皆さんご機嫌いかがでしょうか、大橋ひろこです。
今回からは3回に渡って「トレーディング目線で見る金需給」
岡藤商事 主席ストラテジスト 郷右近要さんに
金価格の決定要因の底流にある需給フローについて
お話を伺っていきます。
このシリーズは是非、資料をご覧いただきながらお聞きください。
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さて、よく金市場で材料にされる産金コスト。
これは採掘コストのことで鉱山会社の採算ラインのことですね。
毎年金は鉱山会社が採掘することで3000トンあまりもの生産がありますが、
その後、生産された金は地上からなくなることはありません。
現在(2013年)金の地上在庫は11万6000トンあるとされています。
これが供給サイド(売り方)材料となっていますが、
こうして採掘された金はその後
①欧米ETF需要
②ジュエリー需要
③中央銀行在庫
④アジアなどの地金退蔵需要
⑤スクラップ回収分(リサイクル分の市場放出)
などの状態となってぐるぐる回っています。
これらの在庫の需給フローは、金価格にどのような
影響を及ぼすのでしょう?郷右近さんに聞きました。
①欧米ETF需要
価格的弾力性は高く、順張り傾向
②ジュエリー需要
価格的弾力性は低く、
中国インドなどの伝統的金選好が支え
④中央銀行在庫
価格的弾力性はそれ程高くありません。
自国鉱山からの買い上げもあり。
⑤アジアなどの地金退蔵需要
価格上昇時には減少、
下落時には増加しやすい特徴が。
⑥スクラップ回収分
価格上昇時に出てくるため売り圧力に。
回収増加は輸入現に繋がり上値圧力に。
歴史的に、こうした需給フローが大きく動いた事象として
1977年アジア通貨危機におけるアジア危機国からの金流出
(この時日本は金買いブームに)
1999年IMFが金売却とリース運用制限したことで
リース市場がひっ迫、金が急騰
2003年ゴールドマンサックスのレポートが生んだBrics
新興国台頭で中国が急成長、金需要増大
2008年リーマンショックで金融システム不安、
FRBの量的緩和策でドル安金高が進行
などがあります。
また、今回の番組資料では
2004年から2013年の世界金需給推移を
郷右近さんに作成いただいています。
この9年回、年間2500~3000トンの金生産は
安定して変わらないのですが、需要面では
公的購入、つまり中央銀行による金購入が
2010年から+に転じていることがはっきりとわかります。
長く金の売り方であった世界の中央銀行が
外貨準備のポートフォリオに金を組み入れている、
金を購入し始めているということですね。
そのほか、足元の金の需給要因などなど
詳しくはオンデマンド放送で郷右近さんの解説を
お聞きくださいね。