皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回はマーケット・リスク・アドバイザリー津賀田真紀子さんに
反騰の勢い鈍る大豆マーケットをテーマにお話を伺いました。
過去最高レベルの豊作となることを織り込みながら半年近い下落相場を
続けてきた大豆相場ですが、10月には底入れしたかにみえ、反騰局面を
迎えていました。しかし、先週から再び下落に転じており、
現在は10ドル割れが意識される展開となってきています。
2014-15年度の米国産大豆の生産高は当初からかなりの豊作が
予想されていましたが、先週10日に発表された米農務省の需給報告において
更に上方修正されたことが弱材料となっているためだと津賀田さん。
それによると米国の2014-15年度の大豆生産量は前年度比+17.9%の
39億5,800万ブッシェルと過去最高の豊作となることが予想されています。
なお、主要産地の収穫作業は11月16日現在、既に94%が終了しており、
ここまで来れば降霜などの影響によって作柄が悪化する可能性も限定的です。
需要面はというと、2014‐15年度の需要は圧搾用、輸出量を合わせて
合計36億1,500ブッシェルと予想されており、前年度比+3.9%と
過去最高となる見込みですが、供給量の方が圧倒的に多いため、
結果としては期末在庫が大量に積み上がることが予想されています。
問題はドル高進行により今後は輸出需要が下方修正され、
さらに需給が緩和する可能性があるということだと津賀田さんは指摘。
大口消費国である中国の輸入需要は旺盛な需要が続いており、
2014-15年度の中国の輸入需要は前年度比+5.2%の7,400万トンと
過去最高を記録することが見込まれていますが、
このままドル高が続くようであれば実需側の買い付け意欲が
低下する可能性も考えられるということです。
では現在の価格水準は適正と言えるのでしょうか。
生産コストの観点から見ると、現在のシカゴ大豆相場はほぼイーブンの状態。
ちなみに、米農務省が6月に発表した生産コストによると、
2014年の1エーカー当たりの生産コストは477.66ドルでした。
2014-15年度の予想単収は47.5ブッシェルなので、
1ブッシェルあたりの生産コストは10.06ドルということになります。
ほぼ現在の価格水準ですね。
原油価格が下落すると原油由来の化学肥料や機械燃料などの
生産コストが低下することが予想されるため、
来年度は更に損益分岐点が下がることが予想されます。
津賀田さんはコスト面から見ても、年明け以降も上値の重い値動きが
続くのではないかと解説くださいました。
今後は南米産の生産が注目されますが、現在ブラジルの作付けが
乾燥の影響で一部遅れが見られていることが、
相場の下支え要因として意識される可能性はあるとのこと。
しかし、作付けのリミットまでまだ時間的に余裕がある上、
現時点では世界全体の需給が大幅な供給過剰であることに変りはないことから
中長期的には需給緩和を反映した値動きが続くことが予想されそう。
詳しくはオンデマンド放送で津賀田さんの解説をお聞きくださいね。