米国が原油輸出解禁ってホント?! [大橋ひろこコラム]
2014.07/25 大橋ひろこ 記事URL

6月14日 アメリカBIS(商務省産業安全保障局)がコンデンセートの輸出を認可しました。

コンセンデートって??私も初めて聞く言葉です。

この認可を受け、「米国が40年ぶりに原油輸出解禁に動いた」と報道するメディアもありましたが、こうしたヘッドラインは誤解を生みます。正確には「米国が原油輸出の一部解禁、精製品の解釈拡大」でしょうか。

ご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。

今回は米国の原油輸出解禁を巡る動きについて
株式会社セキツウ常務取締役の山内弘史さんにお話を伺いました。



1.どんどん増加する米国の原油生産量
ご存知の通り、米国のシェールオイル(ガス)革命で米国の原油生産量は年々増加しています。

2005年 518万b/d
2013年は745万b/d
2014年1~7月半ばは830万b/d
7月第2週には859万b/d


2.石油生産量も増大
原油だけではありません。
原油や天然ガスに随伴して出てくるNGL(天然ガス液)も大増産となっています。

2005年 690万b/d
2013年1,029万b/d
2014年1~7月半ばは1,102万b/d
7月第2週は1,151万b/d

このNGLと原油の生産を足したものが「石油生産量」
原油+NGL=石油ということですね。
そしてこの石油生産量はサウジアラビアほぼ同量となる勢いです。
2020年には1,300万b/dにも上ると試算されています。


3.過剰な石油生産をどう処理するのか

米国は1975年制定の「エネルギー政策・保存法」により、
国産原油は戦略物資であるとして輸出が禁じられています。
ただし、海外から輸入したものを輸出することや、原油を製品に精製して輸出することは可能。
ということで大増産となりだぶついてしまっている石油を製品にして輸出しています。

実際,米国の石油製品(ガソリン、灯油、ディーゼルなど)輸出は急増しています。

石油製品輸出量
2005年100万b/d
2013年は256万b/d
直近では420万b/

4・製油所とシェールのミスマッチ問題
石油製品にして外国に輸出してはいるものの、それではとても追いつかない事情が。
米国で生産されているシェールと米国の製油所の能力がミスマッチであるというのです。
増産が続く原油はそのほとんどが軽質原油。
米国の製油所は重質原油に対応したもので軽質原油の処理には適していないのです。
これはこれまで米国が輸入してきた原油が「カナダ」や「ベネズエラ」「メキシコ」
といった国のもので、これらは全て「重質原油」だったため、
米国の精油所は重質原油処理に適合しているのです。

5.次第に高まる原油輸出解禁論
こうした問題をうけて2014年1月には上院のエネルギー公聴会で
原油輸出解禁論が検討されました。エネルギー省のモニーツ長官も
「我々が今生産している原油は現在の我が国の製油所にはミスマッチだ」と証言しています。

6.原油輸出反対論
しかし、東海岸の製油所を中心に反対論も。
東海岸の製油所はもともと北海原油やアフリカ原油など軽質原油を処理してきたため、
バッケンのシェールオイルなどを鉄道で輸送して処理する体制に切り換えることで
苦境を脱したという経緯があります。
このために東海岸の製油所はシェール原油の輸出解禁には反対しています。
また、シェールを輸出することで米国の原油価格が上昇し、
ガソリン価格が高騰するのではないか、という議論もあるのです。

7.現行制度内での「原油輸出」解釈拡大
「コンデンセートに限定した輸出ならいいのではないか」

ここでやっと「コンセンデート」について!
コンデンセートとは
・ガス田から液体分として採取される原油の一種。
・地下では気体状だが、地上で採取する際に、凝縮する液体(油)
・化学原料として利用。ナフサと類似した性質。
・これは統計上も原油として扱われている。

という特徴があります。

山内さんは正確な統計はないとしながらも,
2012年の米国原油生産量648万b/dのうち70万b/d程度が
コンデンセートだといわれていると教えてくださいました。

シェールオイルのコンデンセート含有率は高く,
これが原油を超軽質化しているのだそうです。
コンデンセートが多く含まれる原油は軽質原油ということですね。
統計上は原油として括られるも、この成分だけを分けて輸出してはどうか、というこです。
この部分の輸出ならば「原油」ではなく「原油の1部」で、
性質がナフサと類似していることで、石油化学の原料として輸出しようというのです。

7.2014年6月 BISがコンデンセートの輸出を認可
そして米商務省はコンデンセートを生産するパイオニア・ナチュラル・リソーシズと
エンタープライズ・プロダクト・パートナーズの2社に対し、
蒸留装置で処理した原油の輸出を容認しました。
これが「原油輸出解禁」として伝えられたのですが,本来の原油とは違うことを
今回、山内さんは詳しく解説くださいました。

早速、コスモ石油はこの30万㌭の輸入契約を締結したそうです。 
性状がナフサと似ているので石油化学原料として使うことが可能なことや
重質原油と混ぜて原油処理することもできるということです。

詳しくはオンデマンド放送で、山内さんの解説をお聞きくださいね。

小次郎講師初登場!移動平均線だけで勝てる投資家に?! [大橋ひろこコラム]
2014.07/18 大橋ひろこ 記事URL

チャート分析と言っても、テクニカルインジゲーターは数えきれないほど存在します。勝てる投資家になるためには、どのテクニカルインジケーターを使えばいいのでしょうか?

