金市場、こう着相場の行方 [大橋ひろこコラム]
2014/05/23(金) 23:00 大橋ひろこ

3月中旬の年初来高値更新から2ヵ月余り、ドル建て金価格は膠着状態にあります。

NYコメックスの日足チャートは三角保ち合いの様相を呈しています。 アメリカは量的緩和策の縮小に踏み切っており、今年は金利上昇が予想されていましたが、米国債長期金利の上昇は見られず、これが金相場を支えているものと思われますが、一方で目立った上昇の手掛かりもありません。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は金融貴金属アナリスト亀井幸一郎さんにお話を伺いました。

3か月にも及ぶ持合いのブレイクは一体いつになるのでしょうか?

亀井さんはここから金相場を動かす変動要因として3つのポイントについて
解説くださいました。


①  5月25日(日曜日) ウクライナの大統領選挙

金価格は3月17日に1392.6ドルの高値を付けています。
これはウクライナ情勢の緊迫化が一因でした。

亀井さんは選挙後、新政権が一定の妥協策を取り
地方の自治権の拡大を認める方向になれば、
金価格はいったん下落に転じるも、
その後のロシア側の反応が焦点となってくるとし、
仮に下落に転じることがあっても、すぐに持ち直す可能性が高いと分析。

ウクライナ情勢は単なるプーチンのクリミア取りではなく,
冷戦後の国際秩序の再構築の象徴であり、息が長い問題だと解説
下さいました。

② 米国の金融政策 6月17-18日のFOMC

昨年はテーパリング(毎回100億ドルづつの量的緩和策の縮小)が
金市場にとってのネガティブインパクトとなり、金価格を大きく崩しましたが、
現在、粛々と進められる縮小は金市場もすでに織り込み済みです。

マーケットの関心はゼロ金利解除の時期が早まるか否か。

6月のFOMCは経済見通しが同時に発表され、イエレン議長の記者会見も
行われるということで市場の注目度は高いと思われますが、亀井さんは
6月はまだ金利について言及されることはないだろうとお話くださいました。

というのも、今週発表された中古住宅販売件数、
予想が46.8万件のところ46.5万件で予想に届かず、
昨年の7月は53.8万件あったことを考えるとその落ち込みは大きく、
前年同月比でみると6.8%もの減少となりました。

住宅市況は思わしくないのです。金利が上がればさらに悪化することでしょう。

亀井さんはTaperingは混乱なくできても利上げは易しくないとし、
金利が焦点となってくるのは少なくとも、もっと後、テーパリング終了時期が
近づく9月のFOMC(景気見通し、会見付)になると予想されています。


③  中国・インドなど実需筋の動向

中国の2014年1-3月期の需要は
前年同月比で宝飾品は増加するも投資は大幅減少となりました。

2013年Q1の中国需要は全体で319トンだったのですが、2014年Q1は 263トン。
マイナス18%もの落ち込みです。

宝飾需要  185トン ⇒ 203トン 10%増

投資需要  134トン ⇒ 60トン  55%減

インドの2014年1-3月期の需要も
前年同月比で宝飾品・投資ともに減少です。

2013年Q1のインド需要は全体で257トン、 2014年Q1は 190トン。
マイナス26%もの落ち込みです。

宝飾需要  159トン ⇒ 145トン 9%減

投資需要   98トン ⇒ 44トン  54%減

しかしながら、中国の場合、昨年の購入が凄まじいボリュームであったため、
前年比でみれば、大きな落ち込みとなっているのですが、
平年ペースで見ればそれほど大きな落ち込みではありません。

またインドは今月の選挙で10年ぶりに政権交代決定しました。

昨年は、拡大する貿易赤字縮小のために、金の輸入規制をしていましたが、
ナレンドラ・モディ新政権の下での金輸入の規制緩和が期待されています。

こうした金の変動要因となりうるポイントを踏まえたうえで、亀井さんは
レンジを「放れる」という大きな動きにはつながりそうにないと
ご覧になっており、この揉み合い、しばらく続きそう。

もし、三角持合いをブレイクすることがあってもレンジの移行と

なるイメージで、トレンドを形成するような相場ではないそうです。

詳しくはオンデマンド放送で亀井さんの解説をお聞きくださいね。


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