高止まりの原油、米国製油所の税金対策による在庫調整の影響も [マーケット・トレンド]
2017/12/06(水) 23:08

原油価格が高止まり中。WTI原油価格は60ドルの大台を伺う展開が続いています。11月30日のOPEC総会では9ヶ月間の減産延長が決定しましたが、OPEC総会は原油価格にどのように影響したのでしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はよそうかい・グローバル・インベスターズ代表 松本英毅氏に原油価格の現状と今後の見通しを伺いました。

OPEC総会直前には、足元の原油価格の高止まりからロシアがもっと短い期間の延長を
求めていたとの話もありましたが、最終的には9か月減産に合意。
一方でサウジが摸索していた、減産合意の仕切り直し
(リビアやナイジェリアを含めての追加減産)も見送りとなりました。

結果、特に強気のサプライズのない事前予想通りの発表でしたが、
材料出尽くしで売られるということもなく、原油価格は堅調推移となっています。

松本さんによると、通常なら総会終了後速やかに出されていた声明文が、
約一日遅れで発表されたそうで、 公式文章化するに当たり、細部で
かなり揉めた可能性もあるとのこと。

イベントは原油価格を大きく動かすものではありませんでしたが、
ここからの原油価格を動かす要因は?!

年末にかけ米国南部の製油所が、税金対策のために意図的に在庫を取り崩す傾向が強いことに注意。
米国の法人には、期末時点での資産に対しても税金が掛かるのですが、
製油所は手持ちの在庫も資産とみなされます。
よって在庫が少なければ資産が減り、税額も少なくなります。

この時期になると節税のため、沖合いにタンカーを待機させて輸入量を減らし、
在庫を取り崩すなどの手法が取られるため、原油価格は支えられやすいのだそうです。

ただし、 年が明ければ、その反動で輸入量、在庫ともに急増することが多いため
原油価格の急反落にも注意が必要となります。

昨年のように在庫が高水準にあり、需給が一色の時には、市場もあまり反応ませんが
今年はOPECの減産によって地合いはかなり強気に傾いているため、
在庫統計に反応して、買いが集まってくる可能性が高く、年末に向けては強気が継続しそう。

年明け、1月前半は在庫の急増などを手掛かりに、ポジション整理の売りが出やすいことには
留注意が必要ですが、松本氏は下落は一時的と指摘。

背景にあるのは中東、特にサウジの政治的混乱、イランとの関係悪化といった地政学リスク。
OPEC内の不和は、これまでなら闇増産の横行など、弱気の方向に作用していましたが
現時点では価格下落に伴う石油収入の減少に対する産油国の危機意識は強く、
そうした方向には進まないと考えられます。

ホワイトハウスが、エルサレムをイスラエルの首都として承認する
意向を示していること(5日にも発表?)も大きな問題です。
パレスチナが反発するのは目に見えており、新たなテロや中東情勢不安に発展する恐れも。

原油先物市場の買い越しは過去最高水準ですが、ポジション需給から
手仕舞いによる下落を見込んでショートするのはリスクが大きいかもしれません。

詳しくはオンデマンド放送で松本さんの解説をお聞きくださいね。