今年も8月は円高か? [日経新聞編集委員]
2018/07/02(月) 22:37 山本郁


為替のアノマリーに「8月は円高になりやすい」というものがあります。
過去20年間、ドル・円相場が7月末から8月末にかけてどう動いたかを調べてみると
円高方向だった年は
14回と約7割、年間の相場が円高・ドル安になったのは11回にとどまっていることから考えると
やはり8月には円買い圧力がかかりやすいといえそうです。

本日のコメンテーターの、日本経済新聞社 編集委員の清水功也さんによると、その理由はいくつかあって
夏休みに入る前に日本の輸出企業が為替予約(先物のドル売り)を増やすという説。
8月には米国債の利払いがあり、機関投資家がそれを円に替えることが関係しているという説など。
いずれにしても、皆が「8月は円高が進みやすい」と思うと、実際の相場もその方向に向かいやすくなるものです。

そこに加えて
、今年の夏は日米通商問題の季節になる可能性があるわけです。
まず7月に日米間の新しい協議「FFR」が開かれる予定。
安全保障を理由に鉄鋼・アルミニウムの輸入制限を発動した米国は、自動車への適用も検討しています。
貿易政策面で中国への強硬姿勢が目立ってきたトランプ政権。秋の議会中間選挙に向けて成果を必要としているためですが
巨額の対米貿易黒字を抱える日本への態度も厳しくなってくる可能性があります。

自動車の輸入制限に関して、取り沙汰されているのは25%もの追加関税を課す案。
商務省が調査をしたうえで大統領に報告書を提出し、トランプ氏が判断を下す流れになります。
ロス商務長官は7月末か8月には調査を終えたい意向と報じられており、その、調査の中身に市場の関心が強まります。

このように日米通商問題に注目が集まると、必然と円買い圧力が強まりやすくなります。
米側は対日貿易赤字を減らすため円高を促す為替カードも使う...という思惑が広がるためです。
自動車関税引き上げを見送る代わりに為替をからめた別の要求をしてくる可能性もあります。
こうしたシナリオにマーケットが神経質になっても不思議はありません。

この夏は、もうひとつ見落とせない要素があります。それは日銀の動き。
金融政策による需要刺激だけでは物価押し上げに限界があるとして、追加緩和と距離を置くスタンスを印象付ける可能性があります。
日銀が追加緩和に消極的な姿勢を示した場合、円売りが出にくくなる可能性があるのです。
実は、過去5年間に限ると、「8月の円高」が起きる確率は4割に下がっていました。
これは背景に異次元緩和の円安効果があったからと考えられるのですが、その効果が弱まるなら状況は元に戻るかもしれないのです...。

詳しい清水さんの解説はオンデマンド放送でお聴きくださいね。

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