2009年11月より開始された太陽光発電の電力会社による余剰買取りは法律により買取期間が10年と定められており、2019年11月より順次売電契約が終了します。経済産業省・資源エネルギー庁は、家庭向けに期間終了後の選択肢を提供するポータルサイトを開設するなどしていますが、こうしたニーズに応えるべく、ブロックチェーン技術を使った電力の売買プラットフォームが注目されています。
皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はエネルギーアナリスト大場紀章氏をお迎えし電力、コモディティのブロックチェーンプラットフォームについてお話を伺いました。
電力会社による電力の買取から、個人間での電力の売買へ。
このスキームをP2Pで実現していくことはそれほど難しいことではありませんが、
障壁がないわけではありません。
取引がブロックチェーン上で行われても、実際の電気の送電には送電線が必要です。
既存の高圧電線網はそれぞれの電力会社による設備投資によってインフラ化され、
もちろんメンテナンス、維持費も膨大です。
この送電線網を使って送電する場合、送電コストは誰が負担するのか、、、
日本にはいくつもの電力会社があります。
変電所をまたいでの送電となった場合はどうするのか?!
さらに、そのコストをかけての個人間取引では
結果的にコストがかさんでしまうことにはならないか、、、、
インフラはただではありません。
取引決済のブロックチェーン化は難しくなくても、
送電コスト問題がクリアにならなければ、全国統一のモデルでの
ブロックチェーン化は時間がかかりそうですね。
また、原油や、穀物などコモディティの現物取引でも
ブロックチェーンが注目されています。
現在のコモディティの現物取引(貿易)は
船会社など運送業者が発行する船荷証券という貿易における船積書類のやりとりに
かなり時間を割いています。貨物の引き受けを証明し、貨物受け取りの際の依拠となるものなのですが、
この時間のロスがブロックチェーン化することで大幅に短縮できます。
また、国際条約違反や制裁破りなどの不正もできなくなることから
取引の上流から下流まで透明性が高まり、取引が活性化するとの見方も。
現在すでに、2つのコモディティブロックチェーンが動き出しています。
ひとつはスイスのジュネーブを本拠地とするKomgo SAによって運営される
「Komgo(コムゴ)」
世界銀行や世界の銀行、商社などが参画し(日本からはMUFGが)
ブレントオイルのブロックチェーンでの取引を実現させています。
もう一つは米テキサス州に本社を構えるトライコン・エナジーによる
「ボルトロン」
HSBC、スタンダードチャータード銀行、中国銀行、ドイツ銀行、ソシエテ・ジェネラル、
そして穀物商社大手のカーギルなどが参画しているブロックチェーン網。
食料、穀物の取引が主軸でのスタートとなるようですが
両社ともコモディティ全般に取引を拡大させたいとしています。
詳しくはオンデマンド放送で大場さんの解説をお聞きくださいね。