地政学リスクのプレミアムは剥落、需給緩和の原油市場 [投資α情報(大橋ひろこ)]
2014/08/29(金) 23:26 大橋ひろこ
6月から8月までの3ヶ月の月間平均価格推移はWTIで$8-9、Brentで$9近い値下がりとなっています。

7月上旬はリビアの生産回復期待からWTI 原油は値を下げるも、米国原油在庫減少、イスラエルのガザ侵攻、ウクライナ情勢の悪化で反騰、地政学要因による価格高騰に繋がるかと懸念されましたが、結局月末31日には$98.17とWTI価格は100ドル割れとなりました。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はオイルエコノミスト藤沢治さんに原油価格動向について伺いました。

8月に入ると、イラクのIS、ウクライナ紛争が懸念されるも、原油生産には影響を与えないことからリスクが価格に織り込まれることはなく、むりろ欧州の2Qの経済成長がゼロ、特にドイツ経済の不況ニュースを嫌気して月半ばよりジリジリと下落。石油需要もIEAも8月の市場報告で、2014年の需要予測を下方修正しています。(前回の予測より日量18万バレル減らし、日量9,286万バレル、前年比で105万バレル増、1.1%増とした。)

米国のガソリン需要も増加せず、欧州は需要減、アジアの需要も増加が鈍化などで、価格は下落。8月平均のWTIは、$96程度。(前月比$6以上の値下がり)、Brentも$103.50程度。(前月比約$5の値下がり)先物市場での非当業者のネット・ロング・ポジションの割合も減少となり、7-8月は、供給が増え需要が不振であった需給要因が支配した相場となりました。

これからの短期原油価格の決定要因を藤沢さんに伺っています。


 地政学的要因

① イラク問題

イラクの「イスラム国」の拡大と紛争は、「イスラム原理主義の国を新たに創設したい」という目的を持つ性格から、従来の紛争とは異なっており、事態はイラクだけでなくシリアにも波及しています。シリアではISは反体制派に属しており、空爆はアサド政権を利することに繋がることから事態は長期化するとの予想が多いのが現実。
8月8日、オバマ大統領がイラクへの空爆を承認、米国の空爆が開始されましたが、効果は低いものと見られます。


② ウクライナ問題

ミンスクで行われた会談に注目が集まっていましたが、プーチンとウクライナのポロシェンコの交渉は物別れに終わったようです。ロシアへの制裁はEU経済に大きな打撃となります。欧米のこれ以上の制裁強化があれば、ロシアからのガス・石油供給途絶の可能性も出てくるため、EUにとっては深刻な事態に繋がります。そこまで関係が悪化する可能性は低いと目されていますが、問題は長期化の様相を呈しています。


③ リビア問題

内乱によりリビアからの原油輸出が停止していましたが、輸出は再開されました。現在は生産が増えているものの、これが持続するとは思えないのだとか。エジプト、UAEがリビアの武装イスラム勢力に空爆をしたとの情報もあり、まだまだ混乱のリスクが残っています。専門家らの間ではリビアの原油生産、輸出の安定性は期待できないとの見方が大勢のようです。

というように、地政学リスク要因は多発している印象ですが、これらの問題は、既に市場に織り込み済みで、今のところ原油生産、供給に支障が出ていないことから原油需給は緩和しています。
仮にイラク南部がISに支配されるようになり、ウクライナ問題がこじれて、ロシアからの石油・ガス供給が削減された場合には、原油価格は急騰する可能性はありますが、現状ではそうしたリスクは低いと見れらているようですね。


こうした中にあって、地政学プレミアムはすっかり剥落している原油市場ですが、需給は緩いのが価格下落の背景。需要が伸びない反面、供給は増えているのです。


特に米国とカナダでの原油生産増が大きく、米国の原油生産は、2011年1月から今年の4月まで、日量400万バレル増加。NGLを含めた米国の液体油の生産量は、今年は日量1,000万バレルを超え、最大の産油国のサウジアラビアを超える可能性があります。特に、低硫黄で軽質原油の供給過剰が顕著になり、Brentの価格を低下させてしまっています。IEAの最新の予測では、2014年の需要量は前年比、日量110万バレル、供給は、北米だけでも日量130万バレル増。OPECが、日量3,000万バレルの生産をすれば、供給は充分、という状況にあるため、原油価格は「需給」を材料に上昇することはないのが現在のマーケット。


藤沢さんには今後の原油価格見通しも頂戴しました。
詳しくはオンデマンド放送で藤沢さんの解説をお聞きくださいね。

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下落が続く穀物・ゴム相場ここからどうなる?
金はアメリカの金利が上がったらどうなる?
地政学リスクにも原油が下げっているのは何故?
コメ価格の今後・・・などなどコモディティ価格の何故にせまります。


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