をしています。

IMFは、財政収支を均衡させる原油価格について
バレル当たり、サウジが86ドル、イラン130ドル、
イラク109ドル、UAE74ドル、カタール71ドル、
クウェート52ドルなどと推定しており、
油価急落により財源が細れば、こうした大盤振る舞いは
不可能となってしまいます。国民の不満が高まり
社会不安を増長させるリスクに繋がるとみられます.

また、ソブリンウェルスファンド(SWF)の逆流も気がかり。

オイルマネーは中東だけで2.7兆ドルにも上るとされています。
(世界では7兆ドルとの試算も)
オイルマネーのレパトリが起これば金融システム不安につながる
という指摘もあるようです。

これらはいずれも行過ぎた油価下落に対して
持続不可能なリスクですが、しかし、油価急落の後には
反動高もあるでしょう。今、まさに43ドル台の安値を底に
揺り戻しの上昇に入ったようですが、原油は新たな
均衡点価格を探るためボラティリティの高い値動きが
続くとみられます。

詳しくはオンデマンド放送で柴田さんの解説をお聞きください。

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