米国のシェールオイル革命の第2波がやってくる [投資α情報(大橋ひろこ)] [マーケット・トレンド]
2019/03/27(水) 19:48

 国際エネルギー機関(IEA)が発表した「Oil 2019:2024年に向けての石油市場の分析と予測」。2019~2024年の国際石油市場における米国の位置と果たす機能を中心に取りまとめたもので、シェールオイル増産とそれが及ぼす石油市場への影響及び石油製品需要構造の変化を予測したものです。ここから見えてくる「米国シェール革命第2波」とは?!

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はエネルギー情報ネットワーク 山内 弘史氏にこのレポートのポイントを解説いただきました。


1. 米国が世界の石油供給増を主導する

2024年の世界の石油供給(生産)量は2018年に比べて
約570万㌭/日ほど増加予測。
このうち約400万㌭/日が米国の増産によるもの。
2018年の米国の原油生産量は1,095万㌭/日、
これが2024年には1,495万㌭/日に。
米国の増産が世界の増産分の70%を占める試算です。


2. 国際海事機関(IMO)の2020年改革
海運業者と石油精製業者は新たなマリーンバンカー油を製造する必要が

2020年から船舶の燃料油に含まれる硫黄分濃度規制が強化されます。
一般海域における燃料油の硫黄分の規制値は現行3.5%以下ですが
これを0.5%としなくてはなりません。

この環境規制に対応するには
① 燃料油の硫黄分を引き下げる
② 船にスクラバーというS分回収装置を取り付ける
③ 燃料をLNGやLPGに転換する
などの対策が求められます。
燃料油を消費する場合は
硫黄分0.5%以下のVLSFOに転換するか
ガスオイルに変えなければならないため、
石油精製業には大変な負担となってきます。

3・世界的に石油需要は化学原料用とジェット燃料用で伸びる

2024年までに世界で50を超える石化プロジェクトが稼働すると
見込まれており、石化製品とりわけ樹脂需要はまだまだ伸びていきます。
世界の石油需要増の30%は石化部門で占められる見込み。

また、アジアを中心に航空機乗客数は飛躍的に増えており、
ジェット燃料油需要の増加も顕著となっています。
インド,中国は年率8%以上の需要増が続くと見込まれています。

一方でガソリン需要はEV自動車の普及や低燃費自動車普及によって,
今後の需要増は年率1%以下となる見込み。


4・石油需要の伸びは年率120万㌭/日,だがまだピークは見えない

 
2018年の世界の石油需要の伸びは前年比130万㌭/日でした。
2020年には130万㌭/日増、2025年は125万㌭/日増、
2024年は100万㌭/日増となる見込み。

 
中国の石油需要は消費効率の改善=省エネの浸透及び
環境政策へのシフト=燃料転換などで,石油需要増は鈍化。
一方、インドの需要 は2024年には現在の中国と同程度規模になる見込み。
米国の需要も堅調で2024年まででは石油需要のピークは見えず
増加が続いていくと思われます。

5・米国のシェールオイルは新たな石油需要見通しに適合する

2018年の石油製品需要のAPI(米国石油協会の定める比重)は
47~48度。これが2024年には50度をやや超えそうです。
これは船舶用燃料油やジェット燃料油やナフサなど需要の軽質化が進むためです。

2018年の石油製品需要の平均硫黄分は0.3%ですが,
需要構成に変化によって2024年には0.2%強程度まで下がる見込み。

実はシェールオイルのAPIは40度台と軽質・超軽質原油。
S分も0.2%程度と低いため
IEAは「シェールオイルは設備高度化等の必要性を減じる。
設備で対応してきた石油精製の逆転が起こる」としています。


6・米国のシェールオイル革命の第2波がやってくる

2019年米国のシェールオイル生産量は850万㌭/日以上になる見込みです。
原油が高価格の環境下では,生産量は更に増加します。
現行50~60㌦/㌭では900万㌭/日前後にとどまっていますが、
70㌦になると1,100万㌭/日に、
80㌦になると1,200万㌭/日の生産増となるとみられています。

シェールオイル増産で米国が石油純輸出国となり、
石油需要の軽質化・低硫黄化で
消費国でのシェールオイルを求める動きが強まれば、
価格が上昇し増産のための投資が進むと考えられています。

2012年以降のシェールガスに端を発するシェール革命が第1波だった
とすれば,これからの増産は第2波ということができる?!

詳しくはポッドキャスト配信で山内さんの解説をお聞きくださいね。