
- 中東リスクの高まりも需要の先行き不安に冴えぬ原油 [コモディティの見通し(大橋ひろこ)] [マーケット・トレンド]
- 2019/06/26(水) 20:02
FRBの利下げ期待が高まり、米長期金利は2%を割り込むまでに低下する局面もあり米株市場ではS&P500が史上最高値を更新、コモディティ市場ではゴールド価格が吹き上がりましたが、原油市況は、株高、金高と比較すると上値が重い展開が続いています。
皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。今日はオイルエコノミスト 藤沢治氏をお迎えしお話しを伺いました。
25日火曜に予定されていたOPEC定例総会は7月1-2日に延期されました。OPECおよび非OPECで形成されるOPECプラスでは昨年12月に決めた日量120万バレルの減産を年末まで延長で合意すると予想されています。ロシアは減産継続に躊躇していましたが、足下原油価格が軟調であることからロシアも協調減産継続に合意するとみられています。減産継続合意は原油の下支え要因となります。
米国とイランの軍事衝突の可能性が高まっていることが地政学リスクとされていますが、イランはイラクとは違い中東で最強の軍事力を有しており米国もイラク戦争の二の舞を踏みたくないのでは、、、と藤沢氏。
イラン原油の輸出量は、最近では日量40-50万バレルに減少していると報道されておりイラン経済は打撃を受けており、緊張は高まっています。仮にホルムズ海峡で軍事衝突が激化すれば、原油価格は急騰すると考えられます。
しかしながら、 世界経済の成長減速による石油需要増の減退が上値を抑えています。IEAは、2019年の石油需要を前年対比日量140万バレル増としていたものを6月の月報で日量120万バレル増に下方修正しています。米中貿易戦争が長引けば、日量100万バレル増にまで落ち込むとみられます。
米中貿易摩擦の激化による世界経済の成長の減速が懸念材料となるなか、投機筋は、NYMEXの原油市場に流入してこない状況が続いています。また、 7月頃からパーミアンから湾岸へのパイプライン網が増強されており米国の原油生産は増加の一途を辿っています。米国の原油生産量は、日量1,240万バレルと予想されていますが、上振れする可能性も。
米国からの原油輸出は、年半ばから日量60万バレル程度増加し、毎月日量300万バレルを超えています。トランプ政権のイラン、ベネズエラへの制裁やメキシコへの関税賦課などで、中重質の原油が市場で不足しており、ドバイがWTIブレントより高い状態となっています。
需給は、IEA, EIAの最新の月報をみても、逼迫しない状況であり現在はバランス状態に近づいています。EIAの予測でも、OPECが1-3月並みの日量3,000万バレルを生産すれば需給は逼迫しないとみられますが、ただし、供給過剰にもならないと藤沢さん。さてここからの原油価格は?!スポティファイでのポッドキャスト配信もスタートしました。詳しくはポッドキャストでお聞きくださいね。
