原油価格と産油国事情、今週はOPEC総会 [大橋ひろこコラム] [マーケット・トレンド]
2020/03/04(水) 20:15


ニューヨークWTI原油は2月後半より下げ足を速め、1バレル=50ドルの節目を割り込んでいます。中国湖北省武漢市を震源とする新型コロナウィルスによる肺炎の感染拡大がアジア地域だけでなく、米国や欧州、中東などにも飛び火。世界最大の原油輸入国である中国のエネルギー需要の減退を招くのを初め、世界の石油需要の落ち込みに対する懸念が再燃しています。


皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は資源・食糧問題研究所 代表 柴田明夫氏をお迎えし原油価格動向と今後の見通しを伺いました。

石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国から成る
「OPECプラス」は、1月1日より協調減産を日量170万バレルに拡大しています。
さらにサウジアラビアが自主的に同40万バレルを上乗せし、
全体の減産量は同210万バレルにも達しています。


新興国を中心に需要が日量120万バレル程度増える一方、
供給は米国、ブラジル、ノルウェー、ガイアナなど
非OPEC産油国の伸びは同210万バレルと予想されており、
需給は引き締まるどころか緩む傾向にあります。


さらに新型肺炎が中国国内外に拡大していることによる
世界経済への影響から世界の原油需要の伸びは鈍化するとみられています。
通常世界の石油需要は年あたり1~1.2%(120~130万バレル)
伸び続けるものですが、今年は1%の伸びを下回る見込み。


今週は5日のOPEC総会と6日のOPECプラスの会合で
どれだけの追加減産が合意できるかが注目されていますが
合同委員会(JTC)は2月6日、日量60万バレル拡大することを提案。
しかし、ロシアは協調減産の規模拡大ではなく期間延長を提案しており、
思惑が異なるようです。


サウジアラビアの原油の財政収支均衡価格は85ドル。
ロシアは45ドルとされています。ロシアは50ドル台を推移していれば
減産したいとは考えていないと思われますが
さすがに50ドル大台を割り込んでくると財政にも響いてきます。


ただし60万バレルという数字はすでにマーケットに織り込まれており
サプライズがないと価格上昇の材料とはならないかもしれません。



他方、米国では原油生産量の拡大が続いています。
米エネルギー情報局(EIA)によれば、
2018年の原油生産量は日量1,099万バレルとなり、
45年ぶりに世界最大に返り咲きました。


原油生産量の7割弱はシェールオイル。
その生産量は2019年日量770万バレルから
2020年には同856バレルに拡大する見通しです。


これに伴い、米国は既に昨年9月、原油と石油製品の輸出量が
輸入量を上回り過去初めて純輸出国に転じました。


ただし、ベーカー・ヒューズ社によれば、
2020年2月21日時点のリグ(石油・ガス)稼働数は791基で、
2018年末の1,000基超をピークに一貫して減少傾向にあります。
独立系シェール企業では、原油安による資金繰りの悪化など
構造的問題を抱えており長期的に増産の余地は少ないのです。


にもかかわらず、原油生産量が過去最高を更新している背景には、
シェール鉱区に掘削済みだが未仕上げの坑井
(DUCs:Drilled but completed wells)が
6,000弱あることによるもので原油価格が上がれば増産の余地はあるのですが、、、

柴田氏には、地政学から見えてくる原油価格動向についても
お話を伺っています。

詳しくはSpotifyのポッドキャスト配信で柴田さんの解説をお聞きくださいね。
https://open.spotify.com/show/230k9NexbGZ5g1h4uBShSk