トウモロコシ底入れは近いか? [投資α情報(大橋ひろこ)]
2014/10/10(金) 23:00 大橋ひろこ
10月マーケットは大荒れです。日欧米の株式の下落、ドル高の修正局面を向かえ、コモディティ市場でも原油などの景気循環系銘柄が売られ、WTI原油価格は84ドル割れまで下落となりました。一方、リスク回避の思惑から金は買い戻される展開に。世界景気に対する不安を高める材料が相次いだことが背景のようです。7日発表されたドイツの8月の鉱工業生産は前月比▲4%と大幅悪化、牽引役であるドイツの低迷からユーロ圏経済の先行きに対する懸念が膨らみ、これにより大口の貿易相手国である中国への懸念も強まることとなりました。また、IMFも新興国の成長鈍化などを指摘し、世界経済の見通しを引き下げています。世界の景気後退が懸念されるということは、世界的に需要が低迷するという思惑にも繋がりますが、今後のコモディティ市場へはどのように影響してくるでしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回はマーケット・リスク・アドバイザリー津賀田真紀子さんに
トウモロコシ市場を取り巻く環境と今後についてお話を伺いました。

米国では10月で量的金融緩和に伴う証券購入が終わり、
来年の利上げが視野に入ってきています。
先進国で異例の低金利が長引き、緩和マネーが世界中の
様々な資産に流れ込んで来ましたが、実際に米国で
利上げが始まると、その構図が逆転する可能性が考えられます。
実際、カネ余りの恩恵を受けてきたコモディティ市場は世界景気の減速もあり
一足先に下げる動きとなっています。

津賀田さんは
「そもそものファンダメンタルズが弱い銘柄は特に売り込まれ易い状況」として、
穀物、トウモロコシの下落について解説くださいました。

シカゴトウモロコシ相場は依然として軟調な値動きが続いており、
現在は1ブッシェル340セント近辺と2009年9月以来の安値となっています。
現在はIMFの世界成長率の下方修正を受けてややドルが買い戻されていますが、
基調としてはドル高が続いているため、リスク資産である
トウモロコシにも資金が入り難くなっていることが背景にあります。

需給環境ですが、2014-15年度のトウモロコシ生産量は
前年度比+0.9%の140億3,200万ブッシェルと
過去最高の豊作となることが予想されています。

最大生産国である米国の主要産地では現在、収穫作業が行われていますが、
10月6日に米農務省から発表されたクロッププログレスによると、
順調に収穫が進められていることに加え、作柄も良好な状態です。

過去最高の豊作による供給過多に加えて、需要も冴えません。
家畜向けの飼料需要は前年度比+1.4%となることが予想されていますが、
エタノール向けは同比▲0.9%、輸出向けは▲9.1%となることが
見込まれており、需要の増加による相場反転は期待し難い状況。

特に輸出向けの需要の落ち込みが目立ちますが、
米景気の回復や大豆の大幅増産などの影響によって米国内の
輸送コストが大幅に上昇していることに加え、
ここ最近の急激なドル高の影響により今後輸出向けの需要が
下方修正される可能性も考えられます。

収穫期には農家が収穫した作物を市場で売ることで
価格が下がりやすいとされる、ハーベストプレッシャーが
上値を抑える要因ですが、近年は保管容量が大幅に拡大しており、
主要ターミナルの保管率は収穫直後こそ上昇するものの、低下傾向。
これは2年前の干ばつによる穀物価格高騰が農家に大きな利益をもたらしたことで
農家がサイロ増設などの設備投資を行ったことによるもので、
既に生産コストを下回るほどの安値となっていることを考えると、
しばらくは生産者による売り渋りが発生する可能性もあるかもしれません。

また、米国ではエタノールの使用義務量が法律で定められているため、
中西部ではエタノールの製造に使われるトウモロコシが多く、
収穫直後のトウモロコシが買われ易くなっています。
これらのことを考えると、ハーベストプレッシャーによる売り圧力は
一昔前よりも影響し難くなっているのだそうです。

では、そろそろ、安値拾いの買いが相場を押し上げることもあるでしょうか。

津賀田さんは生産コストの観点から現在のシカゴトウモロコシは
売られ過ぎと解説くださいました。米農務省が6月に発表した生産コストは、
2014年の1エーカー当たりの生産コストは690.59ドル。
2014-15年度の予想単収は171.70ブッシェルなので、
1ブッシェルあたりの生産コストは402.21セントということになります。
現在は340セント辺りで推移していますので、一時的に安値を
買い拾う動きが活発化する可能性が考えられます。

ただし、ファンダメンタルズの弱さを考えると、
中長期的には需給緩和を反映した値動きが続くとして、
仮に上昇に転じたとしても上昇余地は限られるのではないかと津賀田さん。

詳しくはオンデマンド放送で津賀田さんの解説をお聞きくださいね。

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