将来パラジウムとプラチナは同価格に?! [大橋ひろこコラム]
2014.06/06 大橋ひろこ 記事URL
ゴールドは5月末に1250ドルを割り込む急落に見舞われ、南アフリカのストライキが長期化しているプラチナもゴールドに連れ安となるのか、需給ひっ迫懸念にも大きく上昇できずに揉み合いが続きます。こうした中、気を吐いているのがパラジウム。昨年までは750-800ドルではロシアの売りが出て頭を抑えられていましたが、現在は800ドルに底値感を感じる上昇、830ドル台まで高騰してきています。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はスタンダードバンク東京支店長 池水雄一さんに高騰するパラジウム、その背景と今後について伺いました。

4月のロシアのスイスへのパラジウムの輸出は2013年5月以来の
大きな増加となりました。
これは4月のパラジウム平均価格が797ドルと2011年以来
もっとも高い月間平均価格になったことが背景と見られます。
外貨を稼ぎたいロシアがパラジウムを大量に放出したものと思われますが、
時期的には、ウクライナ問題で経済制裁が話題となった頃でしょうか。

しかし、何故スイスへの輸出が重要なのか?!
まずはその背景から。


ゴールドやシルバーの受け渡しはロコロンドンですが、PGMはスイスを基点に取引される
現物取引ロコ・ズーリック(Zurich.日本ではチューリッヒと発音しますね)価格が
長く指標とされてきました。

旧ソ連が冷戦時代に、ゴールド取引の指標となるロンドン、西側に
パラジウムを輸出するのを避け、スイスの3大バンクが窓口となったという
経緯があったのですが、最近ではロシアからスイスへの輸出量が減少してしまったために、
指標性はすっかり低下しているようです。
それでも、この4月のスイスへの輸出量は目を見張るものでした。

しかし、1990年後半~2000年代前半と比べるとそのボリュームは大きく減少しています。
当時は30トンを超えるパラジウムが輸出されたこともあったのです。
この4月の数量はわずか4.7トンでした。
大きな流れではロシアのスイスへのパラジウム輸出は減少しているのです。


これは長年の外貨獲得のための売却で、パラジウムのロシアの国家備蓄が
ほぼ底をついてしまっているだろうことが背景とみられます。
備蓄が減少する過程でロシアの生産者であるノリリスク・ニッケルが
パラジウムを生産したそばから、すぐに直接需要家へと送られている、
ということのようです。スイスを経由することなく。

ロシアの国家備蓄がいよいよ底をつくだろう~。

この事実は市場関係者の間では2年ほど前から話題となっていたことで、
目新しいニュースではありません。
しかしながら、このところのパラジウム価格高騰の大きな要因の一つです。
パラジウムの世界最大の産出国はロシアであり、同国のノリリスクという世界一の
ニッケル生産会社がパラジウム・プラチナのほとんどを生産しています。
彼らの動向が今後のパラジムの価格動向を握っていると言っても過言ではない、と池水さん。
ノリリスクの生産したパラジウムがスイスを経由することなく、
直接実需家に渡るようになったことで、ロコ・ズーリックの指標性は低下してしまいました。

さて、ではその他にどのような材料があって、パラジウムは高騰しているのでしょうか?

現物の裏付けが必要なETFの存在も注目です。
今年4月にヨハネスブルグ証券取引所に本格的に上場された
南アパラジウムETFの残高は目を見張る増加となっており、
4月からのたったの2ヶ月足らずで、このETFは22トン近くの残高を増やしました。

22トンといえば年間鉱山生産量の約10分の1に当たる数量です。
このETFも現物の裏付けが必要であるため(南アフリカ産パラジウム限定)
この南ア パラジウムETFの登場が市場の需給をタイト化させ、
国際価格を上昇させてしまっている可能性も大きいと思われます。

また、パラジウムはガソリン車の自動車触媒として使用されます。
ディーゼル車対象のプラチナの触媒需要の46%に対して、
パラジウムのそれは67%にも上ります。
ディスインフレが懸念される欧州はディーゼル車が主流ですが
、欧州以外の自動車はほぼガソリン車が主流であり、
よって需要がパラジウムに集中しています。

日米中そしてインド、ブラジル、ロシアなど、
現在景気回復とともに車が売れているところのほとんどが
パラジウム需要マーケットなのです。

現在プラチナとパラジウムの比価は1:1.7。
一時プラチナがパラジウムの5.5倍まで広がったことがありましたが、
今は1.7倍というところまでパラジウムの価値が上がってきたと池水さん。
鉱山生産量は年間ほぼ200トンでプラチナもパラジウムもほぼ同量であることを考えると、
今後の需要の伸びが大きいと思われるパラジウムの方が、上昇余地が大きいと考えられます。

池水さんは将来的にはパラジウムはプラチナとほぼ同価値になっても
おかしくないと解説くださいました。
現在プラチナ価格は1450ドル近辺、パラジウムは830ドル近辺ですが、
そう遠くない先にそれは実現してしまうかもしれません。
詳しくはオンデマンド放送で池水さんの解説をお聞きくださいね。

日本の石油精製業、存続の危機に?! [大橋ひろこコラム]
2014.05/30 大橋ひろこ 記事URL
ガソリン価格が高騰しています。

ガソリン小売価格は1ℓ165.8円とリーマンショックの頃の価格に迫ってきました。リーマンショック直前の8月では185円前後まで高値がありましたが、この頃のドル円レートは110円前後。現在のドル円レートが101円近辺にまで接近しており、昨今の市場の変化としての円安もガソリン価格高騰の大きな要因となっています。

また、消費税増税も一因です。3月末は159円程度だったものが4月に切り替わって164円へと一気に、5円もの上昇。159円の3%が4.8円ですから、ほぼ消費税の増税分がそのまま上昇したことになります。


→何故高い?高騰するガソリン価格(2014.5.21放送)
http://blog.radionikkei.jp/trend/post_208.html

こうした市場環境の変化もガソリン価格高騰の要因ではありますが、
市場構造の大きな変化もまた、価格高騰を招いてしまっています。

皆さんは「エネルギー供給構造高度化法」という法律をご存知でしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は株式会社セキツウ常務取締役の山内弘史さんに
「日本の石油精製業、存続の危機に」というテーマでお話を伺いました。

前回山内さんにご出演いただいた際は、欧州の石化、石油精製業が
存続の危機にある、というお話をいただいていましたが、日本も...?!

