日銀、2%の実現時期が削られた背景 [日経新聞編集委員] [マーケット・トレンド]
2018/05/07(月) 23:11

景気が回復し、人手不足、就活は空前の売り手市場と言われていますが、給与、物価はなかなか上がりません。
このような状況の下、日銀の黒田総裁は、4月27日、二期目初となる金融政策決定会合後の記者会見で、現行の金融緩和政策を粘り強く続ける考えを改めて示しました。
経済・物価情勢の展望リポートでは、2%物価目標の実現時期について「2019年度頃」としてきた文言をあえて削りました。
その背景について、日本経済新聞社 編集委員の清水功也さんに伺いました。

3月の消費者物価上昇率は前年同月比で0.9%の上昇。
日銀が重視している、エネルギーも除いた物価は0.5%.の上昇...と、なかなか勢いがつかない状況です。
その主な要因は、経営者が物価に対して依然として慎重な見方を崩していないため。
展望リポートでも「労働需給の着実な引き締まりや高水準の企業収益に比べ、企業の賃金・価格設定スタンスはなお慎重」と指摘されています。
17年度の有効求人倍率は44年ぶりの高さになるなど労働市場の需給は引き締まってきています。
しかし、経団連のよる春季労使交渉(一次集計)で、大手企業の賃上げ率は2%台半ばと、安倍政権が目標としている3%に届いていません。
人手不足の対応のための投資などを優先させなくてはならないためです。
我慢強く緩和策を続け、企業の生産性が向上すれば、いずれは賃上げに余力が回り、物価の押し上げに繋がると日銀は考えているようですが
日銀の思惑通りに進むのかということについては懐疑的な見方もあるようです。
緩和政策の副作用...銀行など金融機関の経営への打撃、年金・保険などの資産運用への悪影響、資産価格バブル等々...の懸念が悪化するからです。
黒田総裁の二期目は棘の道、大変舵取りの難しい状況と清水さんは見ているそうです。
次回の展望リポートは7月です。