OPEC減産合意で上昇した原油相場、ここからの課題 [大橋ひろこコラム]
2016/12/28(水) 23:51 大橋ひろこ

ダイナミックに動いた今年2016年の原油価格。1月2月にはWTI原油価格は26ドル台にまで下落するも、年末に向けては50ドル台を回復、安値から2倍になっています。OPECと非OPECが協調減産したことが背景ですが、2017年、原油価格に波乱はないのでしょうか。

皆様ご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はオイルアナリスト藤沢治さんにお話を伺いました。

OPECの減産は実施されるのか? 

11月30日のOPEC総会では
リビア、ナイジェリア、インドネシアを除いて、
10月の生産量より日量約120万バレルの減産することで合意しました。
(経済制裁を解かれたばかりのイランは日量9万バレルの増産を認める。)
2017年1月からの生産量は、日量3,250万バレルに設定されています。

サウジ、クエート、アラブ首長国連邦などは、ターム契約の顧客に
1月から供給減を通知するなど減産への動きも出始めました。
各国減産幅は、サウジが日量約50万バレル、イラクが日量21万バレル、
アラブ首長国連邦が日量約14万バレル等となっています。

ワイルドカードは、リビア、ナイジェリア、イラクです。

・リビアの10月の生産量は日量51万バレル、減産の非対象国であり、
西部の油田生産が復活に伴い現在は、日量62万バレル生産にまで増産体制。
1月に日量80万バレル、3月までには日量90-100万バレルを
目指すとしています。リビアの最大生産能力は、平時であれば
日量160万バレル。まだまだ増産余力がありますね。

・ナイジェリアの10月の生産量は、日量約160万バレル。
現在は日量170-180万バレル生産しています。
1月には日量210万バレルを生産する計画。
ナイジェリアの生産能力は、日量240万バレルであり、
この2国だけでも、3月までに合計で日量100万バレル程度の
増産となる可能性があるのです。

となると、日量120万バレルの減産合意は形骸化することに。
イラクも予想外に11月の総会では減産に合意していますが、
国内でのISとの紛争で資金が必要だとして、
総会直前まで減産対象外にしてほしいと要望しており、
価格が上がってくれば減産はしない可能性が大きいのがリスクとされています。

そもそも、OPECの減産ですが
過去に減産枠を厳格に遵守したのは、サウジ、クエートだけなのです・・・。


非OPEC産油国の減産は実施されるか? 


ロシア、メキシコなどのOECD諸国外の産油国、
すなわち国の元首によって生産量が変えられる国々が
OPECと協調減産に合意したことも原油上昇の大きなインパクトとなりました。
非OPECHは日量約60万バレルの減産で合意しています。
ロシアの減産幅はその中で最大で日量30万バレルですが、
徐々に減産するとしています。1月に日量10万バレル程度、
3月までに日量30万バレル程度の減産をする計画のようですが、
その他の国も減産を遵守するかどうかは疑わしいとの指摘が。

米国のシェールオイルの増産は? 


すぐ生産量を増やすとは予想できないが、原油価格が50ドルを
超えているので、徐々に増産体制に入るとみられています。
特にテキサスのパーミアン地域は、油井あたりの生産性が上昇し、
採算分岐点価格は50ドルと言われているのです。

現に、ベーカーヒューズ社の発表では、12月23日現在の
石油掘削リグ稼働数は、523基と8週連続で増加、
5月末の316基から大きく増加中。昨年12月末の536基に迫っています。
また掘削済だが生産していないDUC(Drilling but Uncompleted)と
呼ばれるシェールオイルの油井が1,000程度あるとも。
従って50ドル以上の価格が続けば、3月迄には
シェールオイルの生産が増加することが予想されています。
OPEC, 非OPEC産油国の減産合意を打ち消すものとなり得るのです。


トランプ政権のエネルギー政策


トランプ政権は、国内のエネルギー開発計画の規制を
緩和する方向であり、石油業界には朗報。
議会との関係もあり、すぐにこれが米国の原油生産に結び付くわけでは
ありませんが、カナダからのキーストーンXLパイプラインの敷設に
オバマ政権は反対していましたが、共和党はもともと賛成です。
敷設される見込みは高いとみられます。

米国は原油輸入量を減らすことを目指していますが、
米国の精製会社は、精製装置の構造上、価格の安い重質油が
必要であるため、中東の中重質原油の輸入を継続しなくてはならない事情が。
軽質のシェールオイルの輸出量を促進し在庫を減らす努力をするものと
見られます。また、トランプ大統領誕生で環境問題に関する施策は後退すると思われます。

藤沢さんに2017年の原油価格を予想していただきました。

詳しくはオンデマンド放送をお聞きくださいね。


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