→欧州の石油化学・精製業界の衰退の背景(2014.3.28放送)
http://blog.radionikkei.jp/trend/post_181.html

原油価格は軽質原油ほど高価です。
北海ブレントやアルジェリア、ナイジェリア、中東のアラビアンライトなど
「ライト」と名前がつくものが、形質原油。
軽い原油はガソリン・ディーゼルなどが、多く採れます。

重質原油はベネズエラのオリノコタール、カナダのオイルサンドなどが代表的です。
重い原油は残渣油(重油・アスファルトなど)が多く採れるのですが、
軽質石油製品であるガソリンや軽油にするためには再処理しなくてはなりません。
重質原油は軽質原油より安価ですが、ガソリンなどに再処理するコストがかさみます。

精製業者は 高価でも軽質原油を精製して軽質石油製品を生産するか、
安い重質原油を処理して,さらにそこからとれる重油などの残渣油を再処理して
軽質石油製品を生産するかの選択をしているわけですが、
昨今、世界の石油製品需要は軽質化してきているため、高価でも処理が簡単な軽質原油は
どんどん少なくなってきており、将来的には重い原油あるいは超重質原油しか
なくなっていくだろうと試算されているのです。

そこで、日本もこうした流れに対応していこうと、2010年、
「エネルギー供給構造高度化法」が施行されました。
これは常圧蒸留装置(トッパー)に対して
重質油分解装置比率を13%以上にすることを定めたもの。

日本はの製油所は、軽質原油を処理しているところがほとんどです。
重質油分解能力は2010年4月時点で517千b/d、
当時の日本の精製能力は4,873千b/d
ですから、全体の10.6%程度でした。

これを、2014年4月までに13%に引き上げよ、という法律です。
これで、日本も重質原油処理の能力が高まり、時代の流れに対応できるかと思われますが、
現実は違いました。

実際に製油所は法遵守し13%への引き上げを達成しましたが、、、。
2014年4月
全体の精製能力 3,947千b/d
重質油分解能力 532千b/d
→ 重質油分解装置比率 13.5%

全体の精製能力を見てください。
2010年時点の4,873千b/dから2014年は3,947千b/dに大きく減少しています。

製油所は13%を達成するために、重油分解能力を強化する設備投資を行うのではなく、
全体の精油量を引き下げることで比率を上げるという対応をしたのです。


これは、ガソリンの日本国内の需要が減少していく中で、新たな設備投資のニーズがない
ということも大きな背景だったかと思われますが、13%の比率を達成しても、
全体のガソリン精製、供給も落ちてしまうことになるのですから本末転倒、
ガソリン価格は需給がタイトになってしまったことで、
更に高くなってしまったともいえるのです。

行楽シーズンに入る日本の5~6月の石油製品需給はタイト化します。
この時期は製油所の定期修理も行われること、さらに今回は4月からの消費増税が
重なってガソリン小売価格は165.8円/ℓに高騰してしまいました。

山内さんは、こうしたガソリン価格高騰がますますガソリン離れを加速させるのではないか。
と懸念されています。ガソリンが売れないためSSは「安売り競争」に走り、
収益が得られず倒産する流れにあります。
SSは1996年には61,000店ほどあったのですが、今や35,000店にまで減少しています。
300km走らないとSSがないというエリアも出てきました。

ガソリン価格高騰でドライバーは低燃費車・軽自動車・ハイブリッド車に乗り換える時代。
これがさらにガソリン需要が落ち込む要因となっています。

米国はメキシコ・ベネズエラ・カナダの重質原油を処理する体制をすでにとっており
まったく先行きの懸念はありません。

アジア諸国・産油諸国もすでに割安な重質原油を処理し分解設備で軽質化に対応しており、
中国・台湾・韓国・インド・中東諸国では、「残渣油を一切出さない精製設備」が増加、
時代に合わせた設備が整っているのだそうです。

重質油分解装置の対常圧蒸留装置比率が20~30%以上にもなるという
精製設備の近代化に成功しているのは、後発国であるため、
時代に合わせた設備投資が可能だったということもあるのでしょう。

日本では1975年に作られた出光の製油所が最も新しいのだそうです。
40年近く、新しい製油所ができていないのです。
ガソリン需要が減退するなかで、新たな設備投資にはなかなか踏み切れないのが実情。

これまでは高価でも軽質原油を買ってくれば何とかなってきたのですが、
軽質原油が手に入らなくなったら、、、
形骸化してしまった「エネルギー供給構造高度化法」
日本は今後、どのように対処していけばいいのでしょうか。

詳しくはオンデマンド放送で山内さんの解説をお聞きくださいね。

金市場、こう着相場の行方 [大橋ひろこコラム]
2014.05/23 大橋ひろこ 記事URL

3月中旬の年初来高値更新から2ヵ月余り、ドル建て金価格は膠着状態にあります。

NYコメックスの日足チャートは三角保ち合いの様相を呈しています。 アメリカは量的緩和策の縮小に踏み切っており、今年は金利上昇が予想されていましたが、米国債長期金利の上昇は見られず、これが金相場を支えているものと思われますが、一方で目立った上昇の手掛かりもありません。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は金融貴金属アナリスト亀井幸一郎さんにお話を伺いました。

3か月にも及ぶ持合いのブレイクは一体いつになるのでしょうか?

