新型コロナウイルスとコモディティ市況 [大橋ひろこコラム] [マーケット・トレンド]
2020/03/11(水) 20:14

新型コロナウイルスの感染拡大が、世界景気を下押しする可能性が高まっています。景気の「気」の部分が悪化して減速するという今までのような景気減速ではなく、感染拡大防止のために強制的に経済活動を停止しなければならない、という点で今までの景気減速とは異なるのですが、ここからのコモディティ市況、どのように見ていけばいいでしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はマーケット・リスク・アドバイザリー新村直弘氏をお迎えしお話しを伺いました。

今回のコロナショックは、リーマンショックと比較されますが、
リーマンショックは信用リスクに直接影響したため、
金融緩和や財政政策などの景気刺激で景気を回復させることが可能でしたが、
今回は、感染防止のため経済活動を停止しなければならないため、
金融緩和や財政政策の効力は限定的との指摘も。
特効薬が見つかるか、感染拡大が終息することが景気回復のための必要条件ですが、
いつになるのかわからないのが実情です。

こうした中、OPECプラスの減産合意決裂とサウジの増産表明で
原油価格が暴落しています。


新型コロナウイルスにより最も影響を受けるのが輸送需要。
ジェット燃料の消費量は世界需要の8%程度。
仮に2割程度の需要が減少したとすると、▲150万バレル/日程度の需要減少です。
自動車や工場の停止も発生すると予想されるため、
実際の減産は瞬間的にはもっと大きくなるのではないかと新村氏。

これを相殺するためにOPECは▲150万バレルの減産を提案したのですが、
ロシアの反対にあって交渉は決裂。
これによりOPEC以外の産油国は4月から協調減産から離脱することになります。
産油国は歳入確保のための増産に動きやすくなるため、
恐らく4月~5月、原油の価格はさらに下値を探る動きとなる可能性が。
新村氏はBrentで40ドル割れ、WTIで30ドル割れも荒唐無稽な予想では
ないと指摘されています。

これは原油消費国への所得移転を通じて景気にはプラスですが
今回の災厄の特殊性を考えるとその影響は限定と考えられます。
最大の懸念は北米のシェールオイル生産者の資金調達先である
ジャンク債市場に波及、クレジットリスクにも拡大し
株価がさらに下落するトリガーになる可能性もあるのです。

新村氏は大手生産者は先物やデリバティブ取引で価格下落リスクを
ヘッジ済みのところも多く、今のところそこまで大きなリスクにはならない
としていますが、不透明感は強まっています。


また、非鉄金属市場のベンチマークである銅も下落しています。
非鉄金属は消費の50%が中国であり、中国企業の動向が
銅価格に大きく影響を及ぼします。
先日発表された2月の製造業PMIは、
リーマンショック時の水準を大きく下回りました。
中国政府の発表が正しければ、新規感染者数は減少しているのですが、、、。

今のところ銅とLME指定倉庫在庫の逆相関の関係は回復しており、
しばらくは5,600ドル~5,800ドルで推移すると考えられるのですが
さらに在庫が積み上がる形になれば、レンジは5,400ドル~5,600ドルに
切り下がる可能性も。

中国で起きていることを把握する上では「ドクターカッパー」
の動向をよく見ておくとよいと新村氏は解説くださいました。

こうした中、大きく水準を切り上げているのがゴールドです。
しかし、足元、株の急落を受けた長期金利の低下の影響が大きく、
250ドル程度のリスクプレミアムが剥落し、現在160ドル程度まで縮小しています。

今回の問題が長期化すれば再びリスクプレミアムが上昇する可能性は高く
1,800ドルをトライする可能性もある?!


※リスクプレミアム=実質金利で説明可能な価格を上回って買われている部分


また新村氏には、アフリカ東部で発生しているサバクトビバッタの被害と
穀物相場についてもお話しをいただいています。


詳しくはSpotifyのポッドキャスト配信で新村氏の解説をお聞きくださいね。

https://open.spotify.com/show/230k9NexbGZ5g1h4uBShSk