TPP協定と農業競争力強化プログラム [大橋ひろこコラム] [マーケット・トレンド]
2017/04/12(水) 23:33

米トランプ大統領は、就任早々TPPからの永久離脱を表明しました。TPP発効には加盟12カ国のうちの6カ国以上が批准することが必要です。かつ全体のGDPの85%以上となることが求められており日本のGDP比率17%、米国62%を鑑みれば日米のいずれか批准しない限りTPPは発効しないということになります。


皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。


今回は資源食糧問題研究所代表柴田明夫氏に
「農業」改革とTPP協定をテーマにお話を伺いました。

アベノミクス農業政策は、TPPの漂流が決定的になるのとは別に、
TPP対策=「農業」改革を進めています。
昨年11月、政府・与党が作成した『農業競争力強化プログラム』という改革案の
中身を柴田さんに解説いただきました。

柴田さんは3つの点に注目されています。

(1)種子法の廃止 

『農業競争力強化プログラム』の最大のテーマは生産資材価格の引き下げ。
具体的施策の中で「戦略物資である種子・種苗について、
国は国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に発揮した
開発・供給体制を構築する」と謳っています。

問題は、そうした体制を整備するため「民間の品種開発意欲を
阻害している主要農産物種子法を廃止するための法整備を進める」
としていることにあります。

対象となる農産物は稲、麦、大豆の基礎食料。
これまで種子法では、これら主要農産物に関しては
都道府県の農業試験場を中心に原原種や原種の確保、
生産・普及を義務付けてきました。

しかし、これが民間の参入を阻害しているとして
ターゲットになってしまっているのです。

では、政府が活力を最大限発揮させようとする民間とは?

現在日本では種子などの「遺伝資源」について、
自国の主権的権利が認められています。
農家は生産に必要な種子は、国内の種苗会社や農協から買うか、
前年の作物から優れた種もみをとっておき自家採取で手に入れています。
しかし近年はハイブリッド(雑種1代)種子や
遺伝子組み換え(GM)作物が普及するに連れ、
農家が自家採取に取り組みにくい状況となってきています。

つまり種子が誰もが利用できた「公共財」から、
購入しなければ利用できない「商品」の性格を強めているのです。

競争力強化を謳って種子法廃止となれば、民間企業がこの分野に
流れ込んでくるということですが、知的所有権を盾にした
多国籍アグリバイオ企業がシェア獲得に動くでしょう。
種子法廃止は「遺伝資源の囲い込み」政策でもあるのです・・・。

 TPPの漂流が決定的になるのとは別に、
政府は農業者や国民への十分な説明無しに
競争力強化戦略を拙速に進めようとしていますが、
 しかし、それは却って日本の食料主権を脅かすことに
なりかねないものでもあるのです。

(2)コメ政策 ―コメ価格の上昇の背景

足元でコメの市中価格が上昇してきました。
農水省の「コメの相対取引価格・数量」によりますと、
2015年産米、16年産米の全銘柄平均価格がそれぞれ
前年比10%、8%上昇しています。この背景に、
政府主導による飼料用米の増産政策があることをご存知でしょうか。

政府・農水省は14年より「減反廃止」(米生産調整の見直し)政策を
本格化し、主食用米から飼料用米への転換を進めています。

16年産米の「生産数量目標」は743万tで(前年産▲8万t)。
需要見通し762tを下回りました。
一方、飼料用米は18万tから60万tへ増加、2025年には
110万tに拡大する計画となっています。

飼料用米増産の駆動役となっているのは農家への助成金です。
10アール当り平均単収530kgを挙げると8万円、最高680kgで
10万5000円の助成金が出されます。

単収を上げると助成金が増えることから、主食用米のなかの
「くず米」も増量原料として混入されるケースも多くなっています。

主食用米、くず米が品薄となることから価格が上昇するサイクルへ。
これは中食・外食、米菓などの経営を圧迫するもので
消費者の家計負担も増えることにつながります。
影響は甚大です。

米消費が減退していく中で、補助金目当てで生産者らが
飼料用米に切り替えることで米価をあげていく。
ただし、飼料用穀物はトウモロコシや大豆をすでに米国から輸入しており、
政策による米飼料増で、大豆やトウモロコシの輸入量が減少するような
ことになるようなら、米国はそれを看過できないのでは、
と柴田さんは指摘されています。


(3)MA米輸入とアメリカへの配慮

 
昨年TPPの国会承認を巡り、与野党の対立が激化しましたが、
新たな火種となったのが輸入米問題。

政府はガット・ウルグアイラウンド合意(WTO協定)に基づき、
1995年以降、コメのミニマム・アクセス(MA)として
現在77万tの輸入枠を設定していますが、この内、
アメリカのシェアは47%前後で推移しています。

うち10万tは、国が主食用にSBS(売買同時契約)米として
商社など輸入業者とコメ卸売業者との直接取引を認めています。
輸入業者と卸売業者がペアで国の入札に参加し、
輸入業者からの買い入れ価格と卸売業者への売り渡し価格との差が
大きいものから落札します。
国は国内のコメ価格に影響が出ないように、
売り渡し価格を設定しているはずでした。

しかし、輸入業者が政府に申請した価格より安く買い入れ、
一部を調整金として卸売業者に支払っている事実が判明。
国の売り渡し価格よりも安く流通しているのではとの疑惑が生じています。

詳しくはオンデマンド放送で柴田さんの解説をお聞きくださいね。


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