薄れてきた『安全通貨』円の特質 [日経新聞編集委員]
2020/02/10(月) 23:15 山本郁


品薄となっているマスク、週末、JRの駅のコンビニ「NEWDAYS」で販売しているのを見つけました!
花粉の飛散も始まっていますし、マスクに関しては一安心でしょうか。

さて、「安全通貨」とされてきた円。
市場でリスク回避ムードが強まると買われる...そうした円の特質が薄れてきたとの声が聞かれます。

今年1月2日、米国防総省が大統領の指示を受け、イラン革命防衛隊の精鋭組織の司令官を殺害したと発表。翌3日、米ダウ平均株価が一時、前日比360ドル超下落、安全資産の金も約4カ月ぶりの高値をつけました。円はというと、わずか50銭程度の円高で取引を終えました。
7日に、イラクにある米軍基地がイランから報復攻撃を受けたとの発表があり、翌8日の日経平均株価の下げ幅は一時600円を超えました。しかし円はむしろ下落して取引を終えました。

過去を見てみると、2008年のリーマンショック、11年の東日本大震災、16年の英国のEU離脱では、マネーが円に逃げました。
英国のEU離脱が決まった日は、日経平均は1200円超下落し、円の対ドル相場は一時5円上がりました。

一体何が変わったのでしょうか。

本日のコメンテーター、日本経済新聞社 編集委員の 清水功哉(いさや)さんは
そもそも長年デフレに苦しんできた日本の通貨が「安全通貨」とされてきたことが奇妙な現象であると指摘した上で
デフレ通貨だからこそ、円はマネーの逃げ場になってきた側面がある。
また、デフレの国は普通、金利が低い。これも円が「逃避先」になることと関係があると説明してくださいました。

しかし、近年、欧米の物価にも下げ圧力がかかってきて、日本と欧米の物価上昇率格差は縮小してきました。
米国と日本の消費者物価上昇率の差は、2008年には約3ポイントの差があったのですが、10年で約1ポイントほどに縮小しています。
物価低下圧力が他の国にも広がれば、円だけが低金利通貨ではなくなります。
円よりユーロを借りて手掛けるキャリー取引が増えてきたという変化もみられるそうです。
マイナス金利政策で、日銀(短期政策金利マイナス0.1%)よりも、欧州中央銀行(預金金利マイナス0.5%)の方が積極的な姿勢を印象付けているためだそうです。

ただし、円の「リスク回避通貨」としての性質が完全に消えたわけではありません。
あくまで「リスク回避の円買い」が従来ほど起きにくくなっただけで
例えば、米景気が失速し米連邦準備理事会(FRB)が利下げを再開するなら、円高圧力が強まるかもしれないし
貿易赤字減らしを重視する米政権がドル安誘導姿勢を本格化させたり、米財政赤字膨張でドル信認が下がったりする展開もあり得ます。

もちろん逆に円安方向への振れが大きくなる展開もないとは言えません。
例えば米朝対立が再び激しくなり、日本本土が被害を受ける事態になれば、いくらリスク回避局面といっても円が売られることが考えられると清水さん。

詳しい解説は、radikoのタイムフリーか、Podcastでお聴きくださいね。

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