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回のマーケット・トレンドは、[めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAIが作った「商品先物取引入門」目からウロコのチャート分析編]を上梓されたばかりの小次郎講師こと手塚宏二さんが番組初登場です。

手塚さんは、勝ち組になるためには色々なテクニカルインジケーターを
あれこれ摘み食いして中途半端に覚えるよりも、
ひとつのテクニカルインジケーターを徹底的にマスターして
使いこなせるようになることが肝要だ、として
著書の中で取り上げた「移動平均線」について、その見方や使い方を解説くださいました。

テクニカル分析の基礎中の基礎、というイメージの移動平均線。
これだけでも使いこなせれば、勝てる投資家になれるのです。


まず、初心者がトレードで勝てるようになるためには
「トレンドのあるところだけを取る」という手法から始めることだ、と手塚さん。
日本人は逆張りが好きだとされますが、逆張りは非常に難しい手法なのだそうです。
まずは、しっかりとトレンドを見極めて、美味しいところだけを取るという思考に
切り替えていかなくてはなりません。


そのために、3本の移動平均線を使ってトレンドを見つけるのです。

手塚さんは

5日移動平均線 (短期線)
20日移動平均線 (中期線)
40日移動平均線 (長期線)

の、並びを見ることで、トレンドを把握するという
移動平均大循環分析という手法についてお話くださいました。

この3本の移動平均線の並びが重要なのです。
上から短期線、中期線、長期線という位置に並んでいる時だけ、
買う、それ以外の並びとなっている時には手を出さないということを
ルールにして、これを徹底的に守ることが基本です。
この並びが上昇トレンド時の形ですが、逆のパターン、
上から長期線、中期線、短期線となれば下落トレンドですね。

これは基本中の基本の見方、移動平均線は実はとても奥が深く、
MACDも移動平均線が使われたインジケーター。

書籍「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAIが作った
「商品先物取引入門」目からウロコのチャート分析編 」には、
この基本の見方だけでなく、さまざまな移動平均線を使った
トレード手法が満載です。

手塚さんには、この大循環分析から現在の商品市場で
注目の銘柄を取り上げていただきました。

最も綺麗なトレンドが確認できるのが東京パラジウム。

ロシアの在庫が尽きたとか、世界の自動車販売台数が伸びている、
と言った材料がパラジウム市場では注目されていますが、
移動平均線は綺麗に 短期、中期、長期の順に構成されています。
流動性が高くない市場ではありますが、今年の大注目ですね。

ファンダメンタル的に今年注目され続けている白金については
週足での形に注目。週足では灯油が綺麗な上昇トレンドを形成しています。

逆に、下落トレンドが発生しているなら
売りからは入ることができるのが商品市場の醍醐味。
大豆、トウモロコシは綺麗な下落トレンドの形、
上から 長期、中期、短期線の並びとなっています。

もっと詳しく移動平均線の極意を学びたい!という方のために
番組では手塚さんの著書めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAIが作った
「商品先物取引入門」目からウロコのチャート分析編 を
5名様にプレゼントいたします。

勿論、手塚さんのサイン入り!
どしどしお申込みくださいね。7月25日までお申込み受け付けています。

https://ssl.radionikkei.jp/event/trend-140718.html

また、9月23日(祝)コモディティ・フェスティバルに
手塚さんがご登壇されます。

http://cfes.jp/

手塚さん、負けない投資家になるための極意講演予定だそうです!

こちらにも是非足をお運びください。

アメリカの新(2014年)農業法と穀物相場 [大橋ひろこコラム]
2014.07/11 大橋ひろこ 記事URL

トウモロコシ価格は4ドルの大台割れ、大豆価格は13ドルの大台を割り込み、下値が見えない展開となっています。
中西部は空前の豊作ムード。USDA米農務省は6月30日、今年の穀物の実作付面積を発表しました。

トウモロコシ⇒9,164万エーカー(3月の意向面積9,169万エーカー)
大豆 ⇒8,483万エーカー(意向面積8,149万エーカー、+334万エーカー)

ということで、3月末に発表された作付意向面積比でトウモロコシはほぼ同じでしたが、
大豆作付が大きく増加。加えて6月末~7月上旬の産地天候は良好。
両穀物の作況も「優」と「良」合わせて75%と、豊作だった
昨年の67%を上回っているという状況です。

現在は天候相場真っ只中
。トウモロコシは7月中旬の開花受粉期、大豆は8月の開花・着サヤ期と、
作柄を決定する最重要期を控えますが、
今のところ高温乾燥天候の懸念はなく、高単収がほぼ確定的となっています。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は資源・食糧問題研究所 柴田明夫さんにお話を伺いました。

柴田さんによると、作物に影響を及ぼす高温乾燥を招くのは
ラニーニャ現象の方だとか。エルニーニョ発生懸念だけで
春先に買われすぎたのが、昨今の下落の大きな要因となってしまっています。

柴田さんは足元は下値模索の展開にあっても、
ここからの大崩れのリスクは大きくないとお話くださいました。

アメリカ、上・下院議会で策定が進められている
2014年新農業法が、ここ数年の高騰した市場価格を基準に
農家の収入保障を図る内容となっているのだそうです。

今回は、この農業法の変遷についてお話を伺いました。

アメリカの農業政策は、この20年間で
「低迷する穀物価格に対する農家の所得保障」といった性格から
「増加した農業所得を如何に保障するか」に重点がシフトしています。

そもそもアメリカの農業法は1933年ルーズベルト大統領が、
ニューディール政策の一環として農産物価格の上昇を目指して
行った農業調整法に由来しています。

農業法は基本的に5年間の時限立法。
価格・所得支持制度、輸出振興政策、環境政策が3本柱です。

【1990年農業法】(1990~95年):
供給過剰の時代にあって政府の減反計画への参加を条件に、
農家は「不足払い」を受けることができました。
「不足払い」とは農家の生産コストを考慮した
「目標価格」と「市場価格」(生産者の全国平均販売価格)の差
を補てんするものです。
市場価格が価格支持水準(ローンレート)を下回った場合には、
農家は農作物を担保に商品金融公社から融資を受ける
ことができました。結果として、ローンレートが
市場の下値(フロアープライス)となったのです。

