膠着した原油相場のゆくえ [日経新聞編集委員] [マーケット・トレンド]
2019/05/27(月) 23:11
毎月最終月曜日は、日本経済新聞社 編集委員の 志田富雄さんに
国際商品についてお話を伺っています。

今回のテーマは「膠着した原油相場のゆくえ」

昨年からの原油相場を振り返ると
昨年10月の86ドル台の高値を付けた後に急落。
今年に入って持ち直し、4月下旬に75ドルをつけて上昇がストップ。
以降、徐々に下げてきている状態です。

昨年つけた86ドル台の高値水準まで、今回何故届かなかったのか。
昨年と今年の状況の違いを比較してみると
現在は減産体制であるため、昨年に比べ、いざという時の増産余地(スペアキャパシティ)があることが挙げられます。
昨年は200万バレルまで減って切迫していましたが、現在はオペックだけでも330万バレルまで余地があり
危機感がないために昨年の高値までいかずに落ち着いたと考えられます。
その他、米国の原油生産が増えていること。
4月の段階で日量1,200万バレルと、昨年9月より50万バレル以上増加しています。
一方需要を見てみると、IEAの統計で1-3月9,908万バレル。44万バレル下方修正されています。
世界経済の減速を映して世界の石油需要も思ったほど強くはありませんでした。
このような大きな需給の変化で上昇が75ドル台で止まってしまったと考えられます。

昨年の高値の後の急落は、対イランへの米国の制裁が、8か国地域への半年の猶予を与えたのがきっかけでした。
そして半年後の今回は再延長は認めなかったため、イランからの供給が大きく減少しました。。
またベネズエラの生産量も徐々に減っているため、この2か国だけでも100万バレル以上減っていると考えられます。
この減少分を埋め合わさなさなくてはなりませんが、昨年トランプ政権からOPECに減産を緩和するように促され
増産をしようとした途端に、米国がイランへの制裁の緩和をしたため、OPECは梯子を外されたような状態になりました。
その経緯を考えると、6月のOPECの総会で減産の緩和がすんなりと増産に応じられない状況です。
一方で、中東情勢悪化で、ホルムズ海峡が封鎖されるようなことが実際におこれば
消費国にとって大きなリスクとなり、100ドルを突破することも考えられます。
どちらも十分に考えられるので、現段階では相場のゆくえは分からない状況です。