亀井さんはここから金相場を動かす変動要因として3つのポイントについて
解説くださいました。


①  5月25日(日曜日) ウクライナの大統領選挙

金価格は3月17日に1392.6ドルの高値を付けています。
これはウクライナ情勢の緊迫化が一因でした。

亀井さんは選挙後、新政権が一定の妥協策を取り
地方の自治権の拡大を認める方向になれば、
金価格はいったん下落に転じるも、
その後のロシア側の反応が焦点となってくるとし、
仮に下落に転じることがあっても、すぐに持ち直す可能性が高いと分析。

ウクライナ情勢は単なるプーチンのクリミア取りではなく,
冷戦後の国際秩序の再構築の象徴であり、息が長い問題だと解説
下さいました。

② 米国の金融政策 6月17-18日のFOMC

昨年はテーパリング(毎回100億ドルづつの量的緩和策の縮小)が
金市場にとってのネガティブインパクトとなり、金価格を大きく崩しましたが、
現在、粛々と進められる縮小は金市場もすでに織り込み済みです。

マーケットの関心はゼロ金利解除の時期が早まるか否か。

6月のFOMCは経済見通しが同時に発表され、イエレン議長の記者会見も
行われるということで市場の注目度は高いと思われますが、亀井さんは
6月はまだ金利について言及されることはないだろうとお話くださいました。

というのも、今週発表された中古住宅販売件数、
予想が46.8万件のところ46.5万件で予想に届かず、
昨年の7月は53.8万件あったことを考えるとその落ち込みは大きく、
前年同月比でみると6.8%もの減少となりました。

住宅市況は思わしくないのです。金利が上がればさらに悪化することでしょう。

亀井さんはTaperingは混乱なくできても利上げは易しくないとし、
金利が焦点となってくるのは少なくとも、もっと後、テーパリング終了時期が
近づく9月のFOMC(景気見通し、会見付)になると予想されています。


③  中国・インドなど実需筋の動向

中国の2014年1-3月期の需要は
前年同月比で宝飾品は増加するも投資は大幅減少となりました。

2013年Q1の中国需要は全体で319トンだったのですが、2014年Q1は 263トン。
マイナス18%もの落ち込みです。

宝飾需要  185トン ⇒ 203トン 10%増

投資需要  134トン ⇒ 60トン  55%減

インドの2014年1-3月期の需要も
前年同月比で宝飾品・投資ともに減少です。

2013年Q1のインド需要は全体で257トン、 2014年Q1は 190トン。
マイナス26%もの落ち込みです。

宝飾需要  159トン ⇒ 145トン 9%減

投資需要   98トン ⇒ 44トン  54%減

しかしながら、中国の場合、昨年の購入が凄まじいボリュームであったため、
前年比でみれば、大きな落ち込みとなっているのですが、
平年ペースで見ればそれほど大きな落ち込みではありません。

またインドは今月の選挙で10年ぶりに政権交代決定しました。

昨年は、拡大する貿易赤字縮小のために、金の輸入規制をしていましたが、
ナレンドラ・モディ新政権の下での金輸入の規制緩和が期待されています。

こうした金の変動要因となりうるポイントを踏まえたうえで、亀井さんは
レンジを「放れる」という大きな動きにはつながりそうにないと
ご覧になっており、この揉み合い、しばらく続きそう。

もし、三角持合いをブレイクすることがあってもレンジの移行と

なるイメージで、トレンドを形成するような相場ではないそうです。

詳しくはオンデマンド放送で亀井さんの解説をお聞きくださいね。


エルニーニョまで織り込み上昇したトウモロコシ [投資α情報(大橋ひろこ)]
2014.05/16 大橋ひろこ 記事URL
2012年の干ばつでシカゴドル建て価格が8ドル台にまで高騰したトウモロコシ。

一転昨年2013年には豊作となり急落、ほぼ半値の4ドル台にまで下がりました。価格の急落があったのが7
月。受粉期の時期でした。以降昨年中はずっと低迷を続けたトウモロコシ価格ですが、今年2014年に入っ
てから反騰、じりじりと値を上げ、5か月もの上昇相場を演じています。

足元では値が崩れていますが、一体何故トウモロコシ価格は上昇したのでしょうか。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回はコンチネンタルライス代表取締役 茅野信行さんにお話しを伺いました。

今年はエルニーニョが観測されているということで、
天候リスクを織り込んでの上昇と言う解説も聞かれます。
天候相場ということでしょうか。

しかし、茅野さんは
「天候相場は米国独立記念日から7月中の受粉期のことを指す」
として、まだ作付、発芽段階の今の相場を天候相場とは呼ばないと指摘。
トウモロコシにとって最も大切なのは7月の天候。
受粉期の日照時間と降雨なのだそう。

その天候相場を前に、何故トウモロコシ価格は半年近くの上昇となったのでしょう。

①昨年の価格急落で輸出競争力が高まった米国産トウモロコシ、
南米産などと比較しても安価となったため、輸出が伸びた。

※中国をはじめとした新興国の買いが旺盛だったとのこと。
価格が安くなったことで猛烈に米国産トウモロコシの輸出が伸
びたことで、USDA発表の需給報告では昨年10月時点で
13%近くあった期末在庫が、5月9日発表分ではなんと
8・8%にまで減少しています。


②この冬の米国の寒波で米国輸出港への積み出しが
滞ったことで一時的に需給逼迫。

※大雪の影響でロジスティックに問題発生。
物はあるのに輸出に影響が及んだことで価格上昇。


③ウクライナ問題を材料に投機筋流入

※ソチオリンピックが終わるとともに噴出したウクライナ問題。
需給とは全く関係のない短期筋が、ウクライナ小麦、
トウモロコシ輸出に影響が及ぶ可能性を先取りして買い参入。


④エルニーニョ観測で天候リスクを先取り

※エルニーニョの年は米国の穀倉地帯が熱波に襲われるリスクが
高まるとされているため、これを材料に買いが膨らむ。

しか
し、茅野さんは明らかに現在のトウモロコシ価格は
買われすぎ、にあると指摘。これらの材料は
過大評価されすぎであるといいます。

中国などの新興国は価格が安ければ買ってきますが、
上がってくるとピタリと買わなくなることで知られています。
金市場でも1350ドルを下回ってくると旺盛な買いが入るのですが
1400ドルが近づくとピタリと買が止まるのだそう。