【1996年農業法】(1996~02年):
それまでの減反計画への参加とセットになっていた
「不足払い」制度が廃止され、作付を自由化した上で、
生産とは切り離した形で農家への直接支払いを実施しました。
しかし、96年農業法がもたらしたものは、
過剰生産とそれに伴う穀物価格の低迷であり、
政府は農家所得の減少を補うため
補助金の追加支給を余儀なくされました。

【2002年農業法】(2002~08年):
自由な生産(作付)を維持しつつ、
「不足払い」制度を再導入。
固定支払の継続および対象作物の拡大、
価格支持水準の引き上げなど、
全体に農業保護水準が引き上げられました。

【2008年農業法】(2008~12年、14年まで延長):
穀物価格が高騰するなかで成立しました。
高価格を基準とする農家の収入保障が
「新しい不足払い」とのオプションとして成立。

【2014年農業法】(2014~19年):
現在2012年に成立した上院案と下院案の一本化に向け調整中。
調整が遅れたのは、フードスタンプの扱いを巡り、
民主党(削減額が大き過ぎる)と
共和党(削減額が少な過ぎる)との調整が難航しているため
ですが、フードスタンプまでをも考慮した包括的合意でなく、
まずは農業法合意を急ぐという流れとなってきているようです。

10年間での支出削減を図りつつ、生産コストの上昇に対応して
「作物保険を基礎とする収入保障」あるいは、
「収入保障」と「不足払い」の何れかを選択する法案が
検討されているようです。

この新農業法が、ある程度の価格の下支えとなってくると
見られる他、2012年の大干ばつ時に暴騰した穀物価格によって
米国農家は潤った資金をサイロ増設などの設備投資を向けており、
需給相場に入ってくると、生産者は安値では売らないだろうと
みられます。

詳しくはオンデマンド放送で柴田さんの解説をお聞きくださいね。

中国金購入衰えの裏に金不正担保取引の影響 [大橋ひろこコラム]
2014.07/04 大橋ひろこ 記事URL

6月米雇用統計は非常強い内容でした。
NFP非農業部門雇者数は28万8000人増、失業率は6.1%にまで低下。4月分は、28万2000人 ⇒30万4000人へ。5月分は21万7000人 ⇒22万4000人へ上方修正と過去分の上方修正も大きく、確りとしたアメリカの景気回復が示されました。これだけいい数字が出てくると、量的緩和政策の縮小を行っているアメリカの利上げの時期が早まるのではないか、という思惑が広がり、こうした金利引き上げ予想が金市場にはマイナス要因となるのですが、この日、金価格は10ドル程度の下落となったものの、チャートが大崩れすることはなく、確りとした地合いが継続しています。

 

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。

今回は金融貴金属アナリスト亀井幸一郎さんにお話を伺いました。

 

雇用統計を受けて利上げ見通しを前倒ししたゴールドマン・サックス。
 2015年Q3からQ2へと早まるとみています。

しかし、FRBの姿勢は慎重で低金利政策は長期に継続することを繰り返し発信していることから、
米国の金利は押さえられ続けています。今年から量的緩和の縮小に入った米国の通貨ドルは、
金利上昇から高くなるという見通しが大勢でしたが、現実には金利は上がらず、
ドルや安く抑えられています。これが米国株にとっても支援要因となる一方で、
昨年、米国が緩和縮小に動くことをいち早く織り込んだ金市場にとっても
下値サポート要因となっているようです。

 

FRBが量的緩和政策縮小に踏み切っても、利上げ時期を明言することに慎重なのは、
米国景気回復シナリオが確かなものであるかどうか見極めたいということなのでしょう。
1-3月期のアメリカの GDPは 下方修正幅拡大でなんとマイナス2.9%。
1-3月期は寒波の影響で景気が冷え込んだとして楽観、
4-6月期には6%台に乗せるという見通しもありますが、
Q1のGDPだけを見ると非常に悪いですね。


4-6月期の雇用統計は軒並みいい数字が出てきていますので、
GDPも回復するだろうと思われますが、数字が出てこないことには確信は持てません。
実際、寒波の影響が明けた春以降、伸びが予想されていた個人消費は
伸び悩んでおあり、賃金上昇も伸び悩んでいるのです。

 

亀井さんは、過剰流動性相場で金余りとなっている中で、
史上最高値圏にある株式市場ではここからの上値に懐疑的な向きも多く、
金市場には見直しの機運も高まっているようだと解説くださいました。

金利動向が最も重要視されてきますが、9月17-18日のFOMCは
イエレン議長の記者会見付き。量的緩和縮小策も終了する時期に重なります。
量的緩和政策の次には金利引き上げが焦点となるため、
マーケットはFRBの次の一手を見極めようと催促してくる時期。
それまでは、低金利に金価格も下値サポートされるも、大きく動くことはなさそうです。

 

そして、もう一つ気になるのが中国。

6月26日アジアからロンドンの取引時間帯に金が1306ドル台まで急落しました。
(それでも大きな上昇トレンドは継続しています)
背景には、中国で不正な取引の可能性がある金を担保にした融資が、
2012年以来944億元(約1兆5000億円)行われていたことが報道されたこと。

 

