カナダのシェールガス、米国の対日LNG輸出承認で日本のエネルギー確保チャネル拡大 [大橋ひろこコラム]
2013/09/27(金) 00:31 大橋ひろこ
今日の日経新聞に、安価な天然ガス調達に向けて、カナダで開かれた安倍首相とハーパー首相との会談でカナダ産シェールガスの対日輸出が2018年末にも実現する見通しという社説記事がありました。現在の主力調達先であるカタール産より4割程度安い価格で輸入できる可能性があるとして注目されていますが、今月9月11日にはDOE(米国エネルギー省)からメリーランド州コーブポイントLNG基地からの対日輸出許可が出されており、着々と日本のエネルギー輸入チャンネルの多角化が進んでいます。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は株式会社セキツウ常務取締役の山内弘史さんにお話しを伺いました。

今回のDOEからの対日輸出許可は2件目です。

二国間自由貿易協定(FTA)未締結国にも輸出を許可する流れとなってから、
DOEは4件の輸出許可を出していますが、うち日本向けが2件。
1件目は5月17日テキサス州フリーポートLNGで、年間1100万トンが
2017年にも輸出される見込みということで、
その際にも山内さんにご出演いただき解説を頂いていました。

今回のコーブポイントLNG基地からは年間約460万トンが20年間輸出される
見込みですが、価格は米国のシェールガス由来のLNG同様、
原油価格リンクではなく、天然ガス市況を指標価格とするものです。

コーブポイントは北東部5州にまたがる巨大シェール層であり、
埋蔵量、今後の生産量ともに大きな注目を集めています。
環境問題などで掘削が難しい州もありますが、生産急増は時間の問題とされています。
また、すでにドミニオン社がコーブポイントLNGターミナルと州間天然ガスパイプライン網を結合する
88マイルのプイプラインを所有しており、、それが米国最大のシェールガス層である
マーベラス・シェールにもつながっているため、今後一段と規模が拡大されていく可能性が極めて大きく、
非常に早い段階での日本へのLNGの供給が可能になると目されています。

今回の輸出許可で米国での天然ガス・シェールガスの上流開発・流通・液化・LNG輸出の
全段階への参入を果たしたこととなり、いわゆる天然ガスの上流~下流の
一気通関でのバリューチェーン構築がかないました。

日本企業がLNG調達に向けて取り組んでいる他の米国でのプロジェクトとしては、
ルイジアナ州の「キャメロンLNGプロジェクト」があります。
これは三菱商事,三井物産が合計800万トン/年の調達を契約済みで、
東京電力等へ供給予定となっている。いずれも米国政府の輸出承認を申請し、
審査を待っている状況です。

現在はカタール産LNGが主力調達先で、原油価格リンク。
原油価格が高止まりする中で日本のエネルギー確保コストは上昇の一途を辿っています。
これが安価な天然ガスリンクのLNG調達が実現することでコストを抑えることが
可能になると期待されていますが、
山内さんは天然ガス市況は大きく変動する可能性があると指摘。

天然ガス価格はシェール革命で11㌦だったものが4㌦になり、
昨年3月には1.9㌦まで下落しました。
しかし、EIA(米国エネルギー情報局)は2020年4㌦、2020年代半ばには5㌦、
2030年代半ばには6㌦、2040年には8㌦になるとの予測を示しています。
天然ガス市況が値上がりしていくという予想なのです。

輸入が実現する5年後以降、天然ガス価格と原油価格がどのような水準にあるかはわかりません。
本当に安価なままのエネルギー確保が可能になるでしょうか。
何故天然ガス市況が将来上昇するという予想になっているのか、
詳細はオンデマンド放送で山内さんの解説をお聞きくださいね。

また、カナダ産シェールが早ければ2018年末にも輸入実現との報道について、
山内さんは、大型タンカーがつけられる港がなく、港をつくるのも、液化設備を作るのも、
液化設備(港)までシェールガスを輸送するパイプラインを作るのもこれから。
これが5年で完成するのは難しいのではないか、とお話しくださいました。
こうした設備インフラ構築も日本も資金を提供してカナダと共同で作るのです。
安定したエネルギー確保の道は着々と開けていますが、
明日から輸入開始できるというような、簡単なものじゃないのですね。

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