減産合意に至らなった第166回OPEC総会 [大橋ひろこコラム]
2014/11/28(金) 19:03 大橋ひろこ

原油価格が大きく下落しています。今年2014年はウクライナ問題やイスラム国など地政学リスクがマーケットの懸念材料として取り沙汰され、原油価格は地政学プレミアムから買われる局面もあったのですが、地政学リスクによる供給懸念は生じなかったことから一転下落に転じ、地政学プレミアムが剥落する過程ではドル高圧力も加わり、100ドル台から70ドル台へと下落していました。それだけに11月27日開催のOPEC総会はオイル関係者のみならず。マーケット関係者の関心も高かったのですが...。

皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回は減産合意に至らなかったOPEC総会と原油市場を
取り巻く背景を株式会社セキツウ常務取締役の山内弘史さんに
伺いました。

そもそも、オイル関係者の間では今回のOPEC総会での減産合意は
難しいだろうとされていました。OPEC総会前にサウジアラビア,
イラン非OPECのロシアなどが会談しており、減産しないことで合意していたためです。ベネズエラが減産を強く主張したもののこの主張は受け入れられませんでした。

OPEC減産合意ならずで、総会後の原油市況は更に下落しました。
WTIは一時前日比5.02㌦下げの68.43㌦/㌭
北海ブレントは同6.27㌦下げの71.26㌦に
どちらも2010年5~6月以来の安値に沈んでいます。

地政学プレミアムの剥落、ドル高によるコモディティ価格下落、
そして、OPEC減産合意ならず、という下落要因による急落ですが、
しかし、そもそもの需給がタイトであれば、ここまで価格が下がる
ことはありません。

山内さんによると、石油供給量-(引く)石油需要量=
2013年 ▲50
2014年Q1+40
2014年Q2+130
2014年Q3+50
という状況になったおり、供給過多状態になってきているのが
そもそもの原因です。

そこで、OPECが価格を押し上げるために減産するのでは?
という見方が出ていたわけですが、、、

現在のOPEC原油生産量は日量3,000万㌭。
2012年から変わっていません。
しかしこれはあくまで生産目標量。

実は最近のOPECの生産量は下記の通り。
2014年Q2 3,008万b/d
2014年Q3 3,051万b/d
8月 3,031万b/d
9月 3,075万b/d
10月 3,060万b/d

2014年Q2まではなんとか生産目標量を遵守していたのですが
それ以降は31~75万b/dの増産となってきていました。

OPECの中で特に増産が著しいのはリビアです。

2014年Q2は23万b/dまで落ち込んでいたのですが,
最近は100万b/dにまで回復しているのです。
もともと160万b/dの生産能力がありますので、
増産余力はまだまだ大きい。

これまでリビアは原油積出港5つのうち4つが
反政府部族によって支配されていたために、
原油生産が止まっていました。
この混乱解消によって生産量が回復したことで
OPECの生産量は超過状態になっていったのです。
アメリカのシェール革命です。

アメリカの原油生産量は
2008年の500万b/dがボトムで
2009年535万b/d
2010年548万b/d
2011年565万b/d
2012年650万b/d
2013年745万b/d
と増産されており、
2014年1~11月には848万b/d、
11月第2週以降は900万b/dを超えるまでに。
これは1970年代以来の規模になってきたということです。

これだけ供給が増えていることが主因ではあるものの
世界の景気がよく需要も大きければ需給は締まります。
しかし、先進国経済の成長は鈍化傾向にあり、
加えて中国も鈍化してきたことは周知の事実。

ということでIEAは9月石油市場報告で
世界の石油需要を下方修正しています。

このような状況にあるのに、なぜOPECは減産しなかったのか?

山内さんはOPECは生産カルテルとしての役割を放棄したと
解説くださいました。世界的な石油需給の緩和でOPECが
スウィング・プロデューサー役を果たせなくなったことが
大きいのですが、原油価格回復のために減産すると,
結局は米国などにシェア―を奪われるだけなのです。

サウジは1980年代半ばに価格維持のための減産で
シェアを奪われたことがトラウマになっており、
この時は900万b/dだったサウジの生産量が
一時は250万b/dまで落ち込みました。
現在の環境では真面目に減産しても、その分のシェアを
米国などほかの産油国に奪われるだけだと思われます。

しかし、これだけ原油価格が下がってくると
アメリカのシェールオイル革命はどうなるでしょう。
そもそも原油価格が高くなったことからシェールのコストが
賄えて利益を上げられる構造です。
米国は下落に耐えられるのでしょうか?

山内さんによるとシェールオイルの生産コストは
38~80㌦/㌭、随分幅がありますね。

中でもバッケン,パーミアン,イーグルフォードの3つの
シェール層の生産量が全体の大半を占めるため
これらのシェール層のコストが重要です。
この生産量はそれぞれ100万b/d,150万b/d,120万b/dで
合計で370万b/d。(全体では900万b/d近く)

山内さんによると、この3つのシェール層の生産コストは
50㌦前後だそうです。ということは70ドル近辺の現在でも
まだ余裕があるということになりますね。

山内さんはまだアメリカが減産に踏み切るには
下値余地があるとして、原油価格はさらに下落するだろう、
と解説くださいました。

詳しくはオンデマンド放送で山内さんの解説をお聞きください。

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