金を担保にした不正取引というと、
今年の4月にWGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)が発表したレポートで
金担保の金融取引に供されている現物の累計総量が1000トンになるとの
推計値が示されたことが記憶に新しいですが、
こうしたコモディティを担保に低利で資金調達し、理財商品などの
高利回り商品で運用に回し利ザヤを稼ぐ取引が問題になった1月、
銅価格の急落があったため、
金市場でも急落に見舞われるリスクがあるのではないか、
とヒヤリとさせられるニュースなのです、、、。


単純にこうしたコモディティを担保に資金調達すること自体は違法でないのですが、
問題となっているのは担保に供する際に、銀行発行の信用状(C/L)や
船荷証券などを巧みに使い、中には二重担保という詐欺的取引があるというものです。
こうした行為により2倍、3倍の資金を調達して、
より多くの利ザヤを稼ごうという行為にメスが入っているとみられます。

 

亀井さんは、他のコモディティと違って、金は市場で売りにさらされることはないのではないか、
と解説くださいました。ひとつに中国は加工品でなければ金を輸出できないこと。
また、市場で売らなくても買い手があるだろうと思われること。

ただし、この影響で、今年の中国の金の購入は低下する可能性があるだろう、ということで、
このように解釈すれば、このところ金が水準をさげても中国の買いが見られない
という実需筋の話と整合性を持つことになると亀井さん。

 

今後の金価格の行方は?

詳しくはオンデマンド放送で亀井さんの解説をお聞きくださいね。

高止まりの原油価格、リスクプレミアムは5~6ドル [大橋ひろこコラム]
2014.06/27 大橋ひろこ 記事URL
5月中旬、WTI原油価格はウクライナ騒乱に反応、下旬はリビア原油の輸出再開が遅れるとの観測により上昇するも、月間平均では101.79ドルで4月より24セントの値下がり。北海ブレント価格の5月平均価格はウクライナ問題に米国より敏感に反応したために109.24ドルと4月との比較で1.15ドルの上昇となりました。


6月に入ると12日を皮切りにイラク情勢が原油価格の押し上げ要因となり、
WTI価格は107.26ドル、ブレント価格で114.81ドルと
9か月ぶりの高値を付ける上昇となっています。

需要期も重なる時期の地政学リスク、エネルギー価格高騰は今後も続くのでしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回はオイルエコノミストの藤沢治さんに
原油価格の動向と今後の見通しを伺いました。

需給要因に大きな変化がない中での原油価格の高騰は、
地政学プレミアム分と考えられ、藤沢さんによると、
現在のリスクプレミアムはバレル当たり5~6ドルと想定されています。


問題を複雑化させているのが北方のクルド政府とイラク中央政府との確執で、
クルド地域政府KRGは3月から中央政府の承認を受けずに、
制圧したキルクークの原油を自前のパイプラインでトルコに輸送し、輸出しています。

イラクでは過激武装勢力ISIS、クルド軍KRG、そしてイラク政府軍の
三つ巴の軍が紛争に加担しているという複雑な状況にあるのですが、、、。

ここからは武装勢力ISISが南部のバスラ地域に侵攻できるかどうか、
というところが焦点となっているようですが、
藤沢さんは恐らくできないだろうとご覧になっています。

南部はシーア派勢力で占められ、ISISの支持勢力であるスンニ派は
ほとんどいないのだそうです。
イラク政府軍は米国の力を借りて反攻に出るとみられることや、
カルバラ、ナジェフといったシーア派の聖地が
武装勢力に侵攻されうようであれば、イランが介入し、
イラクのシーア政権を助けるだろうと言われています。

アメリカとイランが協力する?!

という何とも不思議な構図となることもあり得る状況にあるようです。


ISISが南部に侵攻するという事態にならない限り、
原油価格がここから大きく上昇することもないと思われると
藤沢さんは指摘されますが、
それでも、この内紛は長期化の様相を呈し始めており、
完全にリスクが払しょくされたわけではないようです。

ここからの原油価格の予想については是非オンデマンド放送で、
藤沢さんの解説をお聞きくださいね。

需給要因に回帰、コモディティ市況 [大橋ひろこコラム]
2014.06/13 大橋ひろこ 記事URL
南アフリカの鉱山ストライキを巡る報道でプラチナが急騰、急落と忙しい値動きを見せています。また、イラクの反政府イスラム武装勢力が同国北部の2都市を制圧したことを受け、ここ数カ月でほとんど動きのなかった原油価格が大きく上昇しています。コモディティ市場は、米国の金融政策などの金融要因によって大きく動いた相場から個別の需給要因で変動する相場へとすっかり変わっています。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至さんにコモディティ市況を動かす要因と今後の展望を伺いました。

例えば金属は品目によって、まちまちの動きになっています。

<銅>
中国では、2日にチンタオの保税倉庫の銅地金2万トンが
中国当局に差し押さえられたと報道が。事態の詳細は不明ですが、
市場参加者の疑心暗鬼を強め、銅市況は下落しています。

<PGM:プラチナ、パラジウム>
南アフリカでは、継続する鉱山ストライキに対して政府が
調停に乗り出したものの9日に失敗に終わりPGMの大幅な上昇に
つながりましたが12日には一転して、ストライキを行っている労組側が
企業側の新たな提案を持ち帰って検討する方針が伝わり急落しています。

<アルミ、亜鉛>
一方で、マクロ経済的な世界景気の回復を反映してアルミニウムや
亜鉛などがやや上値を試す動きになっていましたが、
イラク情勢の悪化などから先行き懸念が強まり、再び売られています。

<金>
世界景気の回復が下落の要因になっていましたが、
ECBの利下げを受けて反発。
足元ではイラク情勢の悪化もリスク回避的な金買いにつながっています。
世界景気の回復に伴って投資家のリスク志向が強まる際には、
リスク回避的な資産である金への需要は減るという見方が
続いていますが、一方で金融緩和や地政学的な紛争は
買い材料になっているようです。

