GFMS プラチナ&パラジウム Survey 2014 [大橋ひろこコラム]
2014/05/09(金) 23:46 大橋ひろこ

トムソン・ロイターGFMS社から「GFMS Platinum & Palladium Survey 2014」需給Reportが公表されました。

PGM(プラチナ、パラジウムなど白金族系貴金属)の需給Reportというと、日本の個人投資家の間ではJM社(ジョンソン・マッセイ社)が11月と5月の年に2回公表していたレポートの方が馴染みが深かったのですが、残念なことにJM社のPGM需給報告は昨年の11月が最後となってしまいました。

JM社は触媒の会社であり、業界的にも信頼が大きかったレポートで、このレポートの内容によってプラチナやパラジウムの相場が大きく動くことがしばしばあったのですが、リーマンショックでプラチナ価格は大きく下落、その後の欧州ソブリン危機などもあって、ディーゼル車の触媒であるプラチナ価格が低迷していることから、これまで冊子やWEBなどで無償で公表してきたReportも続けられなくなったということでしょうか。プラチナ価格下落によるコストカットの波はこんなところにも影響が及んでいるのですね。

ということで、PGMの需給Reportロイターに買収されたGFMSのサーベイだけになりました。今回は公表されたばかりのこの「GFMS Platinum & Palladium Survey 2014」からプラチナの需給要因と今後の展望です。

 

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はスタンダードバンク東京支店長 池水雄一さんにお話を伺いました。

 

池水さんによると、JM社のレポートは通信社と協力しオンラインでReportする
というような検討はされているようだ、とのことですが、まだ決定ではないようです。

 

さてプラチナ市場。
南アフリカでは1月23日から始まった鉱山会社によるストライキがまだ続いています。
5月7日の大統領選挙までは収まらないだろうとは指摘されてきましたが、
今週7日水曜に、その選挙も波乱なく投開票が行われましたが
ストライキ終了の報はまだ聞こえてきません。

 

このストライキによって、4月下旬までで18.7トンのプラチナの生産が失われました。
もし組合と会社との間に合意が成立しストライキが解決しても、その準備などで
簡単には生産再開とはいかず、さらに9.3トンの生産が失われるとGFMSは予測しています。
(パラジウムは合計14トンの生産減となる模様)
ところが、プラチナ価格はこのところずっとレンジ相場、この生産減は
マーケットに十分織り込まれているとは言えず、これが今後の価格動向にとっては
強材料となると予想されています。

 

では、何故1月23日から15週にも渡ってストライキが続き、生産がストップしたのに、
価格は高騰しなかったのでしょうか。
これは2013年の需給を見なければなりません。

 

GFMSのレポートではプラチナは2013年、15.1トンの供給過多であったと報告しています。
その影響もあって2013年は2009年以来もっとも安い年間平均価格となりました。
供給過多となった背景は需要が大きく落ち込んだことにあります。

 

宝飾需要は若干の増加だったのですが、自動車触媒は若干の減少で相殺。
硝子と石化分野は両方とも50%もの減少となったほか、投資需要は40%以上ダウンだそう。
そして、この投資需要というのが、実は日本が最大のマーケットだそうで、池水さんによると、
プラチナはドル建て価格は下落しものの、日本では昨年2013年はアベノミクスによる円安で
価格が上がってしまったために、日本の投資家が買い控えしたためだと解説くださいました。
プラチナの投資需要って日本が最大のプレーヤーだったんですね。

 

こうしたことが背景で、GFMSは10.9トンの流通在庫があると推測しています。
ユーザーは南アのストライキ懸念から2013年は在庫を積み増したとみられ、
この在庫の存在が、プラチナ価格がストライキという材料にも、
また2013年4月に上場されたAbsaのNewPlat ETFが巨大な量のプラチナを
買ったのにもかかわらず上昇しなかった大きな理由であるとのことです。

 

しかしながら、15週にも及ぶ長期ストライキはもう長続きしないというのが、ここからの見方。
労働者はno work no pay状態が15週間続いており、仕事に戻りたがっています。
所得が全くないのです。生活ができませんね。鉱山会社側も態度を軟化させているようですが、
何故ここまで長期化しているのかというと、労働組合AMCU内の政治的問題だけ。
労働者側も、鉱山会社側も疲弊しており、歩み寄りの時は近いとみられます。

 

仮に、長期化したストライキの終焉の報があれば、
プラチナ価格にはどのような影響があるでしょうか。
池水さんはいわゆるイベントリスクという意味では、瞬間的にそれを材料にした売りが
出る可能性はあるものの、それほど下がらないとお話くださいました。
現在の価格水準は生産コストとされる1400ドル近辺での揉み合いです。

 

現実には、今回のストライキに先立って、生産者たちは2013年を普段よりも
多い在庫を抱えて終わっており、4月に入ってようやくその在庫を使い出した
というところだと思われるため、本当に現物が枯渇するのはストライキが終わっても
まだ数ヶ月後になるだろうとみられています。

そのためプラチナ価格が本格上昇するのは年後半になると思われますが、
しかし、プラチナの需要サイドでは2013年に不調であったマイナーな分野は
2014年は持ち直しそうであること、また自動車触媒分野も欧州と米国といった主要な
マーケットの回復で需要は堅調に伸びることが期待されており、プラチナの需給は
22トンの供給不足に陥り、2013年の過剰在庫も一層されることになるとみられます。

スト終焉の報で仮に売り込まれることがあれば、そこはとても妙味のある投資チャンス?!
詳しくはオンデマンド放送で池水さんの解説をお聞きくださいね。

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