エルニーニョ懸念で大豆価格上昇?! [大橋ひろこコラム]
2014/04/18(金) 23:29 大橋ひろこ
米国産の大豆、トウモロコシがいよいよ作付の時期に入ります。3月末に出てくる大豆、トウモロコシの作付の予想から実際の作付の進捗状況、そして夏場には生育状況などが価格の変動要因として重要となってきます。これが天候相場と呼ばれ、穀物相場にとっては非常に大きな値動きとなるシーズンです。

最初の注目は例年3月末にUSDAアメリカ農務省から、発表される
「作付意向面積」米国農家に、今年は何を作付(生産)するのかを
アンケートするものですが、今年2014年度産は
「大豆の作付が増え、トウモロコシの作付が減少」する結果となりました。


農家はより利益が見込める穀物への生産意欲が高いため、
アンケートされる時点までのトウモロコシや大豆、小麦などの価格が
重要となってきますが、今年は大豆を生産したほうがより利益になると考える農家が
増えているということでしょう。

しかし、こうした結果が出れば今年は大豆の生産が増え、
トウモロコシの生産が減少するという思惑に繋がることから、大豆価格は下落し、
トウモロコシ価格は上昇するのが相場のセオリー。
思惑通りにはいかないものです。
ところが、現状の値動きを見てみますと、大豆価格が堅調の上昇、
トウモロコシは頭打ちでジリ下げの様相となっています。

一体どういうことなのでしょうか。

皆様、ご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はマーケット・リスク・アドバイザリー、津賀田真紀子さんに
大豆価格の現状と今後の見通しについてお話しを伺いました。

シカゴ大豆相場は年初から上昇傾向、現在は昨年7月以来の高値圏となっています。
最大生産国である米国主要産地集中している中西部で低温が続いている影響により
作付けの遅れが懸念されている上、今夏は5年ぶりにエルニーニョ現象の発生が
予想されていることが背景にあると津賀田さん。

エルニーニョ現象が発生した場合、米中西部では雨が少なくなる傾向があるから、
今後予想単収が下方修正されるのではないかという見方が広がっているようです。

ただし、主要生産地であるアイオワ州とイリノイ州の作付けが本格化するのは通常、
5月中旬から6月上旬にかけてであり、まだ先の話。
作付けが遅れた場合、近年は6月中旬から下旬にかけて追い上げを見せる傾向も強く
現時点ではそれほど問題視する必要はないと思われると解説くださいました。
現在は先を織り込んで上昇している大豆価格ですが、現実にはまだ懸念が
実現していないために、価格が落ち着くだろうということで、これは弱気材料ですね。

では中国の経済成長率低下で輸出需要には影響はあるのでしょうか?

中国の1-3月期のGDPが前年同月比で+7.4%と1年半ぶりの低い伸びでしたが、
中長期的な視点で考えると、中国の景気減速が今後のシカゴ大豆相場にとって
大きな圧力となる可能性が高いようです。

中国では大豆は搾油した後、主に家畜の飼料として使用されますが、
このところ国内のクラッシュマージンがマイナスになっていることから、
積極的に搾油しようというマインドが働き難い状況となっていることに加え、
肝心の豚肉スポット価格(主要都市の平均)も2011年6月をピークに下落傾向です。

加えて近年は豚肉そのものの輸入量が香港経由で増加しており、
このまま国内の豚肉価格の下落が続いた場合、畜産農家の増産意欲が低下し、
飼料需要がさらに落ち込むという展開が考えられ、
大幅な需要の伸びを期待するのは難しいのではないかと津賀田さん。
これも、弱気材料ですね。

では価格を支える強気材料はあるでしょうか。

津賀田さんはウクライナの情勢悪化に伴う影響について解説くださいました。

ウクライナでは大豆を生産していない為、大豆の輸出市場に直接影響はないのですが、
トウモロコシや小麦など、配合飼料の原料となる他の穀物が輸出されなくなった場合は、
代替として大豆ミールに対する需要が増加する為、間接的に影響が出る恐れがあります。

今のところ、ウクライナ・ロシアともにトウモロコシや小麦の輸出量が減少すると
いう動きは見られておらず、むしろドル高となっていることから積極的に
輸出を行っている状態ですが、
今後ロシアからのエネルギー供給が停止された場合、
ウクライナの燃料コストの上昇に伴ってトウモロコシの生産コストが増加する可能性が
あり、この点が懸念材料。

2010年時点では、穀物生産における燃料コストの割合は15%程度でしたが、
これが上昇してしまうと、輸入単価で見た場合のウクライナ産トウモロコシに対する
魅力が低下することになり、結果的に代替として米国産トウモロコシに対する需要が増加、
この影響で大豆ミールも需要も増加するという流れになることが考えられ、
ロシアのエネルギー供給問題には引き続き注目しておく必要があるとそうです。

これらの材料を踏まえて今後の展開をお伺いしたところ、津賀田さんは
世界全体で見た場合、決して需給が逼迫しているわけではないことを強調。
今後作付け作業が本格化する2014-15年度の米国産大豆は、
作付面積の増加や単収改善の影響により過去最高の豊作を達成することが
予想されている現状から、上値を追う展開にはならないと展望。
今夏発生が予想されているエルニーニョ現象の影響によって
作柄がどの程度ダメージを受けるのかにもよるとしながらも、
中長期的には新穀を中心に値を崩す可能性が高いと解説くださいました。

詳しくはオンデマンド放送で津賀田真紀子さんの解説をお聞きくださいね。

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