<原油>

WTI原油が107ドル、ブレント原油が113ドルまで上昇中。
シリア情勢の緊迫化などで上昇していた昨年9月以来の水準まで
上昇してきています。

従来からある供給障害が継続している中で、世界景気の回復観測が
強まり、新たな供給障害への懸念も加わった、
ということが起こっています。

①継続する供給障害

原油市場では、2014年初め頃は、
(1)リビアの生産回復
(2)イランの核開発問題を巡る協議の進展
(3)米国のシェールオイルの増産などによって、
原油供給が増加するとの観測が生じていたのですが、

実際には、米国のシェールオイルの増産が続いたことを除けば、
他の原油供給を増加させる要因は期待はずれに終わりました。

イラン核開発問題では、イランと米英仏露中独の6カ国との交渉が難航し、
事態の打開策がみえていないようです。

また、リビアでは4月頃、反政府勢力と政府の対立が緩和するとの
観測が強まった時期もあったのですが、その後両者の対立は続き、
原油の生産・出荷の回復は遅れています。

②地政学リスク

イラク情勢が悪化しています。
アルカイダ系で「イラクとレバントのイスラム国」という
イスラム教スンニ派の過激派組織が攻勢を強めており、
米国が支援に乗り出さざるを得ないような動きになってきました。
この過激派組織は、イラク北部にある第二の都市モスルを制圧し、
一時製油所のあるバイジにも攻勢をかけていると伝えられています。

こうしたニュースが米国株式市場でも意識され、米株が売られ、
原油が買われる動きに繋がりました。

この問題の今後について芥田さんは
需給ひっ迫への警戒感が徐々に出始めていたタイミングだったため、
イラク情勢の悪化に対する原油相場の反応が、やや大きなものになったが、
目先は、北半球におけるガソリンの需要期に差し掛かっているため
高止まりしやすいと分析。当面、上値を試す展開が追いやすいとしながら、
価格を安定させる要因として、ウクライナ問題が落ち着きを
見せていることなど解説くださいました。

7日には、ウクライナでポロシェンコ大統領が就任し、
それに前後して、ロシアとの緊張緩和が模索される動きが出ています。

ウクライナ情勢を巡る緊張緩和がブレント原油を中心に
原油相場の押し下げ要因として意識されている側面も。
変わって飛び出したイラク情勢悪化がプレミアムとなっていますが、
この夏は地政学要因が原油価格動向の見る上でのポイントとなりそうです。

詳しくはオンデマンド放送で、芥田さんの解説をお聞きくださいね。

将来パラジウムとプラチナは同価格に?! [大橋ひろこコラム]
2014.06/06 大橋ひろこ 記事URL
ゴールドは5月末に1250ドルを割り込む急落に見舞われ、南アフリカのストライキが長期化しているプラチナもゴールドに連れ安となるのか、需給ひっ迫懸念にも大きく上昇できずに揉み合いが続きます。こうした中、気を吐いているのがパラジウム。昨年までは750-800ドルではロシアの売りが出て頭を抑えられていましたが、現在は800ドルに底値感を感じる上昇、830ドル台まで高騰してきています。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はスタンダードバンク東京支店長 池水雄一さんに高騰するパラジウム、その背景と今後について伺いました。

4月のロシアのスイスへのパラジウムの輸出は2013年5月以来の
大きな増加となりました。
これは4月のパラジウム平均価格が797ドルと2011年以来
もっとも高い月間平均価格になったことが背景と見られます。
外貨を稼ぎたいロシアがパラジウムを大量に放出したものと思われますが、
時期的には、ウクライナ問題で経済制裁が話題となった頃でしょうか。

しかし、何故スイスへの輸出が重要なのか?!
まずはその背景から。


ゴールドやシルバーの受け渡しはロコロンドンですが、PGMはスイスを基点に取引される
現物取引ロコ・ズーリック(Zurich.日本ではチューリッヒと発音しますね)価格が
長く指標とされてきました。

旧ソ連が冷戦時代に、ゴールド取引の指標となるロンドン、西側に
パラジウムを輸出するのを避け、スイスの3大バンクが窓口となったという
経緯があったのですが、最近ではロシアからスイスへの輸出量が減少してしまったために、
指標性はすっかり低下しているようです。
それでも、この4月のスイスへの輸出量は目を見張るものでした。

しかし、1990年後半~2000年代前半と比べるとそのボリュームは大きく減少しています。
当時は30トンを超えるパラジウムが輸出されたこともあったのです。
この4月の数量はわずか4.7トンでした。
大きな流れではロシアのスイスへのパラジウム輸出は減少しているのです。


これは長年の外貨獲得のための売却で、パラジウムのロシアの国家備蓄が
ほぼ底をついてしまっているだろうことが背景とみられます。
備蓄が減少する過程でロシアの生産者であるノリリスク・ニッケルが
パラジウムを生産したそばから、すぐに直接需要家へと送られている、
ということのようです。スイスを経由することなく。

ロシアの国家備蓄がいよいよ底をつくだろう~。

この事実は市場関係者の間では2年ほど前から話題となっていたことで、
目新しいニュースではありません。
しかしながら、このところのパラジウム価格高騰の大きな要因の一つです。
パラジウムの世界最大の産出国はロシアであり、同国のノリリスクという世界一の
ニッケル生産会社がパラジウム・プラチナのほとんどを生産しています。
彼らの動向が今後のパラジムの価格動向を握っていると言っても過言ではない、と池水さん。
ノリリスクの生産したパラジウムがスイスを経由することなく、
直接実需家に渡るようになったことで、ロコ・ズーリックの指標性は低下してしまいました。

さて、ではその他にどのような材料があって、パラジウムは高騰しているのでしょうか?

