米国のシェールオイル増産は続くのか⁉ [コモディティの見通し(大橋ひろこ)] [マーケット・トレンド]
2019/11/27(水) 20:15

12月5~6日のOPEC総会が注目されていますが、OPECプラスが長期協調減産を実施していても原油価格の上値が重い背景に米国のシェールオイル生産の増加があげられます。OPECが減産してもそれを補って余りある米国増産が需給を均衡させてしまっているのです。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はエネルギー情報ネットワーク 山内 弘史氏をお迎えし
「米国のシェールオイル増産は続くのか⁉」をテーマにお話しを伺いました。

◆米国の直近の原油生産量は1,280万㌭/日
  ちなみにサウジアラビアの10月原油生産量は970万㌭/日です。

月間では10月が1,260万㌭/日、
2019年1~10月1,209万㌭/日となっています。
2018年は1~10月1,078万㌭/日
2017年の1~10月 922万㌭/日だったことを見れば

年々生産量が増加していることが確認できます。


◆2019.11月18日発表の"drilling Productivity Report"によると
米国の主要7つのシェールガス・オイル鉱床の
11月の原油生産量は9,084千㌭/日。
12月には9,133千㌭/日になると予測されています。


*同シェール鉱床のガス生産量 11月84.9Bcf/日 12月85.2Bcf/日 
 原油生産も天然ガス生産も過去最高を更新しています。
米国本土48州の陸上油田生産量は毎月前月比20万㌭/日増を続けています。

  

◆ 11月OPEC石油市場報告でも
2019年の米国の原油生産量は
前年比120万㌭/日増の1,219万㌭/日を予測。
うちタイト原油は同112万㌭/日増の763万㌭/日。
増産が予想されています。

◆しかしながら石油掘削稼動リグ数は大きく減少しています。

11月22日現在 全米671基が稼働していますが
 昨年同期885基で214基も減少しています。

      パーミアン  405基 昨年同期 493基 △88基
      *マーセラス 36基       58基 △22基


ところが生産量は落ちていません。むしろ増えています。

パーミアンの原油生産量 11月467万㌭/日 昨年同月363万㌭/日
            12月473万㌭/日  〃   369万㌭/日

つまり生産坑井の選択と集中が進んでいるのです。
稼動リグ数の減少は中短期的には減産には繋がりません。

◆ DUCも減少しています。これはどういうことでしょうか。
 (drilled but uncompleted well;掘削したが完成させていない坑井=待機坑井)

 2019年10月19日現在 7,642井 
ピーク2019年2月19日 8,372井 △730

 以前に掘削した坑井に水圧破砕やセメンチングを施あれ
 生産井にしているとか。つまり待機坑井は待機状態から生産油井へ。
 ゆえにシェール原油生産増が続いているというのが現状です。


◆何故シェール生産が増え続けているのでしょうか。

パーミアン・シェールの新しい取り組みと成果が一つの材料。
パーミアンの新しいパイプラインの敷設が生産レベルを引き上げました。
8月に2本のパイプラインがパーミアンで開通したのです。

※40万㌭/日のEPIC・NGLパイプラインと
 67万㌭/日のCactusⅡパイプライン。

増産続きで余剰となるパーミアン原油がメキシコ湾岸着で
他の原油と競争するには安値販売しかなかったため、
一時はパーミアンのミッドランドFOBと
クッシングのWTIスポット価格との間に最大で16ドルの価格差
(パーミアン安)がありました。
パーミアン・ベイスン~USGCの新規パイプラインの稼働によって
米シェール増産が見込めるということですね。


◆現行原油価格でも増産は続くでしょうか。

2018年のWTIスポット価格は65.06㌦。
2019年は56.45㌦,2020年は54.60㌦予測。

コスト的にはあまりよろしくありませんね。
シェール革命は中小ベンチャー企業が始めたものですが
当初、ジャンク債市場で資金調達が行われてきました。
原油価格が安価に低迷すると中小ベンチャーは採算が合わず
破綻するリスクが高まりますが、近年ではオイルメジャーが
シェールベンチャーを買収しているため、破たんリスクは大きくありません。

ここからの展望は是非Spotifyのオンデマンド配信で
山内さんの解説をお聞きくださいね。

https://open.spotify.com/show/230k9NexbGZ5g1h4uBShSk