すでに5ドル台にまで買われてきたトウモロコシを
景気減速が懸念されている中国がさらに
高値を追いかけて買い続けるかどうかわかりません。

また、雪解けでロジスティックの問題は解消。

そして、織り込み始めたエルニーニョについては
「エルニーニョ出現より消滅の仕方が重要」と茅野さん。

消滅の仕方?!一体どういうことでしょう。

エルニーニョとは太平洋赤道域の中央部から南米のペルー沿岸に
かけての広い海域で、 海面水温が平年に比べて高くなり、
その状態が半年から1年半程度続く現象。

実はエルニーニョにより、ペルー沖の海水温度が上昇したことによる
影響が米国穀倉地帯に及ぶのは3~4か月後なのだそう。

20世紀最大級のエルニーニョが観測された1997~98年、
6月頃までその現象が続いたそうですが、じわじわ消えたために
穀倉地帯への影響は全くなかったのです。

83年、88年型のエルニーニョは2~3月に忽然と消えてしまったのですが、
そのちょうど3~4か月後にあたる受粉期に熱波が穀倉地帯を襲いました。

茅野さんが在籍されていたコンチネンタルグレインの調査部は
エルニーニョが米国穀倉地帯に及ぼす影響について
ペルー沖で観測されてから3~4か月になると、突き止め、
また、その消滅の仕方、海水温度の程度(エルニーニョの規模)などに
よっては影響がでないこともあるということを掴んだと
お話しくださいました。

今年のエルニーニョがどのような形で発生し、消滅するのかは
誰にも解りません。

気象庁は12日、エルニーニョが夏に発生し、
秋にかけ続く可能性が高いと発表していますが、
その時期の発生であれば影響はないかもしれません。


それが、足元の価格にも表れてきたのでしょうか、直近では
大きく下落となってきました。
作付前の高値は一過性であった?!


詳しくはオンデマンド放送で茅野さんの解説をお聞きくださいね。

GFMS プラチナ&パラジウム Survey 2014 [大橋ひろこコラム]
2014.05/09 大橋ひろこ 記事URL

トムソン・ロイターGFMS社から「GFMS Platinum & Palladium Survey 2014」需給Reportが公表されました。

PGM(プラチナ、パラジウムなど白金族系貴金属)の需給Reportというと、日本の個人投資家の間ではJM社(ジョンソン・マッセイ社)が11月と5月の年に2回公表していたレポートの方が馴染みが深かったのですが、残念なことにJM社のPGM需給報告は昨年の11月が最後となってしまいました。

JM社は触媒の会社であり、業界的にも信頼が大きかったレポートで、このレポートの内容によってプラチナやパラジウムの相場が大きく動くことがしばしばあったのですが、リーマンショックでプラチナ価格は大きく下落、その後の欧州ソブリン危機などもあって、ディーゼル車の触媒であるプラチナ価格が低迷していることから、これまで冊子やWEBなどで無償で公表してきたReportも続けられなくなったということでしょうか。プラチナ価格下落によるコストカットの波はこんなところにも影響が及んでいるのですね。

ということで、PGMの需給Reportロイターに買収されたGFMSのサーベイだけになりました。今回は公表されたばかりのこの「GFMS Platinum & Palladium Survey 2014」からプラチナの需給要因と今後の展望です。

 

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はスタンダードバンク東京支店長 池水雄一さんにお話を伺いました。

 

池水さんによると、JM社のレポートは通信社と協力しオンラインでReportする
というような検討はされているようだ、とのことですが、まだ決定ではないようです。

 

さてプラチナ市場。
南アフリカでは1月23日から始まった鉱山会社によるストライキがまだ続いています。
5月7日の大統領選挙までは収まらないだろうとは指摘されてきましたが、
今週7日水曜に、その選挙も波乱なく投開票が行われましたが
ストライキ終了の報はまだ聞こえてきません。

 

このストライキによって、4月下旬までで18.7トンのプラチナの生産が失われました。
もし組合と会社との間に合意が成立しストライキが解決しても、その準備などで
簡単には生産再開とはいかず、さらに9.3トンの生産が失われるとGFMSは予測しています。
(パラジウムは合計14トンの生産減となる模様)
ところが、プラチナ価格はこのところずっとレンジ相場、この生産減は
マーケットに十分織り込まれているとは言えず、これが今後の価格動向にとっては
強材料となると予想されています。

 

では、何故1月23日から15週にも渡ってストライキが続き、生産がストップしたのに、
価格は高騰しなかったのでしょうか。
これは2013年の需給を見なければなりません。

 

GFMSのレポートではプラチナは2013年、15.1トンの供給過多であったと報告しています。
その影響もあって2013年は2009年以来もっとも安い年間平均価格となりました。
供給過多となった背景は需要が大きく落ち込んだことにあります。

 

宝飾需要は若干の増加だったのですが、自動車触媒は若干の減少で相殺。
硝子と石化分野は両方とも50%もの減少となったほか、投資需要は40%以上ダウンだそう。
そして、この投資需要というのが、実は日本が最大のマーケットだそうで、池水さんによると、
プラチナはドル建て価格は下落しものの、日本では昨年2013年はアベノミクスによる円安で
価格が上がってしまったために、日本の投資家が買い控えしたためだと解説くださいました。
プラチナの投資需要って日本が最大のプレーヤーだったんですね。

 

こうしたことが背景で、GFMSは10.9トンの流通在庫があると推測しています。
ユーザーは南アのストライキ懸念から2013年は在庫を積み増したとみられ、
この在庫の存在が、プラチナ価格がストライキという材料にも、
また2013年4月に上場されたAbsaのNewPlat ETFが巨大な量のプラチナを
買ったのにもかかわらず上昇しなかった大きな理由であるとのことです。

 

しかしながら、15週にも及ぶ長期ストライキはもう長続きしないというのが、ここからの見方。
労働者はno work no pay状態が15週間続いており、仕事に戻りたがっています。
所得が全くないのです。生活ができませんね。鉱山会社側も態度を軟化させているようですが、
何故ここまで長期化しているのかというと、労働組合AMCU内の政治的問題だけ。
労働者側も、鉱山会社側も疲弊しており、歩み寄りの時は近いとみられます。

 