現物の裏付けが必要なETFの存在も注目です。
今年4月にヨハネスブルグ証券取引所に本格的に上場された
南アパラジウムETFの残高は目を見張る増加となっており、
4月からのたったの2ヶ月足らずで、このETFは22トン近くの残高を増やしました。

22トンといえば年間鉱山生産量の約10分の1に当たる数量です。
このETFも現物の裏付けが必要であるため(南アフリカ産パラジウム限定)
この南ア パラジウムETFの登場が市場の需給をタイト化させ、
国際価格を上昇させてしまっている可能性も大きいと思われます。

また、パラジウムはガソリン車の自動車触媒として使用されます。
ディーゼル車対象のプラチナの触媒需要の46%に対して、
パラジウムのそれは67%にも上ります。
ディスインフレが懸念される欧州はディーゼル車が主流ですが
、欧州以外の自動車はほぼガソリン車が主流であり、
よって需要がパラジウムに集中しています。

日米中そしてインド、ブラジル、ロシアなど、
現在景気回復とともに車が売れているところのほとんどが
パラジウム需要マーケットなのです。

現在プラチナとパラジウムの比価は1:1.7。
一時プラチナがパラジウムの5.5倍まで広がったことがありましたが、
今は1.7倍というところまでパラジウムの価値が上がってきたと池水さん。
鉱山生産量は年間ほぼ200トンでプラチナもパラジウムもほぼ同量であることを考えると、
今後の需要の伸びが大きいと思われるパラジウムの方が、上昇余地が大きいと考えられます。

池水さんは将来的にはパラジウムはプラチナとほぼ同価値になっても
おかしくないと解説くださいました。
現在プラチナ価格は1450ドル近辺、パラジウムは830ドル近辺ですが、
そう遠くない先にそれは実現してしまうかもしれません。
詳しくはオンデマンド放送で池水さんの解説をお聞きくださいね。

日本の石油精製業、存続の危機に?! [大橋ひろこコラム]
2014.05/30 大橋ひろこ 記事URL
ガソリン価格が高騰しています。

ガソリン小売価格は1ℓ165.8円とリーマンショックの頃の価格に迫ってきました。リーマンショック直前の8月では185円前後まで高値がありましたが、この頃のドル円レートは110円前後。現在のドル円レートが101円近辺にまで接近しており、昨今の市場の変化としての円安もガソリン価格高騰の大きな要因となっています。

また、消費税増税も一因です。3月末は159円程度だったものが4月に切り替わって164円へと一気に、5円もの上昇。159円の3%が4.8円ですから、ほぼ消費税の増税分がそのまま上昇したことになります。


→何故高い?高騰するガソリン価格(2014.5.21放送)
http://blog.radionikkei.jp/trend/post_208.html

こうした市場環境の変化もガソリン価格高騰の要因ではありますが、
市場構造の大きな変化もまた、価格高騰を招いてしまっています。

皆さんは「エネルギー供給構造高度化法」という法律をご存知でしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は株式会社セキツウ常務取締役の山内弘史さんに
「日本の石油精製業、存続の危機に」というテーマでお話を伺いました。

前回山内さんにご出演いただいた際は、欧州の石化、石油精製業が
存続の危機にある、というお話をいただいていましたが、日本も...?!

→欧州の石油化学・精製業界の衰退の背景(2014.3.28放送)
http://blog.radionikkei.jp/trend/post_181.html

原油価格は軽質原油ほど高価です。
北海ブレントやアルジェリア、ナイジェリア、中東のアラビアンライトなど
「ライト」と名前がつくものが、形質原油。
軽い原油はガソリン・ディーゼルなどが、多く採れます。

重質原油はベネズエラのオリノコタール、カナダのオイルサンドなどが代表的です。
重い原油は残渣油(重油・アスファルトなど)が多く採れるのですが、
軽質石油製品であるガソリンや軽油にするためには再処理しなくてはなりません。
重質原油は軽質原油より安価ですが、ガソリンなどに再処理するコストがかさみます。

精製業者は 高価でも軽質原油を精製して軽質石油製品を生産するか、
安い重質原油を処理して,さらにそこからとれる重油などの残渣油を再処理して
軽質石油製品を生産するかの選択をしているわけですが、
昨今、世界の石油製品需要は軽質化してきているため、高価でも処理が簡単な軽質原油は
どんどん少なくなってきており、将来的には重い原油あるいは超重質原油しか
なくなっていくだろうと試算されているのです。

そこで、日本もこうした流れに対応していこうと、2010年、
「エネルギー供給構造高度化法」が施行されました。
これは常圧蒸留装置(トッパー)に対して
重質油分解装置比率を13%以上にすることを定めたもの。

日本はの製油所は、軽質原油を処理しているところがほとんどです。
重質油分解能力は2010年4月時点で517千b/d、
当時の日本の精製能力は4,873千b/d
ですから、全体の10.6%程度でした。

これを、2014年4月までに13%に引き上げよ、という法律です。
これで、日本も重質原油処理の能力が高まり、時代の流れに対応できるかと思われますが、
現実は違いました。

実際に製油所は法遵守し13%への引き上げを達成しましたが、、、。
2014年4月
全体の精製能力 3,947千b/d
重質油分解能力 532千b/d
→ 重質油分解装置比率 13.5%

