下落続くトウモロコシ、生産コストからみると・・・ [大橋ひろこコラム]
2014/08/22(金) 23:48 大橋ひろこ

中東・ウクライナ情勢などの地政学的リスクが後退したとの見方が強まったことに加え、米国の金利引き上げ時期を巡っての思惑からドル高が進行したことで、商品市場は全般軟調な推移となっています。10月にはテーパリングも終了する見込みで、いよいよ米国の金利が動き出すとの見方が強まっており、ここからさらに米国金利の上昇→ドル高→商品安のシナリオに傾いていく可能性も?!

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回はマーケット・リスク・アドバイザリー津賀田真紀子さんにお話を伺いました。

穀物、特にトウモロコシ相場は弱い値動きが続いています。
シカゴトウモロコシは最大生産国である米国で豊作見通しが
強まっていることから上値の重い動きが続いています。

8月12日に米農務省から発表された需給報告によると、
2014-15年度の米国トウモロコシの生産高は前月から上方修正され、
前年度比+0.8%の140億3,200万ブッシェルと
過去最高を記録するという見通しに変っています。

今年の夏は5年ぶりにエルニーニョ現象の発生が予想されていましたが、
発生が秋から初冬にずれ込む見込みに変ってしまったため、
の要である受粉期に干ばつなどの被害を受けずに済みました。

現在、主要産地ではクロップツアーと呼ばれる実勢調査が
行われているそうですが、作柄が例年以上に良好で、
今後、単収・生産高とも更に上方修正される可能性も高いと
見られているようです。

価格が下がればそれだけ需要が増えるということはないでしょうか?

津賀田さんによると、2014-15年度の米国全体のトウモロコシ需要は
前年度を下回ることが予想されているのだとか。
飼料向け需要は+1.4%となることが見込まれていますが、
エタノール向けは▲0.9%、
輸出向けは▲10.2%となる見込みです。

トウモロコシ由来のエタノールはガソリンにブレンドして使用されますが、
米国でガソリン自体の需要が伸び悩んでいることから、
エタノール需要の伸びが期待され難い状況になっていることも背景に。
輸出向け需要は最大の輸出先であった日本の需要が減少しているようです。


では現在の価格水準は適正なのでしょうか?

津賀田さんが解説くださったのは「生産コスト」
価格決定要因は様々ありますが、生産コストという観点からみると
現在の価格水準は割安であると伺いましたなようです。

米農務省が6月3日に発表した予想によると
2014-15年度の1エーカー当たりのトウモロコシの生産コストは
690.59ドルとされています。

今回8月12日に発表された需給報告では単収が
167.4ブッシェルと予想されていますから、
690.59ドルを167.4ブッシェルで割る
1ブッシェルあたりの生産コストは412.54セントとなります。
現在のシカゴトウモロコシ相場の359.50セントというの
売られ過ぎとみることもできますね。

ただ、今週から始まった米中西部のクロップツアーの結果では
過去3年を上回る単収になると見込まれている地域がほとんどです。
おそらく9月の需給報告では更に単収が上方修正され、
これによって1ブッシェルあたりの生産コストが
更に引き下げられる可能性があるため、すでに割安であっても、
今の時期に積極的にポジションをしかける非商業筋(ファンド勢)は
少ないのではないか、と津賀田さんは解説くださいました。

今後は、ファンド筋のショートポジションが今年5月以降
急速に積み上がっているということを考えると、一時的に
買い戻しの動きによって相場が反転する可能性が考えらるとはいえ、
足元のファンダメンタルズの弱さを考えると、
上値余地は限定されるのではないかと予想されます。


詳しくはオンデマンド放送で津賀田さんの解説をお聞きくださいね。

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