仮に、長期化したストライキの終焉の報があれば、
プラチナ価格にはどのような影響があるでしょうか。
池水さんはいわゆるイベントリスクという意味では、瞬間的にそれを材料にした売りが
出る可能性はあるものの、それほど下がらないとお話くださいました。
現在の価格水準は生産コストとされる1400ドル近辺での揉み合いです。

 

現実には、今回のストライキに先立って、生産者たちは2013年を普段よりも
多い在庫を抱えて終わっており、4月に入ってようやくその在庫を使い出した
というところだと思われるため、本当に現物が枯渇するのはストライキが終わっても
まだ数ヶ月後になるだろうとみられています。

そのためプラチナ価格が本格上昇するのは年後半になると思われますが、
しかし、プラチナの需要サイドでは2013年に不調であったマイナーな分野は
2014年は持ち直しそうであること、また自動車触媒分野も欧州と米国といった主要な
マーケットの回復で需要は堅調に伸びることが期待されており、プラチナの需給は
22トンの供給不足に陥り、2013年の過剰在庫も一層されることになるとみられます。

スト終焉の報で仮に売り込まれることがあれば、そこはとても妙味のある投資チャンス?!
詳しくはオンデマンド放送で池水さんの解説をお聞きくださいね。

景気減速で浮き彫りになる中国の理財商品問題とコモディティ [大橋ひろこコラム]
2014.05/02 大橋ひろこ 記事URL

 3月の全国人民代表会議(全人代)の政府活動報告で、2013年の中国の国内総生産(GDP)は56.9兆元、前年度比7.7%増と発表されました。2014年度の成長目標を7.5%前後としていますが、この「前後」という表現は、「必要性と可能性」をともに考慮してのことであり、もはや7%の成長すら覚束なくなっている現れであるとの見方が広がっています。

 

 中国の減速がマーケットにもたらす影響、コモディティ市場にはどのような懸念があるのでしょう。現実に2014年1-3月期の実質GDP成長率は、前年同期比7.4%増に減速していたことも明らかとなりました。

 

コモディティ市場では、昨年来、中国で銅地金、鉄鉱石、天然ゴム、大豆などが投機取引に利用されているのではとの懸念が燻っています。こうしたコモディティを輸入し、それを担保に資金調達をし、高利回りの理財商品に投資しているというものです。いずれも、工業化を背景に中国の輸入が急拡大してきたコモディティですが、この影響で今年2月に銅の価格が急落したとも言われています。

 

皆さん御機嫌如何でしょうか、大橋ひろこです。
今日は資源・食糧問題研究所 の柴田明夫さんにお話を伺いました。

 

 

これまでは、GDPの4割以上を占める固定資産投資を増やすことで景気減速を食い止めてきた中国ですが、これを資金面で支えているとして懸念されているのが、正規の金融機関を介さないシャドウバンキング(影の銀行)の存在があります。その資金調達手段となっているのが高利回りを謳った理財商品や信託商品で、調達された資金は、地方政府のインフラ整備や不動産、鉄鋼、石炭、セメント企業などへ投資されています。

 

資金の貸し手は、個人の投資家や企業・銀行などで、高利回りを期待して、理財商品を購入しています。この資金の流れが順調に回っている間は全く問題ないのですが・・・。 

 

シャドウバンキングが拡大すればするほど、不動産バブルや企業の過剰投資問題が深刻化してきました。投資先の企業の経営が破たんすれば、理財商品の価値は紙くず同様となってしまいます。

 

今年1月、山西省の石炭開発会社に投資していた信託商品が利払い不能に、また、3月には、太陽光関連メーカー(上海超日太陽能科技)がデフォルトに陥り、市場を混乱させました。

 

これを契機に中国で金融引き締めが強化されると、新たな問題が浮上しました。3月に入ってLME銅地金の価格が急落したのです。背景に、銅キャリー・トレードの存在が指摘されています。

 

①   中国の銅輸入業者が、中国の銀行に地金輸入のためドル建てのLC(信用状)を発行してもらい、調達した銅を売却して理財商品を購入し運用。

 
② LCの支払期限がくる直前に運用を解約し、金利の安いドルと高金利の人民元の金利差を稼ぐ。


③結果、中国に銅の在庫が積み上がる。当局の信用引き締めにより金融不安が高まれば、シャドウバンキングそのものが成り立たなくなるとともに、在庫の換金売りにもつながる可能性が。

 

こうした投機的な取引は銅だけではないといいます。

鉄鉱石、ゴム、大豆、金でも同様の取引が行われている都市的されています。

 

中国の鉄鉱石の港湾在庫は4月中旬現在、過去最高に近い1億800万トン強あります。このうち、資金調達の裏付けとして利用されている量は、推計3000万トン(約35億ドル)とされており、これらは常に換金売りのリスクに迫られているとも考えられます。

 

こうした中、中国当局はこのほど、商船三井の鉄鉱石輸送船を差し押さえたことがニュースとなりました。寝耳に水の事態ですが何故このタイミングなのでしょうか。

 

柴田さんは、中国の鉄鋼産業の高度化戦略と関係がありそうだと指摘。同国の鉄鉱石生産は13億トンを超えているのですが、鉄含有率が25~30%程度と低い貧鉱のため環境問題を深刻化させている。このため、政府は国内鉄鉱企業を2025年までに6~8社(1社当り3000万トン級)に集約し、不足分を輸入するとの計画があるのだそうです。鉄鉱石輸入も現在の7億5,000万トンから9億トンに迫るため、鉄鉱石輸送船が必要なるという事情が関係しているのでは?!