全体の精製能力を見てください。
2010年時点の4,873千b/dから2014年は3,947千b/dに大きく減少しています。

製油所は13%を達成するために、重油分解能力を強化する設備投資を行うのではなく、
全体の精油量を引き下げることで比率を上げるという対応をしたのです。


これは、ガソリンの日本国内の需要が減少していく中で、新たな設備投資のニーズがない
ということも大きな背景だったかと思われますが、13%の比率を達成しても、
全体のガソリン精製、供給も落ちてしまうことになるのですから本末転倒、
ガソリン価格は需給がタイトになってしまったことで、
更に高くなってしまったともいえるのです。

行楽シーズンに入る日本の5~6月の石油製品需給はタイト化します。
この時期は製油所の定期修理も行われること、さらに今回は4月からの消費増税が
重なってガソリン小売価格は165.8円/ℓに高騰してしまいました。

山内さんは、こうしたガソリン価格高騰がますますガソリン離れを加速させるのではないか。
と懸念されています。ガソリンが売れないためSSは「安売り競争」に走り、
収益が得られず倒産する流れにあります。
SSは1996年には61,000店ほどあったのですが、今や35,000店にまで減少しています。
300km走らないとSSがないというエリアも出てきました。

ガソリン価格高騰でドライバーは低燃費車・軽自動車・ハイブリッド車に乗り換える時代。
これがさらにガソリン需要が落ち込む要因となっています。

米国はメキシコ・ベネズエラ・カナダの重質原油を処理する体制をすでにとっており
まったく先行きの懸念はありません。

アジア諸国・産油諸国もすでに割安な重質原油を処理し分解設備で軽質化に対応しており、
中国・台湾・韓国・インド・中東諸国では、「残渣油を一切出さない精製設備」が増加、
時代に合わせた設備が整っているのだそうです。

重質油分解装置の対常圧蒸留装置比率が20~30%以上にもなるという
精製設備の近代化に成功しているのは、後発国であるため、
時代に合わせた設備投資が可能だったということもあるのでしょう。

日本では1975年に作られた出光の製油所が最も新しいのだそうです。
40年近く、新しい製油所ができていないのです。
ガソリン需要が減退するなかで、新たな設備投資にはなかなか踏み切れないのが実情。

これまでは高価でも軽質原油を買ってくれば何とかなってきたのですが、
軽質原油が手に入らなくなったら、、、
形骸化してしまった「エネルギー供給構造高度化法」
日本は今後、どのように対処していけばいいのでしょうか。

詳しくはオンデマンド放送で山内さんの解説をお聞きくださいね。

金市場、こう着相場の行方 [大橋ひろこコラム]
2014.05/23 大橋ひろこ 記事URL

3月中旬の年初来高値更新から2ヵ月余り、ドル建て金価格は膠着状態にあります。

NYコメックスの日足チャートは三角保ち合いの様相を呈しています。 アメリカは量的緩和策の縮小に踏み切っており、今年は金利上昇が予想されていましたが、米国債長期金利の上昇は見られず、これが金相場を支えているものと思われますが、一方で目立った上昇の手掛かりもありません。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は金融貴金属アナリスト亀井幸一郎さんにお話を伺いました。

3か月にも及ぶ持合いのブレイクは一体いつになるのでしょうか?

亀井さんはここから金相場を動かす変動要因として3つのポイントについて
解説くださいました。


①  5月25日(日曜日) ウクライナの大統領選挙

金価格は3月17日に1392.6ドルの高値を付けています。
これはウクライナ情勢の緊迫化が一因でした。

亀井さんは選挙後、新政権が一定の妥協策を取り
地方の自治権の拡大を認める方向になれば、
金価格はいったん下落に転じるも、
その後のロシア側の反応が焦点となってくるとし、
仮に下落に転じることがあっても、すぐに持ち直す可能性が高いと分析。

ウクライナ情勢は単なるプーチンのクリミア取りではなく,
冷戦後の国際秩序の再構築の象徴であり、息が長い問題だと解説
下さいました。

② 米国の金融政策 6月17-18日のFOMC

昨年はテーパリング(毎回100億ドルづつの量的緩和策の縮小)が
金市場にとってのネガティブインパクトとなり、金価格を大きく崩しましたが、
現在、粛々と進められる縮小は金市場もすでに織り込み済みです。

マーケットの関心はゼロ金利解除の時期が早まるか否か。

6月のFOMCは経済見通しが同時に発表され、イエレン議長の記者会見も
行われるということで市場の注目度は高いと思われますが、亀井さんは
6月はまだ金利について言及されることはないだろうとお話くださいました。

というのも、今週発表された中古住宅販売件数、
予想が46.8万件のところ46.5万件で予想に届かず、
昨年の7月は53.8万件あったことを考えるとその落ち込みは大きく、
前年同月比でみると6.8%もの減少となりました。

住宅市況は思わしくないのです。金利が上がればさらに悪化することでしょう。

亀井さんはTaperingは混乱なくできても利上げは易しくないとし、
金利が焦点となってくるのは少なくとも、もっと後、テーパリング終了時期が
近づく9月のFOMC(景気見通し、会見付)になると予想されています。


③  中国・インドなど実需筋の動向

中国の2014年1-3月期の需要は
前年同月比で宝飾品は増加するも投資は大幅減少となりました。

2013年Q1の中国需要は全体で319トンだったのですが、2014年Q1は 263トン。
マイナス18%もの落ち込みです。

宝飾需要  185トン ⇒ 203トン 10%増

投資需要  134トン ⇒ 60トン  55%減

インドの2014年1-3月期の需要も
前年同月比で宝飾品・投資ともに減少です。

2013年Q1のインド需要は全体で257トン、 2014年Q1は 190トン。
マイナス26%もの落ち込みです。

宝飾需要  159トン ⇒ 145トン 9%減

投資需要   98トン ⇒ 44トン  54%減

しかしながら、中国の場合、昨年の購入が凄まじいボリュームであったため、
前年比でみれば、大きな落ち込みとなっているのですが、
平年ペースで見ればそれほど大きな落ち込みではありません。

