原油生産量増加で洋上在庫が増加中 [投資α情報(大橋ひろこ)]
2015/01/30(金) 23:13 大橋ひろこ

1月29日、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で、原油先物価格が2009年4月以来約6年ぶりに44ドル台を割り込む局面がありました。米エネルギー情報局(EIA)石油在庫統計で23日までの週の原油在庫が1982年の統計開始以降で最高を記録。23─27日の石油受け渡し拠点オクラホマ州クッシングの在庫がさらに160万バレル増加したことなどが嫌気されました。原油市場では今一体何が起こっているのでしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は株式会社セキツウ常務取締役 山内 弘史さんに
原油市場を取り巻く材料と今後についてお話を伺いました。

EIAが1月28日発表した統計によると、

米国の1月1~23日までの原油生産量は日量919万㌭。
これはなんと前年同期比113.6%にも上ります。
1月23日の1週間の生産量を見ると日量921万㌭で
前の週と比べて日量で3万㌭/日も増加していたことが分かりました。

ちなみに12月の生産量は日量912万㌭で、この時点でも
前月比0.7%増、前年同月比115.9%でした。
12月としては原油生産量は1972年以来の高水準となっています。

増産傾向が続いているのは米国だけではありません。
中東産油国、OPECの原油生産量も増加の一途をたどっています。

OPECの12月の原油生産量は
日量3,048万㌭で、前月比8万㌭/日の増加。
内訳をみてみると、
イラクが日量370万㌭で前月比29万㌭増加
イランが日量284万㌭で前月比3万㌭増加
UAE276万㌭/日 前月比5万㌭/日増加
一方、リビアは日量44万㌭で前月比で25万㌭減少したのですが
それでも相殺すると他国の増産が効いてなおプラスでした。

米国もOPEC産油国も増産する中、、、需要はどうなのでしょう。

2014年のQ4の石油需要は日量9,340万㌭でしたが、
前月の需要見通しを9万㌭から下方修正されています。

世界の石油供給は日量9,430万㌭となっており、
依然「供給>需要」供給過剰状態が続いています。

2015年Q1需要は日量5万㌭下方修正の9,250万㌭予測。
供給は9,350万㌭見込みですので、引き続き供給過剰状態が
続くとみられています。

米国を除いて石油需要の伸びは当面鈍化、ないしは後退を続ける
と見られ、IEA,EIA,OPECなどの
各国際的エネルギー機関は
「2015年の前半までは価格下落が避けられない」と予想しています。

しかし、これだけ原油価格が下落しているのに、生産抑制の動きは
ないのでしょうか?

山内さんによると、稼働リグ数は減っているものの,
原油生産量は増加しているということのようです。

◇原油の稼働リグ数 2014年のピークは10月の1,596基 12月は1,539基
2015年1月23日には1,317基

しかし、減少しているのは垂直掘りの古いリグや水平掘りでも
生産効率の低いリグで、残された生産効率の高いリグ1基当たりの
原油生産量は増加しているのだそうです。

ここまで価格水準が大きく変わってくると
シェールオイルの生産コスト、OPEC諸国などの原油生産コストが
注目されますが、ばらつきは大きいものの
中東陸上油田の平均コストは29㌦、5㌦前後の油田も多いとか。
ガワ―ル油田など古くて大量生産できる油田は5㌦以下だそうです。

油田(国)によってコストはまちまちでも
まだまだ下値余地があるとみることもできますね。

米国のシェールオイルは平均62㌦とされていますが、
三大シェール(バッケン,イーグルフォード,パーミアン)の
量産シェールのコストは30数㌦~40㌦で、45㌦前後の現在の
価格からみれば、まだコスト的に余裕があります。
この3大シェールで生産の85~87%を占めているのですから、
この30数㌦~40㌦というコストが最も重要だと考えていいでしょう。

ちょっと驚いたのが、需給の緩みで在庫が急増し、
世界の陸上タンクはどこもほぼ満杯になってしまっていること。
山内さんによれば、陸上タンクにストックできなくなったため、
VLCC(200万㌭)をチャーター。

つまり、海の上に原油在庫がストックされているという状態に。
これを洋上在庫と呼ぶのですが、この隻数が約20隻にも増加して
いるのだそうです。

40ドル台にまで下がっていよいよここが底値かと
原油を購入し在庫として抱えた向きが、値下がりにより
この原油を一気に市場で放出し、さらなる市場価格の下落を
招く一因であると山内さん。

まずは、この歴史的な在庫がはけるまでは原油の反転上昇は
考えにくいということになりますが、さて、、、。

詳しくはオンデマンド放送で山内さんの解説をお聞きくださいね。

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