苦境にあえぐ米シェールオイル企業 [コモディティの見通し(大橋ひろこ)] [マーケット・トレンド]
2019/07/10(水) 15:47

7月1日、OPECプラスの会合で減産期間の9カ月延長が合意されましたが、その直後2日の市場で大きな急落に見舞われた原油相場。世界の景気減速によるエネルギー需要の伸びの減少が懸念されており、市場は減産延長は織り込み済みだったとみられます。
また、この5~6月はタンカー攻撃などのきな臭いニュースも相次ぎました。イランと米国の対立、軍事衝突のリスクの高まりなどは本来原油の下支え要因ですが、これも足元の原油市場では原油の押し上げ要因とはなっていないようです。


皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はエネルギーアナリスト 大場紀章氏をお迎えしお話を伺いました。


様々な原油押上げ要因にも反応鈍い原油市場。
この背景には「米シェール生産の増加」が指摘されています。

米国は今やサウジアラビアやロシアを抜いて原油生産量世界一です。
その生産量は増加の一途を辿っているとされ、中国の景気減速の懸念とともに
原油価格の上値を抑えているとされてきました。

が、大場さんは「増産量は2018年の前年同月比220万バレルをピークに
徐々に減ってきている」点が気がかりだと指摘。
確かにシェール企業のシェール生産動向を見るうえで指標とされている
掘削リグ稼働数も2018年11月の880基をピークに足下では780基まで減少してます。


実は、WTI原油価格は昨年10月の高値70ドル台後半から40ドル台前半まで
急落して以降、投資家らのシェール企業への投資が冷え込んでいます。
原油価格は12月には底入れし2019年5月に向けて65ドルを超えるまでに
回復してきたのですが、投資家らが戻ってきていないというのです。


大場さんによると第1四半期の米シェール企業の決算は
調査した40社のうち36社がネガティブキャッシュフロー。
シェール企業は200社近くありますが、今年すでに8社が倒産、
あるいは倒産の危機に瀕しているとか。


この背景には2015年のチャイナショックと呼ばれたマーケットの急落局面で
原油価格が30ドルをも割り込むまでに下落したアイに
150社ものシェール企業が倒産に追い込まれたことに起因するのではないか、
と大場氏。投資家らはそのトラウマから慎重になってしまっているのです。


さらに中国の原油輸入は2019年4月に過去最高の1060万バレルに達したと
報じられましたが、4月には920万バレルに減少、5月には840万バレルに落ち込んでおり、
中国の需要の減退も投資意欲を低下させる一因であると思われます。


現在、米シェール企業の原油生産コストは平均で40~50ドルとされていますが、
現状の60ドル台では利潤が薄く、原油価格が上がらないと投資家が戻ってこない
可能性も否定できません。


ということで、目先は需要の伸びの減少などが原油価格を抑える中、
シェール企業の苦境が続区とみられますが、
シェール産業全体への投資が鈍ることは長期的に何を意味するのでしょうか?!


大場さんは、2019年後半にかけシェール生産量に陰りが見えてきたときに
投資不足による生産能力の低下が焦点となれば
原油価格が大きく動く可能性に言及、詳しく解説くださいました。

また、地政学の供給リスクはイラン、リビアなどの国に注目とか。


スポティファイでのポッドキャスト配信もスタートしました。
詳しくはポッドキャストでお聞きくださいね。
https://open.spotify.com/show/230k9NexbGZ5g1h4uBShSk