米シェール革命とOPECの価格調整能力 [大橋ひろこコラム]
2016/10/19(水) 20:40 大橋ひろこ

WTI原油価格はしっかりと50ドル大台を値固めしているようです。9月下旬にアルジェリアで開催されたOPECの非公式会合での減産合意の報道が上昇のきっかけとなりました。オイル関係者ほどこの減産合意には懐疑的ですが、原油価格上昇は続くでしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はエネルギーアナリスト大場紀章さんをお迎えしてお話を伺いました。

OPECが減産合意との報道で動きだした原油。
これで再びOPECがカルテルとしての価格調整機能を
取り戻したということでしょうか~と大場さんに伺うと、
「そもそもOPECは価格調整能力を失ってはいなかった」そうです。

価格急落を招いた2014年11月のOPEC総会、市場はOPECでの減産を期待
していましたが、減産合意ならずで、原油価格は急落しました。
この時、OPECのカルテルとしての能力が失われたとの指摘が多く
聞かれたのですが、これが逆にOPECが価格を下落させたかったとみたらどうでしょう。
減産合意しないことで、価格を下げさせ米国シェール企業の淘汰を目論んだとすれば、
これは立派な戦略だったということです。

実際、80~100ドルで推移していた原油価格が26ドル台まで下落した
この2年ほどの間にサウジアラビア、イラン、イラクが日量100万バレルづつ
総計で300万バレルもの増産となっています。
一方で、米国はこの2年で100万バレルほどの減産となりました。
原油下落の過程ではサウジアラビアが米国シェールからのシェア奪回を
目論んでいたとの指摘も聞かれましたが、見事これが成功したわけです。

そのOPECが、今度は減産合意を取り付けたことでの価格上昇。
その背景にはサウジが計画しているサウジアラムコのIPOの成功のために
原油価格を上昇させておきたいという戦略が見えてきます。

OPECで足並みがそろわないとはいえ、問題の核はサウジとイラン。
イランの増産分をどこまで許容するか、そしてそれをサウジが被ることが
できるなら、11月OPEC総会での正式減産合意はあるだろう、と大場さん。
意外と問題はシンプルなようです。

足元では先物市場での原油ロングが積みあがっていますが、
このロングがどのように整理されるか、
また、11月にたカザフスタンのカシャガン油田が新たに生産を開始
(事故で3年ほど生産が止まっていた)します。

これはかつて日量37万バレルもの原油を生産していましたが
計画では150万バレルもの生産を目指すとされています。

新しく発見され、生産される油田としては世界最大規模。
これも今後の原油相場の波乱要因となってきます。

 

しかし、大場さんはサウジは財政的に原油価格80ドル程度まで
引き上げたい思惑があるとみており、米シェールも採算ベースに合う
ためには70ドル程度は欲しいところ。原油価格が上昇してくれば
米国シェール生産も増えてくるでしょうから、今後も米シェールと
OPECとの生産を巡ってシェア獲得の小競り合いはまだまだ続きますが、
OPECが価格調整能力を(そもそも)失っていないのだとすれば
再びシェール企業が大増産となってきた際には、減産をやめて増産し
価格を下落させて同じように圧力をかけるということもあるでしょう。

また、原油価格上昇でドル円相場は円安ドル高に動くだろうと大場さん。

原油価格下落過程では日本の貿易赤字の縮小どころか貿易は黒転していました。
これが、足元ではドル円相場の下落に繋がった側面もありましたが、
再び原油購入にともなう赤字拡大で、為替市場にも影響がでるとしています。
インフレ圧力も強まってくると思われ、金融市場にも動きが出てきそう。

詳しくはオンデマンド放送で大場さんの解説をお聞きくださいね。

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