軽油価格8週連続上昇、軽油高の背景 [大橋ひろこコラム]
2014/06/18(水) 20:45 大橋ひろこ
今日の日経新聞の朝刊、商品面に「軽油、輸送需要好調で高値」という何とも景気のよさそうな記事。スポット市場価格は5年9か月ぶりの水準まで上昇しています。タイトルだけ見ると、日本の景気が上向いてきて軽油価格も上昇してきたようにも感じますが、さて実態はどうなのでしょうか。


皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今日はリム情報開発 アジア石油製品チーム編集部長の二川良也さんに「軽油価格の動向と今後の見通し」を伺いました。

現在の軽油店頭価格は144円程度、ガソリン価格より15~20円ほど安いでしょうか。

5年9か月ぶり高値、ということはリーマンショック前の水準です。
店頭価格は8週連続での上昇ということですから、景気がいい話に見えますね。

二川さんに伺うと

根本的な問題として昨今の原油高が影響していることや、
アベノミクス相場での大きな円安の影響が大きいと解説くださいました。

確かに地政学リスクから原油価格も高止まりですし、
70~80円台をウロウロしていたドル/円相場が100円を超える水準まで
上昇したことを考えれば高くなってしまっているのは仕方ありません。。。

では、そもそも、需要が旺盛で上がっているわけではないの?!

二川さんは、夏場の需要期に入ることから足元の需要は増加傾向にあると
しながらも、軽油の需要のピークは96年の4600㌔から3割もの減少と
なっていると教えてくださいました。ガソリン需要が年々減少していることは
この番組でも何度も取り上げていますが、軽油も減少傾向なのですね。

軽油というのはディーゼル燃料。
主にトラックやバスに使われています。

環境問題からディーゼルが規制されてから、ディーゼル車はマイカーとしての
需要が激減してしまいました。今は精製技術も向上し、環境負荷の低い
質の高い軽油となっているそうですが、それでも一度落ちてしまった需要が
元に戻るのは容易なことではないようです。

しかし、ディーゼル車の減少、軽油の需要が減少しているならば
もっともっと価格が安くなってもいいのではないでしょうか。
(原油、円安で高いという背景があったとしても)

実はあまり知られていないのですが、日本は軽油をオーストラリアや
シンガポールなど海外に輸出しているんです。

国内需要が落ちた分が海外に輸出されていることで
価格が下支えされているのです。

では、日本は震災後、原発稼働停止となったことで貿易赤字国に
転じてしまっていますが、こうして質の高い軽油が輸出できるのであれば、
どんどん輸出して外貨を稼ぐことも大切なのでは?

とも思うのですが、

実は、中国や韓国など後発国の製油所の能力のほうが圧倒的に高いのだそうです。
日本の製油施設は40年前に作られた製油施設が最も新しいということで、
アジアの競争力では日本は優位ではないのです。
ということで、軽油輸出で外貨を稼ぐというのも現実的ではありません。

国内需要が低迷しているが故に、余剰分が輸出に回されることで
国内需要は低迷しているのに軽油価格が下支えされているというのも、、、
変な話ですよね。
輸出に回さなければ、安価になって需要が増えるかもしれないのでは?!

と二川さんにお伺いしたところ。、

石油製品は「連産品」。
原油からガソリンだけを、軽油だけを精製することはできないのです。。。と。
そういえばそうでした。

つまり、ガソリンを精製する過程で、軽油も一緒に精製されてしまうのです。
需要があろうとなかろうと。精製された軽油を在庫にするわけにいかないのです。
在庫が溜まれば保管にもコストがかかりますね。

ということで、在庫になるくらいなら、売れない分は海外へ。
そのおかげで軽油価格はあまり下がらないというのが現状。
そして、昨今足元では、原油高、円安、定期修理などが材料で
軽油価格は8週連続上昇中。


今後の価格動向を見る上でのポイントについては
イラク情勢などの地政学要因による原油価格動向、
そして、夏の需要期のお天気だそうです。

今年はエルニーニョで冷夏になるとも言われています。

夏は暑いほうが景気にはプラス要因ですね。
暑さで飲料水などの需要が上がれば物流も活発になり
トラックが動く、、、ということで、この夏の暑さも軽油価格の
変動要因だそうです。

詳しくはオンデマンド放送で二川さんの解説をお聞きくださいね。

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