原油価格はトップアウトしたのか?!急落の背景 [コモディティの見通し(大橋ひろこ)] [マーケット・トレンド]
2019/05/29(水) 20:05

5月23日、WTI原油先物中心限月である期近物価格は57.91㌦/㌭と前日比3.51㌦もの下落となりました。(一時57.33㌦まで下落)下落幅としては2018年12月24日の3.33㌦を上回る大きな下落でした。前日の22日に前日比1.57㌦もの下落となっており、2日間で4.90㌦の下落。原油価格はトップアウトしたのでしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。

今日は エネルギー情報ネットワーク共同代表 山内 弘史氏をお迎えしお話を伺いました。



22日に米国エネルギー情報局(EIA)は「週間石油需給統計」を発表。
5月17日現在の原油在庫(商業在庫)は
前週10日比470万㌭増の476.8百万㌭に膨らみました。
この増加量は10日の在庫増540万㌭や
4月26日の1,050万㌭/日ほどではなかったのですが、
なぜこれだけ大きな反応を示したのでしょうか。


在庫面からいえば、ガソリン在庫が17日段階で
前週比370万㌭増となったことが原油下げに影響したとみれれます。
ガソリンシーズンインが迫るのに5月10日までの約1カ月間
同在庫は増加しないどころか減少していました。

通常,米国のガソリンシーズンは5月27日(5月最終月曜)の
メモリアル・デーから始まります。

冬場のヒーティングオイル増産を終えた製油所は、
2月末から順次定修に入り、3月末からガソリン増産体制に入るのです。

ところが、製油所のトラブルが数カ所で発生したため、
在庫積み増しができなかったという事情が。
それがここにきてようやく増加してきました。
5月17日現在のガソリン在庫は226.7百万㌭。

トランプ大統領がしきりにガソリン価格に気を遣い,
サウジに原油増産を求めていますが、これは
米国石油需要の46~47%はガソリンが占めているためです。
ガソリン価格が3㌦/㌎を超えると米国の消費は鈍り、
選挙に影響を及ぼすと考えられています。
この在庫増で米国のガソリン小売価格は2.85㌦と前週比2㌣の下落。


EIAは「今年のガソリン価格は昨年同様の2.85㌦前後で
メモリアル・デーを迎える」と24日に発表しており
トランプ大統領はひと安心といったところ?!

しかし、これは22日の下落の理由にはなっても
23日の急落の説明としてはインパクトに欠けます。
なぜ原油市況は崩れだしたのでしょう。


5月、中東の緊張の高まりが立て続けに報道されました。

① 5月12日:UAEのフジャイラ沖でサウジのタンカー2船などが攻撃を受け破損。

② 5月14日:サウジ東部の原油パイプラインをドローンが攻撃,パイプライン閉鎖。

③ 5月15日:サウジなどアラブ連合軍がイエメンのフーシ派拠点を空爆。

④5月19~20日:イラクのバグダッドやサウジのメッカに向け弾道ミサイルが発射された。

米国・サウジなどはこれらをイランが関与していると激しく非難。
米国軍はペルシャ湾に空母を派遣したほか
「最大12万人の兵力を中東に派遣する用意がある」と言明。
イランはこれに対抗して「ペルシャ湾を閉鎖する」としています。
「一触即発」ともなりかねない事態ですが、、、
原油価格は大きく上昇することはありませんでした。

投機筋らはすでに買いポジションを減らす動きに出てます。

米国先物取引協会が発表する原油先物取引はの投機筋ポジションは
4月23日までは買い越し残が547千枚に上っていましたが、
5月21日には478千枚にまで減少。(1枚=2,000㌭)。

中東の紛争で供給に実害が出ていないこと、
そして、この緊張は市場の材料としてはインパクトに欠けるものと
なりつつあり、投機筋は次の材料に反応しているものと考えられます。

それは原油の需給。
現状、そして先行きの需給見通しを
山内さんに伺っています。

詳しくはポッドキャスト配信で山内さんの解説をお聞きくださいね。