米国石油需要好調,9年ぶりに日量2,000万㌭を超えるか!? [大橋ひろこコラム]
2016/09/28(水) 23:06 大橋ひろこ

米国の石油需要が好調です。高い在庫率からはにわかに信じがたいのですが、2016年、年初~9.16の石油需要量は前年同期比2.0%増の日量2,011万㌭。

8月第4週~9月第3週の「最近4週」足元でも前年同期比3.0%増の2,027万㌭と日量2000万㌭を超えています。

このままのペースで需要が伸びれば、2016年年間を通じても2000万㌭を超える可能性が出てきましたが、そうなれば実に9年ぶりのこととなります。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は株式会社セキツウ常務取締役の山内弘史さんに米国の石油需要動向についてお話を伺いました。

参考:米国の石油需要量の推移
 2005年 2,080 2006年 2,069 2007年 2,068 2008年 1,950
 2009年 1,877 2010年 1,918 2011年 1,888 2012年 1,849
 2013年 1,896 2014年 1,911 2015年 1,940 2016年 ?

では、一体何が伸びて石油需要が堅調なのでしょうか。

年初から9月16日までの需要を油種別にみると
ガソリンが前年比+3.5%
ジェット燃料が+4%
ところが中間留分は▲5.1%となっており、足を引っ張っています。
様々な油種トータルで+2%の需要増ではありますが。

しかし、米国の石油需要が伸びているのなら原油市況の下支え要因
にはならないのでしょうか?!

山内さんは、米国石油需要増にも原油価格が上がらないワケを
教えてくださいました。需要増に合わせて原油処理量が増加しますが,
重質原油対応の米国の製油所では,自国産軽質・超軽質シェため、
重質原油と混ぜてシェールオイルを消費することになるのだそうです。

そのため米国は重質原油を輸入しており、この米国の重質油の輸入増が
世界の原油市況を引き上げる一方で,シェールオイル増産が
米国内原油在庫を積み上げ,原油価格を引き下げるとねじれ現状が
起こっているようです。米国の原油在庫は8月末515.1百万㌭。
7月末比では450万㌭の減少となってはいるものの,
前年同月末比では5,730万㌭,12.4%増となっており
8月末ではこの96年間での過去最高が続いています。

ガソリン需要は、ガソリン価格が安くなったことで伸びているようです。
原油価格が急激に下がったおかげでガソリン価格も安価に。
この影響で米国ガソリン需要が伸びているのですが、
では中間留分ディーゼル需要はなぜ不振なのでしょう。

その秘密は石炭需要減にありました。

この図は電力発電に使用される発電用燃料の推移。
2014年初めには石炭による発電量が500万MWHでしたが,
2016年には230万MWHまで落ち込んでいます。

一方で天然ガスによる発電量が増加し、2015年に逆転していることが
見て取れますね。

つまり、米国の電力発電に使用される発電用燃料が石炭から天然ガスに
シフトしたことで、石炭を運ぶトラック、鉄道に使うディーゼル油の
需要が落ちているということです。

では何故、石炭から天然ガスへと発電用燃料がシフトしたのでしょう。
米国シェールガス増産に伴い、天然ガス価格は大きく下落しました。

2014年末までは4㌦/百万Btuだった天然ガス価格が
2015年末には1.5㌦まで下落。その後も2~3㌦どころの安値圏での
推移が続いていたことが、石炭から,天然ガスシフトの最大の要因です。
(環境規制などの影響もあるようですが)

これに伴って石炭生産量は減少。約10億㌧生産していたものが
9億㌧になり,7.3億㌧に激減しています。
これでは輸送量も輸送用燃料消費も減少するわけです。


これが、ディーゼル油需要(トラック輸送)需要減の背景ですが、
足元では天然ガス価格はジリジリと上昇しています。
わずかずつではあるが天然ガス生産量が減少する一方で
需要が増加してきており3㌦を少し超えてきました。
1.5ドル程度に沈んで長期に価格低迷していた天然ガス価格が上昇して
きたことで、ふたたび石炭による発電量が増加する傾向にあります。

そうなれば、米国のディーゼル需要が回復し、9年ぶりに
2016年米国の石油消費量が日量2000万㌭を超えるかもしれません。

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