 

大豆も不可解な値動きとなっています。中国の相次ぐ輸入契約のキャンセルが問題となっているのです。

(13年の大豆輸入6344万トンの約1割(650万トン)。

この背景には、大豆カスの供給過剰から搾油工場の稼働率が低下しており、マージン悪化があると思われます。

 しかしながら、シカゴ大豆は在庫ひっ迫懸念、天候相場への期待と思惑などから15ドル台に上昇しています。
こうした不可解な中国の動きが景気となり、急落する可能性もあると柴田さん。

 

中国の過剰投資、それに伴うコモディティを担保にした投機的取引、そして金融引締めと理財商品のデフォルト問題。ここからの商品市場は中国を抜きにしては語れません。詳しくはオンデマンド放送で柴田さんの解説をお聞き下さいね。

需給緩和状況の原油のワーストシナリオ [大橋ひろこコラム]
2014.04/25 大橋ひろこ 記事URL
昨年8月には112ドルにまで上昇したWTI原油価格。米政府は「アサド政権が化学兵器を使用したことにほぼ疑いの余地はない」との見解を示し、オバマ大統領からの命令があればシリアを攻撃する準備ができているとの報道があった「シリア情勢緊迫化」が2013年の原油相場の高値となりました。

実際には米国による軍事介入が避けられたことから原油価格は下落に転じ、11月に向けては91ドル台にまで下落しました。


そして、2014年、直近の値動き。

3月初旬に向けてはウクライナ問題、米国経済の上向き基調で上昇となりましたが、3月中旬には原油在庫増で低下に転じています。

その後、クッシングでの在庫減で反発し100ドル台を回復。
3月の月間平均は、100・51ドル台で2月より17セント低い水準です。
ブレントも同様の値動きですが、111ドルを超えたのは3月3日のみでした。

そして4月。リビア、ウクライナ問題再燃で4月3日以後は、
100ドルを超える推移となり、21日には今年の最高値104・37ドルまで上昇。
米国では、ここからがガソリン需要増の期待が高まるシーズンです。

米国指標が好調であることや中国経済の動向にも過剰な懸念が払拭され
WTI原油価格を支えたと見られます。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はオイルエコノミスト藤沢治さんにお話しを伺いました。

直近のNYMEXのネットロングは、40万枚近くに増加しており短期筋が
原油を買い越していることから高い水準で推移しています。
藤沢さんの月間平均は予想値で102~103ドル。
前月より約2ドルほど高く推移するだろうとのこと。

地政学要因や金融要因で原油価格は大きく動くとされていますが、
それでもここ数年は85~100ドル台での安定推移。ダイナミックな
動きにはなっていません。足元の価格は100ドル台到達で
レンジ上限近辺ですが、ここからはどのように動くのでしょうか。

まず、変動要因のひとつ、地政学要因。ウクライナ問題については
これ以上のロシアの積極的軍事介入は無いだろうということで
あまり原油市場はリスクとして捉えていないようです。
一方でイランは徐々に原油輸出を増加させており、
これも原油の下落要因です。

しかし、イランの核濃縮疑惑は7月迄は欧米側も合意しないとみられ、
先延ばし。シリア問題は6月の選挙が焦点とのことですが、
アサド政権継続とみられ解決は長引くと思われます。
しかし、現状の原油価格を押し上げるほどの新味はありません。

では需給要因はどうでしょうか。

非OECD諸国の原油生産増から世界需給は緩和傾向。
米国のシェールオイル革命による需給の緩和に加え、
リビアやイラクの生産増もあって、供給懸念はほとんど生じていません。

リビアやイラクの増産となれば、OPEC内での
原油減産の議論が出てくると見られます。減産分を補充してきた
他のOPEC諸国が減産しなければ、供給過多による値崩れが起きてしまいます。

ポイントはサウジアラビアの出方で、サウジが生産量を
900万バレル/日以下に落とせるか?どうか、だと藤沢さん。

経済金融要因からみるとシャドーバンキング問題などが騒がれた
中国は、景気減速も、ハードランディングは避けられるだろうという
見方が広がりつつあるようです。しかし、習政権による引き締め政策で
個人消費の落ち込みが気になるところ。

米国経済は上向き基調で、米株も再度上昇基調に回帰。
景気回復による需要増の思惑はあるものの、
投機資金はコモディティ市場から撤退の方向。
今週は英バークレーズ銀行のコモディティ部門撤退の報道がありましたが、
リーマンショック以前に加熱した原油価格上昇による規制強化が
影響しているとみられます。。。。

IEAの需給予測表からは四半期別には、2Q, 3Q, 4QともOPECが
現在の30mmb/の原油生産と650kb/dのNGL生産を続けてもバランスするの
ですが、1Qでは在庫積み増しが1.1mmb/dあるので、
これが重しとなって価格の上値は限定されると藤沢さん。

2014年年間では、需要増が前年対比1.3mmb/d,
非OPECの生産増が1.5mmb/d(北米だけでも1.3mmb/dの増加)なので、
需給は緩和傾向とのことで、今後の価格は徐々に下降すると
藤沢さんは解説くださいました。

具体的な価格予想はオンデマンド放送で聞いてくださいね。

◆ただし、最悪のシナリオ(Crisis & Worst Scenario)として
ロシアがウクライナ問題で、ウクライナ東部に軍事介入した場合は別。

欧米が反発して、ロシアへの経済制裁として、
ロシアからのガス、原油、石油製品の購入を停止するか、
量的に削減するか津手段を取った場合には、原油、ガス市場で大混乱となるそうです。

ロシアからの石油輸出は、2013年では、
原油 4.3mmb/d (そのうち3.05mmb/dは、OECD欧州へ輸出)
製品 2.8mmb/d (そのうち1.02mmb/dは、OECD欧州へ輸出)
合計で、7.1mmb/dで世界の石油需要の約8%を占めています。

欧州の石油需要の32%は、ロシアからの輸入で賄われていることから、
ガス市場は大混乱に陥ると見られます。
米国は、欧州へガスを供給するとしていますが、まだ先のこと。
実質、欧米、特に欧州にとっては、制裁でロシアからの石油、
ガス輸入を全面禁止はできないと見られます。
ロシアに対する厳しいこのような制裁は、実際には実行不可能ですが、、。

このシナリオの帰結は、誰も予想していないとしながらも、
ロシア、中国、イラン、シリア、イラク、南米諸国のグループと
米国+欧州諸国のグループに分かれて紛争がこじれれば、
不測の事態に陥る可能性があると藤沢さんは解説くださいました。

