産油国、原油安で逆オイルショックの様相 [大橋ひろこコラム]
2014/12/05(金) 18:49 大橋ひろこ

サウジアラビアは4日、米国とアジア向けの1月積みの原油価格を大幅に引き下げると発表しました。サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコは代表油種「アラビアンライト」の米国向け公式販売価格(OSP)を12月から0.70ドル、アジア顧客向けの価格は1バレル当たり1.90ドル引き下げ、ドバイ原油とオマーン原油の平均価格より2ドル安い水準とするとされています。サウジアラムコは10月にも、アジアとアメリカ向けの原油輸出価格を大幅に引き下げており、市場シェアを守る道を選んだとみられますが、何故原油価格は下落が続いているのでしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は資源・食糧問題研究所 柴田明夫さんに原油市場を取り巻く問題と
原油価格の今後について伺いました。

11月27日、ウィーンで開催されたOPEC(石油輸出国機構)総会は、
日量3,000万バレルの現行生産枠を維持することで合意し、
油価急落を防ぐために必要な減産を見送りました。

これを受け、ニューヨークWTI原油は、1バレル=60ドル台半ばまで急落。
北海ブレントも一時70ドルを割り込んだのですが、原油価格に底入れ感はありません。

ちなみに、IMF(国際通貨基金)は、
財政収支を均衡させる原油価格について、
サウジが86ドル/バレル、
イラン130ドル、
イラク109ドル、
UAE74ドル、
カタール71ドル、
クウェート52ドルと推定しているのですが、
何故OPECは減産しなかったのでしょうか?


柴田さんは油価急落をめぐって、原油市場が
サウジアラビアと米国のシェールオイルとの
「チキンゲーム(我慢比べ)」の様相を呈し始めたと指摘。
このままチキンゲームが終わらなければ原油の供給過剰が継続し、
原油価格は一時的に50ドルを割る可能性もあるとしています。


サウジをはじめとするOPECは、イージーオイルと言われる
在来型原油を生産しています。
これは「液体で濃縮された経済的な場所にある」安価な原油です。

サウジやイランなど中東産油国の生産コストは
バレル当たり4~20ドルとされています。

対して、シェールオイルに代表される非在来型原油の場合、
「液体でなく、濃縮されておらず、経済的な場所にもない」
ハードオイル(hard oil)で、
生産コストは30~90ドルとされています。
シェール層によってコストは随分違うようですね。

米国のリサーチ会社が、北米のシェールオイルの損益分岐点を
調査したところ、WTIが80ドルを割れば、
約3分の1が採算割れになると発表していいます。


WTI原油の急騰は、日本などの輸入国にとっては
「オイルショック」をもたらすものでした。
しかし、2011年以降は90~100ドル台で推移してきたことに
慣れてしまったことから考えると、今回の60ドル台までの急落は
産油国にとって「逆オイルショック」と言えよう、と柴田さん。

サウジは市場シェアを重視し、シェールオイルの減産を
引き出すために敢えて油価下落を選んだとみられますが、
OPECにおいても10月の原油生産量が、
過去14か月で最も高い水準である日量3,097万バレルとなり、
6カ月連続で目標生産枠を超過しています。

どうやら原油価格は「新たな下値均衡点」を探る動きに
入ったようですが、シェールオイルの生産が直ちに
抑制されるとも思えません。

限界生産コストの高い鉱区での生産は困難になるとしても、
比較的低コストの鉱区では、油価下落による原油収入の
落ち込みを増産によってカバーしようとするでしょう。

ちなみにBP統計によれば、米国の原油生産量は、
2008年の日量678万バレルから2013年で1,000万バレルに拡大。
この内、450万バレルがシェールオイルとされます。

短期的には、価格が下落することで更なる増産となり、
供給過剰からさらに価格が下がるという負のスパイラルに
入ってしまいましたが、問題は、将来の需要拡大に必要な
上流部門への開発投資が控えられてしまうことだと柴田さん。
多くの産油国は、国内の治安維持のため、
貧困層に対してガソリンや食料などを
手厚い補助金によって提供しているため、油価急落により
財源が細れば社会不安を増長させることにも繋がります。

詳しくはオンデマンド放送で柴田さんの解説をお聞きくださいね。

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