日銀が強める緩和けん制、その理由は? [日経新聞編集委員] [マーケット・トレンド]
2017/11/20(月) 23:32
本日のコメンテーターは日本経済新聞社 編集委員の清水功哉(いさや)さん。
清水さんには身近な経済についてお話を伺っていますが、今日は日銀の金融政策について。

日銀が追加緩和観測をけん制する情報発信を始めたと清水さん。

10月末に開かれた日銀金融政策決定会合の主な意見が公表されました。
「仮に政策を変更する場合には、『(2%の)物価安定の目標』の達成を早め、持続可能性を高めることがより確実なものでなければならない。政策変更の効果に確信が持てない限り、現状維持が適切である」
「(物価2%の)目標達成を急ぐあまり極端な政策をとると、金融不均衡の蓄積や金融仲介機能の低下といった副作用が生じる恐れもある」
「追加緩和に関しては、市場や金融機関への影響、政策の持続性等の観点から、プラスの効果より副作用の方が大きいとみている」

このようは発言により「追加緩和を躊躇する姿勢が明確」というわけです。

この日銀の姿勢の背景として、7月に就任した片岡剛士審議委員の発言...国内需要により物価目標達成時期がずれる場合には、追加緩和手段を講じることが適当...という趣旨の追加緩和論が、その一つにあげられますが、市場の一部でも利下げ観測がでてきたことが関係していると見ているそうです。
ESPフォーキャスト調査で、18年末に日銀の長期金利(10年物国債利回り)誘導目標ががどうなっているのかの予測を7月以降集計していますが、11月に1人のエコノミストが利下げの予測をしたのだそうです。

日銀としては、金融不均衡の蓄積や金融仲介機能の低下といった副作用が生じる恐れがあるため、追加緩和は出来るだけ避けたいところ。
その一方で、物価動向が芳しくないため出口政策への早期着手は慎重な姿勢を取らざるを得ない。
とはいえ、18年末になっても金利を余り上げられないという読みが広がり過ぎることは、デフレの長期化の予想が強まっていることを意味するし、政策の自由度が下がるので望ましくない。

ということで、追加緩和論はもちろん、超低金利の過度の長期化観測も広がらないようにするための舵取りとして、追加緩和策けん制の情報発信を始めたわけですが、うまくいくかを左右するのは賃金動向。当面の焦点は18年の春季労使交渉だそうです。
清水さんの解説はオンデマンド放送をお聴きくださいね。