急落したLNG価格の背景に新規プロジェクト続々 [大橋ひろこコラム]
2015/10/21(水) 19:57 大橋ひろこ

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はリム情報開発 LNGチームリーダーの植村和司さんに
LNG価格下落の背景と今後の動向についてお話を伺いました。

LNGとは、Liquefied Natural Gasの頭文字を取った略称。
液化天然ガスのことです。
天然ガスをマイナス170度前後まで冷却すると液体となりますが
これを特別な船舶に積み込み、輸送された消費地で
再度気体に戻して使用します。

おもに火力発電と都市ガス用に消費されますが、
日本に輸入されるLNGのおよそ6~7割が火力発電用で
3~4割が都市ガスとして消費されています。

今年に入って北東アジアのスポットLNG相場は
節目の10ドルを割り込みました。
その後、ほぼ一貫して下落基調を辿っています。
2月に入って7ドルを割り込み大きく下落、その後一度8ドル近くにまで
反転した後、足元では再び6ドル台での商いが続いています。
震災前の2010年末ごろから2011年直後のスポット相場の水準は
9~10ドル。現在は震災前の水準をも大きく下回っているのです。

では何故急激にLNG価格は下落したのでしょうか。

植村さんによりますと、LNGの長期契約のベースとなっている
原油相場が大きく下落したことが主因。LNGの長期契約は、
3カ月から6カ月遅れでその影響が出始めるので、
今年に入ってまず長期契約価格が大きく下落し、
それにつられて今年に入ってからのスポット相場も
後追いで下落が激しくなったと考えられます。

そのほか、太平洋圏で新規プロジェクトが立ち上がっていることも
供給増に繋がっているものと思われます。
昨年末にオーストラリアでカーティスプロジェクトからLNGが出荷された後、
7月にインドネシアのドンギースノロプロジェクト、
先月末にはオーストラリアのグラッドストーンプロジェクトからも
LNGの出荷が開始されています。
これらのプロジェクトだけで年間1,500万トン近い数量が
新たに供給されることになりました。
このため、供給潤沢感が日を追って高まったと考えられるのです。

対して需要面では主要なLNG消費国である日本、
韓国そして中国のエネルギー需要が鈍化。
日本では今年の冬場に寒さが厳しくなかった上、
夏場もエルニーニョ現象の影響で例年ほど気温が上がらず、
火力発電用のLNG消費が伸びませんでした。
中国は景気減速の影響でLNGや他のエネルギー消費全体が鈍っています。
韓国は、輸出産業が主体ですが、その最大貿易国である
中国の景気減速の影響をもろに受けてしまったようです。

中国をはじめとした景気回復は、しばらく見込めそうにありませんが
その一方で、LNGの4大消費国に近いアジア太平洋圏では、
これからも次々と新たな大型プロジェクトの稼働開始が予定されています。
このため、冬場の需要期が近づいてきているとはいえ、
相場の上昇は見込めそうにない、との見方が市場関係者の間では広まっているのだとか。

さらに、アジア太平洋圏だけでなく
米国産のシェールガスを基にしたLNGの出荷も今年末に始まります。
アジアだけでなく、世界各地で需給の緩みが発生しそうな状況で
相場が急反発することは考えにくい状況なのです。

ただし、昨年中東のエジプト、ヨルダン、そして南アジアのパキスタンで
相次いでLNGの受け入れ基地の操業が始まりました。
これらの新興国での需要は旺盛で、現時点でも太平洋圏で
余剰となったLNGを活発に引き取り始めています。
このため、これらの需要に支えられて、日本を含む
北東アジア着の相場も大幅な下落は見込めないというのが一般的だそう。

エジプトはLNGや天然ガスなどエネルギー輸出国であったのに
今では輸入国なんですね。国内需要が旺盛なようです。
エジプトの景気はいいのでしょうか?
詳しくはオンデマンド放送で植村さんの解説をお聞きくださいね。

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