スイス国民投票で大量の金買いの可能性浮上?! [大橋ひろこコラム]
2014/11/07(金) 23:44 大橋ひろこ
10月には米株が急落し、金価格が上昇する局面もありましたが短命に終わり、金価格はこれまで重要なサポートラインとされてきた1180ドルの節目を割り込んでしまいました。テクニカルは著しく悪化し、下値が深くなりそうな局面となっていますが、ここからの金相場どのように見たらいいでしょう。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は金融貴金属アナリスト亀井幸一郎さんにお話を伺いました。

◆取り巻く材料は弱気ばかり◆

①金融要因

10月、米国はQE3(量的緩和政策)を終了させ、マーケットは
利上げの時期を模索し始めました。他方、欧州はこれから追加の
量的緩和策に踏み切るとみられ、日本は日銀によるバズーカ2で
更なる量的緩和に踏み切っている、、、というように、主要国の
金融政策面からは「ドル高」展望が強く、このドル高が金だけでなく、
プラチナや原油などコモディティ価格の下落を誘発しています。
今後もドル高は継続するとみられ、金には下落要因となり続けるものと
思われます。

②実需

インドは文化的に需要期には金買いが旺盛となりますが、
今年動きが鈍いのが中国。昨年2013年に1000トンを超える大量の
金を輸入したことで、これが在庫になっていると見られますが、
価格が安くなると買い出動するとされる中国が、
ここまで下げてきても大きく買ってこないということが気がかり。
援軍来たらずで、下値がサポートされることなく、
重要な節目も割り込んでしまったようです。

③金ETF大量解約

9月FOMC直後のドル高の中で金価格は節目の1200ドル大台割れ。
この時点では、金のETFからの大きな資金流出は見られなかったの
ですが、10月30日に再度1200ドル大台を割り込んだ際には
大量に金のETF市場からの解約、資金流出が見られました。
ファンド勢が金市場から他の市場へ資金シフトしたとみられます。

④テクニカル悪化

トリプル底となるかと見られた1180ドルのサポート割れで
テクニカル分析によってトレードする欧米勢は
売りを加速させた可能性が高いものの、亀井さんはインドなどの
実需筋はテクニカルなどは一切関係なく金買いを行うため、
テクニカルがどこまで有効か、という点について言及されています。
たしかに、ここにきて出てきた「スイスの国民投票」という
大きな材料がテクニカルとは関係のない金買いのインパクトと
なる可能性が出てきています。今日のお話はここからがメイン。

◆スイス国民投票で大量の金買いの可能性浮上?!

スイス中央銀行の金準備売却禁止の是非を問う国民投票が
11月30日に行われます。

今回の国民投票では

スイス中央銀行は、国外に保管している全ての金準備をスイスへ持ち帰る
スイス中央銀行の全資産の20%を金準備とする
スイス中央銀行の金準備の売却を行わない

ことが問われ、これが可決すればスイスは金準備を20%まで
引き上げなければなりません。

スイス中央銀行の金準備の全資産に占める割合は
2010年4月以来20%を割り込み、亀井さんによると現在は
7.5%まで程度にまで低下しているそう。
20%まで引き上げるためには、スイス中央銀行は
およそ1500トンの金を購入しなければならないこととなるのです。

そもそもこの国民投票、今年7月に保守・右派のスイス国民党が
7月に署名を集めて定数に達したことで11月に実施されることは
随分前からわかっていたことでしたが、多くの人々は
これが可決するわけがないと楽観視していたのですが、
10月末の世論調査で、なんと賛成が44%にも達することがわかり、
にわかに現実味が増している、ということのようです。

こうした流れを受けてスイス中央銀行のジョーダンSNB総裁が、
「金準備の売却が禁止になれば、スイスフランの上限維持は困難になる」
と発言しています。

スイスは、昨今の欧州危機でユーロ圏からの資金流入が続き、
ユーロ売り、スイス買いが加速。
ユーロスイス相場がどんどん下落(スイス高が加速)したことで
1.2000を防衛することを宣言。この水準で膨大なスイス売り介入を行い
この水準を割らせないという政策を取っています。

しかし、外貨準備における金の割合を20%にまで引き上げなければ
ならないということは、外貨準備における通貨の割合を
落とさなければならず、銀の責務遂行が難しくなるとして
懸念を示しているということですね。

亀井さんは、イギリスのスコットランド独立を問う住民投票の時に
よく似ていると指摘、あの時も投票日が近づくにつれ、
独立賛成派と反対派の票が拮抗しているという民間調査が出たことで
通貨市場ではポンドが大きく売り込まれ、結局、独立ならずの結果と
なったことで、ポンドが買い戻され急騰するということがありました。

今回は通貨、スイスだけでなく、金市場にとっても大きな材料と
なってくる可能性があるということですね。

そもそも、何故スイスフランがリスク回避時の避難通貨として
人気があるのかご存知ですか?スイスは1990年代には
バランスシート資産の25%は金で保有していたのです。
発行通貨の25%は金に裏付けされているということでの
安心感からスイスフランは有事に買われる通貨として
選ばれてきたのです。

それが、何故気がついたら7.5%にまで金が売却されてしまったのか?
その背景にも実は「国民投票」が実施された歴史がありました。

1990年代末に全米ユダヤ人協会からのプレッシャーで
2000年から5年もの歳月をかけて金を売却し続けたという経緯について、
番組では亀井さんに解説いただいていますので、
是非オンデマンドをお聞きくださいね。

コメント