詳しくはオンデマンド放送で藤沢さんの解説をお聞きくださいね。

エルニーニョ懸念で大豆価格上昇?! [大橋ひろこコラム]
2014.04/18 大橋ひろこ 記事URL
米国産の大豆、トウモロコシがいよいよ作付の時期に入ります。3月末に出てくる大豆、トウモロコシの作付の予想から実際の作付の進捗状況、そして夏場には生育状況などが価格の変動要因として重要となってきます。これが天候相場と呼ばれ、穀物相場にとっては非常に大きな値動きとなるシーズンです。

最初の注目は例年3月末にUSDAアメリカ農務省から、発表される
「作付意向面積」米国農家に、今年は何を作付(生産)するのかを
アンケートするものですが、今年2014年度産は
「大豆の作付が増え、トウモロコシの作付が減少」する結果となりました。


農家はより利益が見込める穀物への生産意欲が高いため、
アンケートされる時点までのトウモロコシや大豆、小麦などの価格が
重要となってきますが、今年は大豆を生産したほうがより利益になると考える農家が
増えているということでしょう。

しかし、こうした結果が出れば今年は大豆の生産が増え、
トウモロコシの生産が減少するという思惑に繋がることから、大豆価格は下落し、
トウモロコシ価格は上昇するのが相場のセオリー。
思惑通りにはいかないものです。
ところが、現状の値動きを見てみますと、大豆価格が堅調の上昇、
トウモロコシは頭打ちでジリ下げの様相となっています。

一体どういうことなのでしょうか。

皆様、ご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はマーケット・リスク・アドバイザリー、津賀田真紀子さんに
大豆価格の現状と今後の見通しについてお話しを伺いました。

シカゴ大豆相場は年初から上昇傾向、現在は昨年7月以来の高値圏となっています。
最大生産国である米国主要産地集中している中西部で低温が続いている影響により
作付けの遅れが懸念されている上、今夏は5年ぶりにエルニーニョ現象の発生が
予想されていることが背景にあると津賀田さん。

エルニーニョ現象が発生した場合、米中西部では雨が少なくなる傾向があるから、
今後予想単収が下方修正されるのではないかという見方が広がっているようです。

ただし、主要生産地であるアイオワ州とイリノイ州の作付けが本格化するのは通常、
5月中旬から6月上旬にかけてであり、まだ先の話。
作付けが遅れた場合、近年は6月中旬から下旬にかけて追い上げを見せる傾向も強く
現時点ではそれほど問題視する必要はないと思われると解説くださいました。
現在は先を織り込んで上昇している大豆価格ですが、現実にはまだ懸念が
実現していないために、価格が落ち着くだろうということで、これは弱気材料ですね。

では中国の経済成長率低下で輸出需要には影響はあるのでしょうか?

中国の1-3月期のGDPが前年同月比で+7.4%と1年半ぶりの低い伸びでしたが、
中長期的な視点で考えると、中国の景気減速が今後のシカゴ大豆相場にとって
大きな圧力となる可能性が高いようです。

中国では大豆は搾油した後、主に家畜の飼料として使用されますが、
このところ国内のクラッシュマージンがマイナスになっていることから、
積極的に搾油しようというマインドが働き難い状況となっていることに加え、
肝心の豚肉スポット価格(主要都市の平均)も2011年6月をピークに下落傾向です。

加えて近年は豚肉そのものの輸入量が香港経由で増加しており、
このまま国内の豚肉価格の下落が続いた場合、畜産農家の増産意欲が低下し、
飼料需要がさらに落ち込むという展開が考えられ、
大幅な需要の伸びを期待するのは難しいのではないかと津賀田さん。
これも、弱気材料ですね。

では価格を支える強気材料はあるでしょうか。

津賀田さんはウクライナの情勢悪化に伴う影響について解説くださいました。

ウクライナでは大豆を生産していない為、大豆の輸出市場に直接影響はないのですが、
トウモロコシや小麦など、配合飼料の原料となる他の穀物が輸出されなくなった場合は、
代替として大豆ミールに対する需要が増加する為、間接的に影響が出る恐れがあります。

今のところ、ウクライナ・ロシアともにトウモロコシや小麦の輸出量が減少すると
いう動きは見られておらず、むしろドル高となっていることから積極的に
輸出を行っている状態ですが、
今後ロシアからのエネルギー供給が停止された場合、
ウクライナの燃料コストの上昇に伴ってトウモロコシの生産コストが増加する可能性が
あり、この点が懸念材料。

2010年時点では、穀物生産における燃料コストの割合は15%程度でしたが、
これが上昇してしまうと、輸入単価で見た場合のウクライナ産トウモロコシに対する
魅力が低下することになり、結果的に代替として米国産トウモロコシに対する需要が増加、
この影響で大豆ミールも需要も増加するという流れになることが考えられ、
ロシアのエネルギー供給問題には引き続き注目しておく必要があるとそうです。

これらの材料を踏まえて今後の展開をお伺いしたところ、津賀田さんは
世界全体で見た場合、決して需給が逼迫しているわけではないことを強調。
今後作付け作業が本格化する2014-15年度の米国産大豆は、
作付面積の増加や単収改善の影響により過去最高の豊作を達成することが
予想されている現状から、上値を追う展開にはならないと展望。
今夏発生が予想されているエルニーニョ現象の影響によって
作柄がどの程度ダメージを受けるのかにもよるとしながらも、
中長期的には新穀を中心に値を崩す可能性が高いと解説くださいました。

詳しくはオンデマンド放送で津賀田真紀子さんの解説をお聞きくださいね。

需給要因で動き出した商品市場 [大橋ひろこコラム]
2014.04/11 大橋ひろこ 記事URL
日経平均は14000円の大台を割り込む下落、ドル円も101円台まで円高が進行となった4月2週。アメリカの3月雇用統計が発表される直前まではリスクオン相場となっていたマーケットですが、雇用統計、日銀の金融政策決定会合を受けて、特に日本市場の下落が大きかった印象です。米国株式市場のナスダック総合指数の下落も気がかりとなるなか、商品市場では金がジリジリと値を上げてきています。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日は三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至さんに
商品市場の動向と今後の見通しについて伺いました。