またインドは今月の選挙で10年ぶりに政権交代決定しました。

昨年は、拡大する貿易赤字縮小のために、金の輸入規制をしていましたが、
ナレンドラ・モディ新政権の下での金輸入の規制緩和が期待されています。

こうした金の変動要因となりうるポイントを踏まえたうえで、亀井さんは
レンジを「放れる」という大きな動きにはつながりそうにないと
ご覧になっており、この揉み合い、しばらく続きそう。

もし、三角持合いをブレイクすることがあってもレンジの移行と

なるイメージで、トレンドを形成するような相場ではないそうです。

詳しくはオンデマンド放送で亀井さんの解説をお聞きくださいね。


エルニーニョまで織り込み上昇したトウモロコシ [投資α情報(大橋ひろこ)]
2014.05/16 大橋ひろこ 記事URL
2012年の干ばつでシカゴドル建て価格が8ドル台にまで高騰したトウモロコシ。

一転昨年2013年には豊作となり急落、ほぼ半値の4ドル台にまで下がりました。価格の急落があったのが7
月。受粉期の時期でした。以降昨年中はずっと低迷を続けたトウモロコシ価格ですが、今年2014年に入っ
てから反騰、じりじりと値を上げ、5か月もの上昇相場を演じています。

足元では値が崩れていますが、一体何故トウモロコシ価格は上昇したのでしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回はコンチネンタルライス代表取締役 茅野信行さんにお話しを伺いました。

今年はエルニーニョが観測されているということで、
天候リスクを織り込んでの上昇と言う解説も聞かれます。
天候相場ということでしょうか。

しかし、茅野さんは
「天候相場は米国独立記念日から7月中の受粉期のことを指す」
として、まだ作付、発芽段階の今の相場を天候相場とは呼ばないと指摘。
トウモロコシにとって最も大切なのは7月の天候。
受粉期の日照時間と降雨なのだそう。

その天候相場を前に、何故トウモロコシ価格は半年近くの上昇となったのでしょう。

①昨年の価格急落で輸出競争力が高まった米国産トウモロコシ、
南米産などと比較しても安価となったため、輸出が伸びた。

※中国をはじめとした新興国の買いが旺盛だったとのこと。
価格が安くなったことで猛烈に米国産トウモロコシの輸出が伸
びたことで、USDA発表の需給報告では昨年10月時点で
13%近くあった期末在庫が、5月9日発表分ではなんと
8・8%にまで減少しています。


②この冬の米国の寒波で米国輸出港への積み出しが
滞ったことで一時的に需給逼迫。

※大雪の影響でロジスティックに問題発生。
物はあるのに輸出に影響が及んだことで価格上昇。


③ウクライナ問題を材料に投機筋流入

※ソチオリンピックが終わるとともに噴出したウクライナ問題。
需給とは全く関係のない短期筋が、ウクライナ小麦、
トウモロコシ輸出に影響が及ぶ可能性を先取りして買い参入。


④エルニーニョ観測で天候リスクを先取り

※エルニーニョの年は米国の穀倉地帯が熱波に襲われるリスクが
高まるとされているため、これを材料に買いが膨らむ。

しか
し、茅野さんは明らかに現在のトウモロコシ価格は
買われすぎ、にあると指摘。これらの材料は
過大評価されすぎであるといいます。

中国などの新興国は価格が安ければ買ってきますが、
上がってくるとピタリと買わなくなることで知られています。
金市場でも1350ドルを下回ってくると旺盛な買いが入るのですが
1400ドルが近づくとピタリと買が止まるのだそう。

すでに5ドル台にまで買われてきたトウモロコシを
景気減速が懸念されている中国がさらに
高値を追いかけて買い続けるかどうかわかりません。

また、雪解けでロジスティックの問題は解消。

そして、織り込み始めたエルニーニョについては
「エルニーニョ出現より消滅の仕方が重要」と茅野さん。

消滅の仕方?!一体どういうことでしょう。

エルニーニョとは太平洋赤道域の中央部から南米のペルー沿岸に
かけての広い海域で、 海面水温が平年に比べて高くなり、
その状態が半年から1年半程度続く現象。

実はエルニーニョにより、ペルー沖の海水温度が上昇したことによる
影響が米国穀倉地帯に及ぶのは3~4か月後なのだそう。

20世紀最大級のエルニーニョが観測された1997~98年、
6月頃までその現象が続いたそうですが、じわじわ消えたために
穀倉地帯への影響は全くなかったのです。

83年、88年型のエルニーニョは2~3月に忽然と消えてしまったのですが、
そのちょうど3~4か月後にあたる受粉期に熱波が穀倉地帯を襲いました。

茅野さんが在籍されていたコンチネンタルグレインの調査部は
エルニーニョが米国穀倉地帯に及ぼす影響について
ペルー沖で観測されてから3~4か月になると、突き止め、
また、その消滅の仕方、海水温度の程度(エルニーニョの規模)などに
よっては影響がでないこともあるということを掴んだと
お話しくださいました。

今年のエルニーニョがどのような形で発生し、消滅するのかは
誰にも解りません。

気象庁は12日、エルニーニョが夏に発生し、
秋にかけ続く可能性が高いと発表していますが、
その時期の発生であれば影響はないかもしれません。


それが、足元の価格にも表れてきたのでしょうか、直近では
大きく下落となってきました。
作付前の高値は一過性であった?!


詳しくはオンデマンド放送で茅野さんの解説をお聞きくださいね。

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