今日、ガソリン価格が7カ月ぶりにに値上げとなったという報道がありましたが、実に7か月もガソリン価格は下落していたわけです。原油価格が昨年夏場以降、下落が続いたためにガソリン価格も連れて安くなってきたのですが、一方でガス料金は昨年来から値上げが続いています。3月にもガス料金が値上げとなりますが、東京ガスは2月に比べ、1立方メートルあたり、3.42円(税込み)の上昇となることを発表しています。
皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はリム情報開発 LNGグループ記者の深水瑞樹さんにお話を伺いました。
LNGの長期契約玉は、原油相場に連動する価格で輸入されているのですが、
なぜガス料金は下がらないのでしょう。
深水さんによると、LNGはLNGそのものの需給などより、
原油相場に左右される契約ではあるのですが、
LNG価格を決める際に使う原油相場の時期が問題で、
一般に3ヵ月前から遡って3ヵ月または6ヶ月間の平均が基準価格。
例えば現在の2月なら3ヵ月前の11月から遡るため、
昨年9~11月または6~11月の平均を取ることが多いということに。
9月からの平均を取る場合、ドルベースの原油相場は下がったのですが、
円安も同時に進行していましたよね。
円安によって円建てのLNG輸入価格は原油相場ほどは下がっていない
という事情もあるのです。
基準となる原油価格が、原油がまだ高かった時のものなので
ガス料金の値上げも仕方がない、ということになります。
ただし、これも時が経てば原油が下がった時の価格を基準に
価格が決められることになりますので、この先は値下がりすると思われます。
また、すべてのLNGが長期契約で輸入されるわけではありません。
スポットで不足分を補うなどのバッファーの輸入もあります。
スポットの価格は、LNG自体の需給のバランスで決まるため
売り手買い手ともに、原油相場やその結果として決まるLNGの
長期契約の価格を念頭にはおいているものの、
実際のスポット価格は原油相場と連動するわけではないそうです。
そして現在スポット市場の需要は弱く、今年の冬は安価となりました。
日本は昨年春は意外と早く暖かくなったために暖房需要が伸びなかったことや
昨夏猛暑予想がありましたが、それほど暑くならなかったことなどで
在庫余剰の状態が続いていたために、スポット需要が強くなかったのですが、
韓国などの需要も弱く、アジア全体の需要が鈍い傾向にあるのだそうです。
一方で売り手側も供給は順調で大きなトラブルはなく、
加えて新規のパプアニューギニアのプロジェクトからも
カーゴの供給が順調であり、インドネシアのボンタンプロジェクトでも、
恒常的にLNGが余っていたということで、LNGスポット市場の価格は
安価が続いているわけ。
しかし、いずれはガス料金も下がります。
今年の冬は、別々の理由ではありますが長期契約のLNG、
スポットベースのLNG両方とも安かったこと。
そして秋以降は、為替レートも大幅には動いていないため、
今後、輸入されるLNGは円ベースでも今までよりも安くなるとみられ、
LNGは遅れてこれからの春の不需要期に安くなるものと予想されます。
詳しくはオンデマンド放送で深水さんの解説をお聞きくださいね。
※もっとも日本がLNGを多く輸入している輸入元は~
①オーストラリア
②カタール
③マレーシア