急落する原油、需給ファンダメンタルズ [投資α情報(大橋ひろこ)]
2014/09/26(金) 23:30 大橋ひろこ
円安で輸入物価は上昇しているにもかかわらず日本のレギュラーガソリンの小売価格も10週連続で下落していますが、その背景にあるのは国際原油価格の下落です。

みなさんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は株式会社セキツウ常務取締役 山内 弘史さんにお話しを伺いました。


原油の国際指標3種の9月第3週値動きは

WTI原油  93.54㌦/㌭ (2014年の高値 3月第1週 102.77㌦)
北海ブレント 98.15㌦/㌭ (   "       2月第3週 110.05㌦)
ドバイ原油  94.60㌦/㌭ (    "       6月第3週 108.06㌦)




なぜこれほどの下落となっているのでしょうか。
山内さんにその背景を伺いました。

①米国の原油大増産が続き 在庫水準が上昇
②アジア途上国とEUの経済に陰り 需要が低迷
③地政学リスクが供給の大幅減少につながらない
④天然ガス市況の軟化
⑤米国の原油輸入の減少と石油製品輸出の増加

弱気材料ばかりで上昇要因が見当たらないのが現状です。


■すまじい米国の原油増産

米国のシェール革命で、米国の原油増産は増加しています。
2008年500万b/d
2009年535万b/d
2010年548万b/d
2011年565万b/d
2012年650万b/d
2013年745万b/d
2014年834万b/d
直近では863万b/dにも上っています。

2008年比では330~360万b/dもの増加です。

2013年のUAE原油生産量は270万b/d
イラ原油生産量は303万㌭/日ですから、
この中東の2大産油国を上回る増産となっているのです。
なんと2016年には原油生産量がサウジの960万b/d前後を
上回るとIEAも予測しているのです。

加えて、メキシコ湾の沖合油田からの新規増産も始まっています。
2010年のBPマコンド油田の大暴噴事故でメキシコ湾の
原油生産は停滞しているものとばかり思われていましたが、
2013年に125万㌭/日だった同湾生産量が,
2014年141万㌭/日,2015年には167万㌭/日になると
EIAは試算しています。


メキシコ湾の新規原油生産プロジェクトのうちの11が
2015年中までに操業を開始するということで、
これらが2014~2015年に42万㌭/日生産を押し上げると
見られています。シェール革命だけでなく、在来型油田の
増産も加わって、山内さんは早ければ来年2015年には
サウジを抜いて、アメリカが世界一の原油生産国に
躍り出る可能性もあると解説くださいました。

■地政学的リスクによる減産はどうなったのか?

地政学要因をはやして価格が押し上げられる局面もあったのですが、
直接原油生産にダメージはなかったことで
プレミアムは剥落しました。

リビアは部族間紛争で輸出港閉鎖されたことが減産の背景でしたので、
原油生産拠点が破壊されたわけではなく、
出荷できない状況にあったための減産だっただけでした。

リビアは原油輸出港が8月から出荷再開 原油生産量は53万㌭/日まで回復,
9月には87万㌭/日となっています。リビアの生産能力は165万b/d
まだまだ増える余地はありますね。

イランは核開発問題を巡っての経済制裁による減産でしたが,
韓国・中国・インド・トルコ向け輸出が増加し始めており、
イラクは南部の油田地帯は平常通りの生産308万b/d。

この結果,地政学リスクによる減産量と米国の増産量が
逆転してしまい、供給に懸念が生じることがなかったのですね。

■足元の石油需給は?

対して、需要は伸びず。

2013年石油供給量9,017万b/d
石油需要量9,044万b/d
需要>供給27万

2014年石油供給量9,165万b/d
石油需要量9,156万b/d
需要<供給9万

2014年は需要を供給が上回ってしまっています。
米国の増産が世界の需給を急速に緩和しているわけですが、
米国は自国で原油生産できるために輸入が減少しており、
8月の石油(原油と石油製品)の輸入量は9,208千㌭/日で
前年同月比10.2%もの減少となっています。
8月としては1995年以来19年ぶりの低水準だそうです。

輸入が減少する一方で石油の輸出は増加しており、
8月の石油製品輸出量は400万㌭/日。
前月比1.5%増,前年同月比7.5%増の水準で
8月の製品輸出量の過去最高となりました。
米国は原油は戦略物資で輸出が禁じられていますが、
製品に加工すれば輸出できる、ということでチャートのような
輸出の伸びとなっています。

WTI原油価格は現在90㌦近辺まで下落してきていますが、
現状では、まだまだ下落余地はあると山内さん。
シェールの採算コストラインは70~75㌦ということで
90㌦であればまだまだ利益になります。


つまり、採算コストラインにまで接近するところまで
原油は下がるリスクが残されているということ。
山内さんは80㌦を割り込むということになると、話は
変わってくるが、80㌦程度までの下落余地は十分にあると
お話くださいました。詳しくはオンデマンド放送で山内さんの
解説をお聞きくださいね。

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