ゴールド市況は足元冴えません。昨年2018年8月に1160ドルの大底をつけてから2019年2月までおよそ半年間の上昇トレンドは崩れ、ここ3か月ほど下落基調が続いています。米株が史上最高値を更新するも、米中貿易交渉への懸念からトップアウトの警戒も強まる中、ゴールド市況はこのまま下落が続くでしょうか。
皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は金融・貴金属アナリスト亀井幸一郎氏をお迎えしゴールド相場のポイントと
今後の展望を伺いました
米中貿易交渉は決裂するのか?!連休最終日のトランプ大統領のtweetに
懐疑的だった市場もライトバイザーUSTR代表のタカ派コメントに慎重になってきています。
5月23日から始まる欧州議会選挙、イラン制裁による緊張のたかまりなど
地政学リスクがくすぶる中、金市場はまだ静かに様子を伺っているようです。
足下で金は地政学リスクより金融要因に上値を抑え込まれているようです。
この連休中に発表された主な指標について亀井さんに解説いただきました。
① 米1-3月期GDP +3.2%(予想+2.0%)
輸出と政府支出の拡大が高成長をけん引
個人消費が+1.2%と伸び悩み 18年1-3月期(+0.5%)以来1年ぶりの低い伸び
宅投資 -2.8%
個人消費支出(PCE)物価指数 前年同期比 +1.4%
② 4月のISM製造業 52.8と、3月の55.3から低下(予想の55)
2016年10月以来2年半ぶりの低水準
③ FOMC 経済成長や雇用の伸びは予想以上に力強いが物価は予想より弱い
今年初めのコアインフレの下げは予想外 一時的要因が働いた可能性
金融政策をいずれかの方向に動かす根拠は見当たらず
FOMCでは市場に高まる利下げ期待が冷やされ株価下落につながりましたが、
インフレ率が上がらないことについての懸念も。
④ 4月の米雇用統計 NFP 26万3000人増 (予想)18万5000人
失業率 3.6% 1969年12月以来約49年ぶりの水準 前回3.8%
(労働参加率が前月の63.0%から62.8%に低下 2月は63.2%で5年ぶりの水準)
平均時給:前年同月比で3.2%増 前月と変わらず 物価を押し上げる強さなし
労働市場は絶好調ですが、やはり懸念は賃金上昇率=インフレ率。
亀井さんは利下げ期待に冷や水を浴びせたFOMCですが、
今後、金利については柔軟に市場との対話のキーワードとなるのではと指摘しています。
こうした指標がマーケットのセンチメントを買えることはあったでしょうか。
連休中、(4月29日~5月6日)の 6営業日でNY金相場は
前半は下落基調を強めたものの、後半は持ち直しレンジに終始。
総じて米国景気の好調さを示す指標が多い中でドルが強含みに推移する中、
5月2日FOMC後年内利下げ観測が後退し、一時的に12.20ドルもの下落となり売りが膨らみ
一時1260ドル台に突っ込む場面もありましたが、ショートカバーで値を戻す展開となりました。
ドルインデックスが高止まりの中で下値固い値動きですね。
株価堅調の中で金ETFの解約売りが続いていますが、世界の中央銀行が
ゴールドの買い手として存在感を示しており、下値はサポートされているようです。
5月2日 WGCが発表した"Gold Demand Trends"では
19年1-3月期の金需要は 1053.3トン 前年同期比 7%増でした。
(2018年1-3月期は3年ぶりの低水準984.2トン)
新興国中銀の旺盛な金買いが目立っています。
1053トンのうち、145.5トンが中央銀行の買いです。
第一四半期としては2013年(179.1トン)以来の高水準で
四半期ベースで見た過去1年では715.7トンで過去最高水準となっています。
50年ぶりの高水準となった2018年のペース(651.5トン)を維持。
特に目立ったのがロシアで55.3トン(2018年274.3トン)
4年連続で200トン超の金買いとなりそうです。
4月にロシア中銀副総裁がさらに増やす意向を表明しています。
これは、経済制裁に対する警戒が背景にあるとみられます。
そして中国も33トンもの金購入がありました。
25カ月のブランクの後 2018年12月から購入を再開しており
1885.5トンに積み上がっています。
その他、インドも8.4トンの金買いを実施。
2018年から購入再開 ここまで13カ月連続増加 608.8トンに積み上がっています。
エクアドル 10.6トン 2014年以来
カザフスタン 11.2トン 78カ月連続
トルコ 40.1トン
カタール 9.4トン
コロンビア 6.1トン などなど、、、
詳しくはポッドキャスト配信で亀井さんの解説をお聞きくださいね。