尖閣をめぐる米国の日中仲介外交 [日経新聞編集委員] [マーケット・トレンド]
2012/11/05(月) 23:10

明日6日、いよいよ米国の大統領選の投票が行われます。
今日は、米国国際情勢に詳しい、日本経済新聞社国際部編集委員の春原剛(すのはらつよし)さんにお越しいただきました。
テーマは「尖閣をめぐる米国日中仲介外交」

尖閣諸島をめぐって日中関係の緊迫が続いています。
中国は色々な船を周辺に送り込み、日本の海上保安庁がこれを牽制。
まさに睨みあい、スタンドオフの状況になっています。
この状況を米国も心配して、先月下旬、オバマ大統領が日中に元米政府高官を派遣し仲介外交を展開しました。

米国はもともと「中立」のスタンスをとっていたはずなのに、何故このような仲介を行ったのでしょうか?
米国は1982年、イギリスとアルゼンチンとの間に起きたフォークランド紛争でも中立の立場をとったように“領土問題”には中立の立場をとっています。
しかし尖閣問題は、日本が実効支配をしていると日米では認識しているので、日米安保条約の対象になるのです。
鳩山政権以降、日本と米国の関係が悪化しているので「今なら中国が尖閣に手を出しても米国は軍隊を出して日本を守ることはしないかも」と日中双方が誤解しているとまずいので
「中国が軍事的に日本を威嚇したり尖閣周辺に軍艦を出したりすれば、日米安全保障の対象条件となるので、日本を守る」と明確に伝えたわけです。
中国も今のところは尖閣に軍艦は送ってきていないのでギリギリの心理戦を展開しているようです。

今回米国が派遣した訪問団はいずれも元高官で、アーミテージ氏・ハドリー氏は共和党、スタインバーグ氏・ナイ氏は民主党と超党派となっています。
実はここに鍵があって、明日から始まる大統領選の投票を控え、どちらが勝利しても日米安保体制は揺るがない…ということをアピールするための超党派
また、中国ともいい関係は続けていきたいということで生々しくならないよう、現職高官ではなく元高官
というこのメンバーになったわけです。

中国に対し日本の尖閣国有化を現状維持という条件で納得するよう迫ったわけですが
尖閣の『現状』に対し、日米と中国の間では認識が違っていて
日米の現状維持は、日本が尖閣を国有化したけれど、灯台や船溜まりを作ったりなどの実効支配を強める行為はしない。
中国にとっては、すでに尖閣周辺には日本と中国の巡視船が行き交う状況で、日本が実効支配しているとは言えない。
このような現状が維持されていくと、軍事衝突などおこらないか心配されます。
第一次大戦の引き金となったサラエボの銃声。あの一発の銃弾が世界中を巻き込む大戦を引き起こすとは誰も思っていなかったでしょう。
しかし、戦争を引き起こす要素は確実にあったわけで、今の尖閣をめぐる日中の状況も当てはまるのです。
米国大統領選挙をのゆくえを巡って日中がいろいろな思いをめぐらして計算違いをされると困る。
それを懸念し牽制するためのこの度の仲介外交だったということ。

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