芥田さんはこの日米の株価動向、為替市場での円買いについて
世界的に景気が停滞しているというよりも、各国によって強弱が分かれいると
言った状況にあると解説くださいました。

欧州は緩やかな景気拡大を続けており、米国は寒波の悪影響を脱して
景気が拡大基調にあることが確認されている一方で、
日本は、消費税増税前の駆け込み需要の反動が景気をかなり
下押ししそうである中、中国経済はモメンタムを欠いた状況。

中国の貿易統計が大きな落ち込みが気がかりで
輸出が落ち込んだほか、輸入も落ち込んで
中国の内需の弱さが意識されていること確認されています。

これは、米国の景気指標が3月はかなり好転してきたのとは
対照的な動きであると芥田さん。

米国では寒波が後退してから、景気がはっきりと持ち直しています。
ただし、株価の方はというと、景気指標の流れとは逆で
米国は頭打ち感が出ている一方で、中国株は持ち直してきています。
このあたりがマーケットの難しいところですね・・・。

コモディティ相場では原油が持ち直して上昇に転じてきています。
米国の景気指標が、寒波の影響を脱して今後よくなっていくだろうという
思惑から、ガソリン需要が増加するとの期待などが相場を支えているようです。

4月に入って下落する局面もありましたが、これはリビアにおける
原油生産や原油輸出が回復するとの観測が広がったためです。
石油施設や港湾を占拠していた武装勢力がリビア政府との対話に応じ、
港湾や石油施設の封鎖を解除するとの観測が強まっています。


リビアでは、2011年春に始まった内戦を受けて、
同年夏には原油生産量が一時ゼロ近くまで落ち込んでいたのですが、
2012年夏にかけて、ほぼ内戦前の原油生産量である
日量160万バレルを回復していましたが、
2013年夏以降、自治の拡大や石油収入の
より多くの配分を求める反政府的な活動が拡大し、
原油輸出や原油生産が再び大きく落ち込んでいました。

リビアの生産障害によって、原油相場は10ドル以上動いていたので、
かなり原油相場を押し下げる潜在力があると思われます。

ウクライナ問題という地政学リスクが相場の下支えになる可能性が
高い一方で、リビアの生産回復は相場の下落要因となるということです。
強弱の材料が交錯する中で、原油相場は、やや値動きが荒い展開が続きそう。


はっきりとしたトレンドが出てきたのが穀物相場。


トウモロコシ、大豆価格は昨年の豊作で大きく価格が崩れていましたが、
ウクライナ穀倉地帯で生産される小麦、トウモロコシの供給に懸念が生じたことや
南米の干ばつによる生産減少懸念などが価格を押し上げました。
また、そろそろ米国ではトウモロコシ、大豆の作付が始まりますが、
天候相場への思惑が相場に織り込まれ始めたようです。

ここからの穀物価格は?
詳しくはオンデマンド放送で芥田さんの解説をお聞きくださいね。

金利がテーマとなるも崩れぬ金相場 [大橋ひろこコラム]
2014.04/04 大橋ひろこ 記事URL

1月~3月にかけて上昇した金価格が上げ幅に対して50%ほど値を削っています。

2013年12月31日の安値と6月28日の安値でW底を形成、テクニカル面の改善で買戻しから始まった金の上昇はウクライナ問題という有事を材料に騰勢を強めましたが、住民投票を受けたクリミアのロシア併合でトップアウト。


3月19日のFOMCでFRB議長のイエレン氏がテーパリング終了後
おおよそ6か月後には金利が引き上げられるとした旨の発言を
行ったことで、金利がつかない金価格はさらに値を削る展開となりました。

みなさんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は金融・貴金属アナリスト亀井幸一郎さんに
金相場の現状を取り巻く材料と今後の見通しを伺いました。

亀井さんによると今後のポイントは2つ。

ひとつはアメリカの経済指標。

1~3月に指標が悪化したのは記録的な寒波のせいだったと
市場が織り込み始めました。ISM製造業、非製造業景気指数の改善、
雇用指数の改善などを受けて米国株式市場は第1四半期に下げた分を
取り戻す上昇となっており、S&P500、ダウ平均などは史上最高値を更新しています。

株価が上昇する半面で金はさえない値動き。
やはり値動きのいい株に資金が動いてしまっているのでしょうか。

亀井さんは、市場がいよいよ金利引き上げの時期を意識し始めた割には
金価格は崩れていないと指摘。昨年までの弱い地合いであれば
マーケットが金利を話題にし始めたなら、大きな下落に見舞われていたと
思われます。昨年2013年はテーパリング開始時期がマーケットのテーマと
なっただけで金価格は大きく崩れ始めました。


実際にはテーパリングを実施してからは上昇に転じており、
相場は事実よりも、思惑で先行して動くことが改めて確認できる
値動きでしたが、その先を織り込むはずの相場、利上げの思惑が
話題となったにもかかわらず、1300ドルから下が固い印象ですね。

まずは足元の米国の金融政策の行方を占う米国の景気指標が
ポイントとなってきますが、亀井さんは住宅指標があまりよくないことが
懸念材料であるとおっしゃっていました。

また、ウクライナ問題はまだ終わっていないとも。

有事における金の値動きにはついて行ってはいけないというのが鉄則だそうで、
今回も、クリミアの住民投票まででひと相場終わってしまったのですが、
ロシア国内でのナショナリズムの高まりが偶発的な軍事衝突を
招かないとも限らず、有事の金買いはまだ完全に終わったとは
言えないと亀井さん。下値がサポートされているのは
さらなる有事へのリスクを警戒する向きの買いもあるのでしょうか。

中国やインドなどの実需の買いが高値圏では勢いがなくなっているとの
指摘もありますが、中国の香港からの輸入量は増加傾向にあり、
この3月に、中国がどの程度金を輸入していたかに注目だそう。

中国では金価格下落から金現物価格がディスカウントになっていると
報じられていますが、、、。

亀井さんは、大きな上昇となる相場ではないものの、
金価格の下値は限定的だと指摘、今後のポイントを
お話くださいました。

詳しくはオンデマンド放送で亀井さんの解説をお聞きくださいね。

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